家計の債務が増加傾向。このことはボディーブローのように聞いてくるのだろう。

インフレの落ち着きと共に、金融緩和政策への期待もあってやや明るい期待も膨らんできたように思える米国経済ですが、不安要素はまだまだたくさん存在します。その一つとして家計の債務問題があります。最近は急激な物価上昇もあって家計の債務残高が急激に増加しています。このことは将来の消費に対する影響が少なくないため、今後の展開には十分に注意が必要となってくるでしょう。

家計の債務が増加傾向

先日、ニューヨーク連銀から報告されたレポートによると、家計の債務は徐々に増加傾向にあることが確認されました。

米ニューヨーク(NY)連邦準備銀行が6日公表した報告書によると、2023年第4・四半期の米家計債務は17兆5000億ドルと、前四半期から2120億ドル増加した。

全体的な問題債務は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準を下回っているものの、自動車ローンを中心に問題債務が増加。債務残高の3.1%が何らかの延滞状態にあった。前四半期から0.1%ポイントの上昇となる。

ニューヨーク連銀は、政府支援の後退を背景に延滞率が上昇していると指摘。自動車ローンの延滞率はパンデミック(世界的大流行)前の水準を上回っており「悪化は広範に及んでいる」とした。

その上で「2022年と23年に組まれたローンは、これより前に組まれたローンより悪化している。自動車価格の上昇に加え、より高い金利での借り入れを迫られた可能性がある」と指摘。特に低所得地域で借り手の苦境が増大しているため、延滞率の上昇を注視する必要があるとした。

クレジットカードについては、全ての年齢層で延滞が増加したと報告。特に若年層の延滞率がパンデミック前の水準を上回ったとした。

第4・四半期の自動車ローン残高は120億ドル増の1兆6100億ドル。新規住宅ローンは1120億ドル増の12兆2500億ドル。

クレジットカード残高は500億ドル増の1兆1300億ドル、学生ローン残高は20億ドル増の1兆6000億ドルだった。

引用:ロイターより

このように米国の家計では債務が徐々に膨らんできているようです。このことは消費者が収入よりも消費のほうが大きくなってきているということの証であり、当然ながらこのまま進んでいくと家計は破綻するということになるでしょう。なので将来的には家計は急激に支出を絞るようになるか破産するということになってしまい、米国の消費が著しく低下する危険性があると言っていいでしょう。そういう意味でもこのニュースというのは今後の経済の行方を左右するような重要なものではないかと思います。

景気回復まで家計は持つのか

米国では日本に比べて借金をして消費をするということにあまり抵抗がないようなので、債務がある程度大きいという事態はそこまで問題ではないのかなと思います。問題はそれがどんどん大きくなっていることであり、それが制御できなくなったら問題だということです。もちろんそうなる前に家計も政府や中央銀行もなんとか対処するでしょうが、本当に問題がないのかどうかはわかりません。実際、金融緩和は期待したほど早くは実行されない可能性が高くなったように思います。政治の方も現在大統領選の真っ最中ということでやや注目ポイントが外れている可能性もあります。そういう意味で徐々に気づかないうちに事態が進行し、気づいたときには手遅れになっていたなんてことにもなりかねません。そういう意味ではこの債務の増大は非常に気になるところです。もし、制御不能となれば急激に米国経済も冷え込んでくることでしょう。そうならないことを祈るばかりです。

まとめ

今日は米国の家計の債務の増加について見てきました。今のところ問題はないとは思いますが、これがどこまで進むかが気になるところです。おそらくはそうなる前に利下げも行われ、刑期も開腹してくるとは思いますが、そうならなければさらなく景気減速要因となる可能性も十分にあるところでしょう。