予想通りの50bpでの利上げ。予想外のタカ派。

先日、マーケットが注目する12月のFOMCが行われ、50bpでの利上げが決定されました。この結果についてはほぼ市場の予想通りであり、サプライズではありませんでしたが、パウエル議長の会見での発言が予想外にタカ派的なものだったために動揺が広がっています。これにより、FRBは確実なインフレ抑制の証拠が出てこない限り、利下げを行う可能性というのはかなり低くなったような気がします。そのため株式市場にとってはマイナスの影響が大きくなりそうです。そういうわけで今日は先日行われたFOMCについてみていきます。

50bpでの利上げが決定

12月のFOMCでは多くの予想の通り50bpでの利上げが決定されました。これまでのような75bpでの急激な利上げはペースダウンすることとなりました。これは最近の経済指標の状態から予想されていたことであり、そこまで驚くようなことではありません。問題はその後の会見でパウエル議長が発言した内容でした。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、現在進めている積極的な利上げは終了に近づいてはいないとの見解を示した。金融当局者らの予測では来年の政策金利予想が引き上げられた。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は13、14両日に開催した定例会合で、主要政策金利を0.5ポイント引き上げることを決めた。前回まで4会合連続で続けてきた0.75ポイントから利上げペースを減速させた。

  パウエル議長はFOMCの声明発表後の記者会見で、「なお幾分か道のりは残っている」と発言。今回の利上げでフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.25-4.5%となった。決定は全会一致。FOMC参加者の予測中央値では、政策金利は来年末に5.1%、24年に4.1%に低下との見通しが示され、いずれも9月時点での予測から引き上げられた。

  パウエル議長は、来年1月31日-2月1日に開かれる次回FOMC会合での利上げ幅は今後入手するデータ次第だと発言。利上げペースについては0.5ポイント継続と0.25ポイントへの減速両方の可能性を残すとともに、FOMCが来年に政策を反転させるとの市場の見方を退けた。

  「インフレ率が持続的な形で2%へと低下していると委員会が確信するまで、利下げが検討されることはないとみている」とし、「物価安定を回復させるには、景気抑制的な政策スタンスをしばらく維持する必要がありそうだ」と議長は述べた。

  会合後に発表されたFOMCの声明には、「委員会はインフレ率を時間とともに2%に戻すべく十分に抑制的な金融政策スタンスを実現するためには、継続的な誘導目標レンジ引き上げが適切になると見込む」と記された。  

  FOMCの発表前の段階では、金融市場はFF金利が来年5月に4.8%程度に達し、年後半に合計0.5ポイント引き下げられると予想していた。

  パウエル議長は「まだ十分に景気抑制的な政策スタンスではないというのが、われわれがきょう下した判断だ」とし、「任務を完了するまで現在の軌道を維持する」と言明した。

  ダドリー前ニューヨーク連銀総裁はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「金融当局が望む状況を達成するまでにはしばらく時間がかかる」と指摘。「労働市場に十分なスラック(たるみ)をもたらし、2%のインフレ率と整合する形で賃金のトレンドを低下させるには、経済を十分減速させる必要がある」と説明した。ダドリー氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストで、ブルームバーグ・エコノミクスのシニアアドバイザーも務める。

  FOMC参加者の経済予測では、経済が利上げの影響を受けると当局者らがみていることがより明確に示唆された。今回の予測中央値では、23年の国内総生産(GDP)成長率予想が0.5%に引き下げられた。22年のGDP成長率については0.5%に若干上方修正。来年の失業率については4.6%に引き上げられた。11月の失業率は3.7%。

引用:Bloombergより

予想外にタカ派になったFRB

このようにパウエル議長は会見で今後の金融政策についてかなりタカ派的な発言をしています。今後の金融政策についてインフレが確実に.抑制されている確実な証拠がない限り利下げなど金融緩和は行わないという旨の発言をしました。確かにインフレはいまだ7%台であり、目標とする2%とはかなりの乖離があります。そういう意味では当然といえば当然ですが、もう少し緩和姿勢を期待していたマーケットとはやや異なる反応を示した形になります。今後の金利の見通しについてもこれまでよりも引き上げられており、インフレは落ち着いては来ていますが、完全にコントロールするにはまだ時間がかかるとみているということです。そういう意味ではこの戦いは長いものになるというFRBの覚悟を示したものなのかもしれません。

来年いっぱいは引き締めは続いていきそう

今回のFOMCにてしばらく金融緩和は期待できないということになったと思います。よほど経済がひどいことにならない限りはFRBは引き締めの手を緩めることはないでしょう。今起こっている、予想されている程度の企業業績の悪化や経済の減速程度では何もしないということです。特に労働市場の強さというのはFRBがこれだけ強固な姿勢を貫くだけの根拠となっているような気がします。そういう意味ではインフレが確実に減速するまでは金融政策での後押しというのは全く期待できないし、それは少なくとも来年いっぱいは続いていくことになるのだろうということです。そういう意味では本当に厳しい時期がしばらく続きそうです。

まとめ

今日は12月のFOMCについてみてきました。予想外にタカ派になったFRBですが、これだけインフレが長く居座り、かつ労働市場が堅調であればまあそういうこともあるだろうという感じです。そのため経済にとってはしばらく厳しい時間が続くということです。特に株式市場にとっては苦しい年と来年はなりそうな気がします。しかし、いつまでもインフレが居座ることはないでしょうし、そうなればまた株価も上昇を始めるでしょう。そういう意味では長い目でじっくり行くのがいいのかなという感じです。