ISM非製造業景況指数は予想以上に悪化

米国経済の状況は確実に悪化しているようです。先日発表されたISM指数は製造業・非製造業ともに悪化しており、景気後退へと徐々に近づいていっている感じです。雇用は何とか保っていますが、やや鈍化の傾向を示しており、先行きに関しては不透明感が増してきているような気がします。ただ、それだけに今後の金融政策が緩む可能性も予想されるので株価は上昇するかもしれません。

ISM非製造業景況指数は予想以上に悪化

先日発表されたISM非製造業景況指数は市場予想よりも大幅に縮小し、米国経済が思っているよりも厳しい状況が浮き彫りとなりました。

米供給管理協会(ISM)が発表した昨年12月の非製造業総合景況指数は市場予想以上に低下し、縮小圏に陥った。業況と受注のサブ指数がいずれも大幅に下がった。この状況が続けば需要見通しへの懸念が高まる恐れがある。

  前月からの低下幅は約7ポイントと、新型コロナ禍初期の2020年4月以来の大きさ。厳しい寒波の影響で、年末時期の移動が混乱したことや広範な地域で停電が起きたことが影響した可能性がある。

  寒波は12月末までに過ぎたが、指数の弱さが今後も続いた場合は経済が勢いを欠いていることを示唆する。12月は不動産や卸売りなど6つの業種が活動縮小を報告した。

  ISM製造業指数の生産に相当する業況の指数は54.7と、前月比で10ポイント低下。新規受注の指数はそれ以上に下げた。いずれの低下幅も同じく20年4月以来の大きさとなった。

  12月はISM製造業総合景況指数も2カ月連続の活動縮小となった。しかし、製造業者が顧客在庫は適切な水準付近にあると報告したのに対し、サービス業者は在庫水準が高過ぎるとみていることがこの日の統計で示された。非製造業の在庫センチメント指数は前月比12ポイント近く上昇して55.9と、20年6月以来の高水準となった。

  非製造業指数の仕入れ価格指数は2カ月連続で低下し、67.6。約2年ぶりの低水準だが、長期平均を依然上回っている。

  一方で入荷水準の指数は48.5と大幅に改善し、7年ぶりの低水準となった。この指数は50を下回ると納期の短縮を示唆する。

  雇用の指数は49.8と、過去3カ月で2回目の縮小圏。一部業界で従業員数が減少したことを示唆する。景気の不透明感が続く中で、人員補充が困難な状況と採用を抑制している様子が浮き彫りになった。

引用:Bloombergより

このように企業活動は想像以上にインフレのダメージを受けているようです。寒波の影響や年末年始の特殊な要因はあったとは思いますが、それでも大幅な落ち込みであり、企業活動は大きく抑制されていることがわかります。

ISM製造業景況指数も悪化傾向が続く

非製造業だけでなく、製造業の現場でもその流れは変わりません。先に発表されていたISM製造業景況指数も大きく縮小を示しており、いたるところで景気後退をにおわせる状況が相次いでいます。

米供給管理協会(ISM)が発表した昨年12月の製造業総合景況指数は、2カ月連続で活動縮小を示した。年間では2008年以来の大幅な低下となった。

  総合景況指数は2022年通年では10.4ポイント低下。グレートリセッション(大不況)期の08年以来の大幅な下げとなった。

  12月は仕入れ価格の指数が9カ月連続で下げ、1974-75年以来の長期低下局面。

  新規受注と生産の指数はいずれも縮小を示し、共に2020年5月以来の低水準。需要が一段と軟化していることを示唆した。輸出と輸入の指数も縮小を示した。

  12月は製造業の13分野で活動が縮小。木材製品や加工金属製品、化学製品、紙製品で縮小が目立った。一方、活動が拡大したのは一次金属と石油だけだった。

  今回発表された指数は、金利上昇と世界的な経済活動減速が製造業を圧迫している状況、および個人消費の傾向が財からサービスに移行していることを浮き彫りにしている。

  需要縮小とサプライチェーン問題の緩和により、入荷遅延指数は45.1と、2009年3月以来の水準に低下した。同指数は50を下回ると、入荷期間が短縮していることを示す。

  今回の統計で明るい部分は仕入れ価格が引き続き低下したことだ。仕入れ価格指数は39.4と、20年4月以来の低水準となった。

  雇用指数は4カ月ぶりの高水準。

引用:Bloombergより

このように製造業の現場もあまり思わしくありません。これだけインフレが長期化し、引き締めが継続していることを考えれば当然といえば当然ですが、やはり気分のいいものではありません。今後の先行きに関してはかなり悲観的にならざるを得ないでしょう。

今後も暗い展開が予想される

去年より予想されているように、2023年の米国経済はかなり厳しいものとなりそうです。成長率が日本よりも低いと予想されていますが、その可能性は本当に高いのだなと改めて実感しました。おそらく今回のこともまだまだ底ではなく、これからもっとひどくなっていくのだろうと思います。そういう意味ではかなりの覚悟がいる都市になりそうです。ただ、あまり景気が悪化してくれば金融政策での後押しも出てくる可能性もあるので株価はやや上昇するかもしれません。それでも長期的に見ればやや下方トレンドであることは間違いないだろうし、少し株価が上昇したからといって安易に飛びつくのは危険でしょう。

まとめ

今日はISM指数についてみてきました。米国経済は本当に深刻な状態になっています。そしてその状況はしばらく変わることはないでしょう。今後インフレの落ち着きを予想される指標が出てくるとは思いますが、だからといって一直線にインフレが落ち着いたり、景気が持ち直してくるということはないと思います。インフレはしばらく高止まりの可能性が高いですし、景気もそんなに簡単には上向きにはならないでしょう。そういう意味ではこれまでの予想通り、2023年は厳しい年になりそうです。