FRBは引き締めの手を緩めるつもりはみじんもない

今後の金融政策についてはやはり引き締めは継続されるとみた方がいいでしょう。インフレの鈍化の兆しがみられる経済指標が発表された後も、FRB関係者からは引き続き現在の厳しい金融政策の継続の声が多く聞こえており、今日もそのような発言が相次ぎました。市場が期待するような緩和政策というのはあまり期待できないということでしょう。

ボスティック総裁は政策変更については否定的

アトランタ連銀のボスティック総裁は、イベントにおいて、今後もインフレ抑制のために厳しい金融政策を継続するべきだということを述べました。

米アトランタ連銀のボスティック総裁は、金融当局は4-6月(第2四半期)の早期までに政策金利を5%超に引き上げ、その後その水準を「長期」にわたって維持すべきだとの見解を示した。

  総裁は9日、アトランタのロータリークラブでのイベントで、「われわれは決意を固く持ち続ける必要がある」と言明。金融当局は高インフレの退治にコミットしており、経済から過剰な需要を取り去るため政策金利を5-5.25%に引き上げることが正当化されると述べた。

  5%超の政策金利を維持する期間について司会者から質問を受けたボスティック総裁は、「長期だ」と回答。「政策転換は考えていない。利上げを停止してその水準で維持し、政策が効果を表すのを見守るべきだ」と述べた。

  総裁は6日行われた経済専門局CNBCとのインタビューでも同様の見解を示していた。

引用:Bloombergより

このようにボスティック総裁は現在の政策について変更するべきではないとの見解を示しました。政策転換についても今やるべきではなく、きちんと効果が確認できるまで待つほうが良いとのスタンスです。

デーリー総裁も同様に厳しい金融政策を継続する意向

サンフランシスコ連銀のデーリー総裁もボスティック総裁と同様に、現在の金融政策については維持すべきとの見解を示しています。

米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は9日、政策金利は最終的に5%をいくらか上回る水準まで引き上げられてから、利上げ打ち止めになるとの見方を示した。具体的な水準は不明で、インフレに関してこれから得られるデータ次第だと述べた。

  次回連邦公開市場委員会(FOMC、1月31日ー2月1日)については、2会合連続となる0.5ポイント利上げか、0.25ポイントへの利上げ減速になるか、いずれの可能性もあると述べた。米紙ウォールストリート・ジャーナルとのインタビューがライブ配信された。

  「より緩やかな措置に移ることで、最新の情報に対応できるようになる」とデーリー氏。根強いインフレに対して「勝利を宣言する」のは時期尚早だと強調した。同氏は今年のFOMCで議決権を持たない。

引用:Bloombergより

このようにデーリー総裁も金融政策の変更については否定的です。今後についてはデータ次第ということで柔軟な姿勢は示していますが、それでも厳しい政策を実行し、確実にインフレを抑制すべきということには変わりないでしょう。

やはり今年の米国株はかなり厳しいといわざるを得ない

相次ぐ厳しい姿勢の表明は改めてFRBがインフレに対して楽観視はしていないということを示していると思います。市場には弱い経済指標を受けてやや楽観的な空気も漂っては来ていますが、FRBはそれらは全く考慮していないということです。今後、多少の景気後退や経済悪化のニュースが出たとしてもインフレ抑制のための政策を変更することはないと思った方がいいでしょう。もちろん予想外に景気が悪化したりすれば多少の変更をする可能性は十分にあると思いますが、基本的にはよほどのことがない限りその可能性については考える必要がないのかなという印象です。そういう意味ではこれまで通り、今後の見通しについてはあまり楽観的にはなれそうもありません。ことしの米国株については非常に悲観的な予想が多くなっていますが、その予想を覆すような情報は今のところないかなという感じです。

まとめ

今日は改めてFRBのインフレに対する姿勢について確認してきました。FRBはこれまで通り、インフレ抑制に積極的に取り組むつもりです。現在の景気悪化の気配程度ではその姿勢を変更することはないでしょう。そういう意味ではやはり今年の米国株はかなり厳しい結果になるのかなという印象です。しかし、長期投資であればそのような時こそ株を買うチャンスでもあるのであまり悲観的になることもないだろうという感じです。