ファースト・ソースは小さいながらも34年間増配を続ける優良株

ファースト・ソースは小さな地方銀行を有する金融持ち株会社です。その小ささゆえにあまり注目されませんが、連続増配年数34年の立派な貴族株です。日本でその名を聞くことはほとんどありませんが、地域に密着した事業を展開し、多くの支持を獲得している優良企業のひとつです。そんなファースト・ソースについて今日は見ていきたいと思います。

事業内容

ファースト・ソース(1st Source Corporation)は、同社の子会社を通じて、金融商品・サービスを提供する銀行持株会社である。【事業内容】同社の銀行子会社である 1st Source Bankは個人・企業顧客に対して、商業・消費者向け銀行サービス、信託・資産管理サービス及び保険業務を提供する。同行は貸付業務、小口支店と手数料ベースの事業を通じて、消費者と商業銀行サービスを提供する。同行はの地域市場エリアに位置するビジネスクライアントに商業、中小企業、農業、不動産ローンを提供する。同行は銀行センターと1stsource.comを通じて消費者バンキング商品とサービスを提供する。また、1st Source Insurance officesを通じて保険商品を提供し、個人、法人、非営利団体の顧客に各種信託、投資、代理店と保管サービスを提供する。

引用:investing.comより

ファースト・ソースは、北部インディアナ州と南西ミシガン地域でサービスを提供する地方銀行です。同社の歴史は、サウスベンドの最初の国立銀行としてチャーターされた1863年にまでさかのぼります。同社は多くの地方金融機関と同様に、顧客から預金を集め、そのお金でローンを組むことによって多くの収益を上げています。その利息収入は全収益の70%にも上ります。残りの30%は保険手数料、デビットカード手数料、資産管理など様々な形での手数料収入によって成り立っています。これらの多様な収益構造によって同社の利益は、他の地方金融機関よりも金利の影響を受けにくくなっています。また、同社のローンポートフォリオは特殊で、普通の金融機関はその多くを住宅ローンや商業ローンに当てますが、半分近くを特殊金融にあて、航空機や建設機械等に貸し付けています。このように、小さな地方金融機関でありながら、非常に特殊性を持った金融機関であるといえるでしょう。

通期業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

業績は非常に堅調です。大きく落ち込むこともなく、順調に業績を伸ばしてきています。これを見る限り、安定感もあり、将来にわたって業績の拡大も十分期待できそうです。

株価の推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

順調に株価は上昇してきましたが、ここ数年はやや停滞気味です。新型コロナウィルスパンデミックの影響で株価は大きく下げましたが、ようやくコロナ前の水準に戻ってきています。この先どうなるかはよくわかりづらいですが、最近は株価も持ち直しの傾向も見えますので、今後には大いに期待したいところです。

セグメント構成

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

コマーシャルバンキングのみと、非常にわかりやすい構成になっています。何度も言いますが、ファースト・ソースは小さな地方銀行を有する金融持ち株会社です。メガバンクのような多彩なサービスはしていません。そこをどう判断するかは人それぞれかと思いますが、個人的にはそんなに問題にはならないと思っています。

セグメント業績推移

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

業績は非常に伸びています。伸び率はやや鈍化しています。なので、今後はどの程度利益を伸ばしていけるのかが注目されるでしょう。ただ、地方金融機関ですから、大きな増益というのは難しいかもしれません。それよりも着実な成長を期待した方がいいでしょう。

年間配当履歴

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当も着実に上昇しています。あまり多くはありませんが、非常に安定して配当を出してきています。業績を反映して、きちんと株主還元はしているようです。

配当利回り 配当性向

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

配当利回りは2.5%とまずまずの値ではないでしょうか。特別高いということはありませんが、低くもありません。配当性向も25.5%と全く問題のない水準です。しばらくは配当の心配はないでしょう。

PER

引用:マネックス証券 銘柄スカウターより

PERは過去と比較してもかなり低水準です。銀行株のPERは比較的低く出やすいですが、それを考えても十分な低さです。投資するタイミングとしては全く問題ありません。

貴族株指標

  • 増配年数 34年
  • 配当利回り 2.63%
  • 1年増配率 2.73%
  • 3年増配率 14.14%
  • 5年増配率 10.99%
  • 10年増配率 7.38%
  • 配当性向 30.24%
  • PER 11.52

参照:U.S.DividendChampions 2021/09/30より

連続増配年数34年は大変すばらしい数字です。小さな地方金融機関がこの結果を残したということはとてもすごいと思います。34年もあればかなり経営的に苦しいときもあったと思われます。それでも増配し続けた姿勢はきちんと評価したいです。配当利回り2.63%は低くはないですが、配当狙いとしてはやや物足りない感じがします。しかし、安定して業績を上げ続けていることを考えれば、この先も増配が期待できるので、すぐに利回りは改善するものと思われます。増配率は結構ばらつきはありますが、10年で7.38%というのは悪くないと思います。近年は新型コロナウィルスパンデミックの影響もあり、若干増配幅は低く抑えられていますが、収益が改善してくれば大きく配当を増やすこともあるでしょう。配当性向は30.24%と十分に資金に余裕があることが分かります。しばらく減配の心配は必要なさそうです。PERも11.52倍と非常に低水準です。過去と比較しても十分低いので、投資のタイミングとしては悪くはありません。

まとめ

今日はファースト・ソースについて見ていきました。小さな地方金融機関ですが、長年に渡り、着実に成長を続けてきた優良企業だと思います。業績は右肩上がりで好調をキープしていますが、同社は景気に敏感な事業を行っているので、経済状況に非常に左右されやすいです。その点は注意が必要でしょう。配当性向は低く、資金に十分余裕もあり、PERも過去と比較して十分に低いです。それを考えれば投資する価値は十分にあると思います。あまり大きな成長は期待できないかもしれませんが、安定的に配当と、株価上昇を期待できる銘柄だと思います。