相次ぐ経済指標軟化でも引き続き引き締め継続

ことしに入り、雇用統計やISM指数など相次いでインフレ鈍化の兆候が見られる指標が発表されましたが、FRBはまだそこまで緩和に対して積極的という感じではありません。依然として物価は高止まりしており、当然といえば当然ですが、今後もしばらくは厳しい引き締めが継続されるということは確実とみていいでしょう。もちろん消費者物価の値など今後の経済指標次第だとは思いますが、あまり過度な楽観論というのは避けておいた方がいいと思います。

FRB関係者はまだタカ派的な人が多い

今年も雇用統計などいくつかの経済指標がすでに発表されていますが、それらはややインフレが落ち着いてきたような数値を示していました。しかし、FRB関係者からはまだ積極的な緩和という話はあまり聞こえてきません。

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引用:Bloomberg、ロイターより

すべてではありませんが、FRB内部からはこのような発言が出てきています。中にはややハト派的な意見もありますが、総じてみてみるとやはりまだ引き締めを継続する意見の方が多いように思います。インフレについてはさすがにこれまでのような状況を予想している人はいませんが、期待するほどインフレの下落が早くないと考えている人が多いような気がします。時がたつにつれて物価の予想は高止まりする傾向にあるためです。そういう意味ではやはり少々強硬なものであってもインフレを今のうちに対峙しておきたいと考えているのかなという印象です。

状況は変化してきていることは確実。ただ簡単になっているわけではない。

少なくとも去年のような状況とは変わってきているのかなという感じです。とにかく引き締めていけばいいという感じではなく、経済へのバランスも考えなければならないというような意見も出てきており、変化してきていることは確実でしょう。実際経済は非常に悪化してきており、あまり厳しく引き締めをしすぎると本当に大幅なリセッションに陥ってしまう可能性も十分にあり、その辺の塩梅は非常に難しくなっているのだろうと思います。そういう意味ではこれからはただ引き締めればよかったこれまでとは違い、非常に微妙な力加減が要求されると思われ、FRBも頭を悩ますことが多くなるのかなという印象です。おそらく関係者間の意見も大きく割れてくることもあるでしょう。そして景気後退懸念や政治問題等外部要因にも大きく左右されるかもしれません。そういう意味では本当に大変な局面であるといっていいのだろうと思います。

まとめ

今日は相次ぐインフレ鈍化の指標を受けてのFRBの反応についてみてきました。やや軟化気味の発言をする人もいますが、大きな流れとしてはやはりまだ引き締め継続という感じです。おそらくはしばらく金利は高いままで維持され、ある程度物価が抑制されるまではそれが続くでしょう。ただ、なんか知らのきっかけでその姿勢が変わる可能性も十分にあるため、急な政策変更の可能性も頭に入れておく必要があるでしょう。