11月の小売売上高は大幅に減少。景気後退は着実に迫ってきている

米国の景気後退は着実に近づいてきています。先日発表された小売売上高は市場予想を下回る結果となり、企業業績が大きく落ち込んできていることが確認されました。インフレがいまだ深刻な状況で景気の減速も確実に進んでいる現状はFRBにとって非常に頭の痛い問題でしょう。そういうわけで今日は先日発表された小売売上高についてみていきます。

小売売上高は予想以上に悪化

先日発表された米国の小売売上高は11か月ぶりの大幅な落ち込みとなり、市場予想を大きく下回りました。米国の景気減速は確実に起こり始めているといっていいのかなという印象です。

11月の米小売売上高は11カ月ぶりの大きさで減少した。さまざまなカテゴリーで、消費者の財に対する需要が幾分弱まっていることが示唆された。

  11月は13カテゴリーのうち、家電や家具や建設資材など9つで減少した。自動車も減少。中古乗用車・トラックの価格低下などを反映している。ガソリンが値下がりする中で、ガソリンスタンドの売上高は0.1%減った。

  唯一のサービス分野である飲食店は0.9%増と、4カ月連続で増加した。

  今回の統計は、高インフレの中で財に対する需要が幾分勢いを失っていること、および消費者の支出がサービスにシフトしていることを示唆する。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナ・ウォン、イライザ・ウィンガー両エコノミストは「驚くほど弱い小売売上高は、米利上げが影響を及ぼし始めていることを示唆する。13、14両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後にパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、利上げが終了に近づいていないとの見解を示した。消費者の支出はモノからサービスに移りつつある。小売売上高の弱さは来年も長く続く可能性がある」と分析した。

  11月はホリデーショッピングで買い物が増える時期。感謝祭翌日のブラックフライデーなどには小売り各社が玩具や衣料品、家電などさまざまな商品を値引きした。

  こうした中で、アマゾン・ドット・コムのような電子商取引を含む無店舗小売りは0.9%減となった。

  11月に増加したカテゴリーの一つは食料雑貨店。食品価格の上昇が背景にあるが、10月に比べて伸びは鈍化した。

  国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は0.2%減少。市場予想は0.1%増だった。

引用:Bloombergより

このように米国の消費の現場では確実にその力が落ちてきています。米国のGDPの多くは個人消費が占めています。その消費の力が落ちてくるということは経済にも大きな影響は避けられないといっていいでしょう。いろいろなニュースが出てきていますが、インフレが消費を落ち込ませ、経済にダメージを与え始めているということは確実だということです。

それでもFRBは引き締めを緩めることはないだろう

今回の発表を受けて株価も大きく下落しています。先日はFOMCを受けてタカ派な発言のパウエル議長に衝撃を受けてマーケットですが、今度は小売り高でもダメージを負った形です。この前のパウエル議長の発言から考えると今回の小売りの結果を受けても引き締め政策を変えるということはないような気がします。この程度のことはむしろ予想通りであり、引き続きインフレが落ち着くまで金利は高く維持すると思います。そういう意味では株式市場にとっては非常につらい状態といっていいでしょう。ただ、このような事態はある程度想定内ではあると思うので、問題は今後がどうなるかといったところです。予想される通り、来年は金利が高止まりし、景気もあまりよくはならないでしょう。それでも年末くらいには明るい兆しが少しでも見えればいいのですが、それも厳しくなるようだと本当にしばらく株価の上昇は見込めないということになるかもしれません。さすがに一年後のことまでどうなるかはわかりませんが、それまで何とか経済が持ちこたえ、インフレも落ち着いてほしいものだと思います。

まとめ

今回は米国の小売売上高についてみてきました。景気の減速は確実に近づいてきており、そしてそれに対する金融請託での後押しは全く見込めない状況です。そういう意味では非常につらい状態が続いていくものと思われます。予想される通り、来年いっぱいは正直株価の上昇は見込めないのかなといったところです。そういう意味では辛いときが続くと思いますが、今はじっくり耐えて力を蓄えるときです。このような時だから事やすい株を買ってのちの上昇局面に備えておきましょう