消費者マインドは改善もインフレとの戦いはまだまだ続く

インフレの鈍化を期待させる経済指標の発表により、今後の展開についてはやや明るい兆しが見えてきたのかなという感じがします。実際消費者心理も明らかに改善しており、その期待というのは日に日に大きくなっていると言っていいでしょう。しかし、以前よりはマシになったとはいえ、まだまだインフレ率は高すぎる状態にあると言えます。そういう意味ではあまり悲観しすぎるのも問題ですが、楽観的になりすぎるのも危険でしょう。

消費者心理が大幅に改善

昨日発表された消費者心理に関する指標は大幅に改善し、消費者マインドは急速に改善していることがわかりました。

米ミシガン大学が14日に発表した7月の消費者マインド指数速報値は急伸し、約2年ぶり高水準となった。インフレ鈍化と力強い労働市場が消費者のセンチメントを押し上げた。

  ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は「センチメントの急上昇は、インフレの鈍化継続と労働市場の安定によるところが大きい」と発表文で指摘した。

  今回の統計では、今後1年間において失業率の低い状態が続くと消費者がみていることが示された。また過半数は、所得の伸びが少なくともインフレ率と同等になると予想している。

  耐久財の購入環境に関する指数は2年ぶり高水準に上昇。家計に関する見通しも2年ぶりの高い水準となった。

  現況指数は77.5(前月69)に上げてほぼ2年ぶりの高水準。期待指数は69.4に上昇し、2年ぶりの高い水準。

引用:bloombergより

このように米国の消費者のマインドは急激に改善してきています。インフレの鈍化を確認できる指標の発表や労働市場の堅調さが影響しているのでしょう。確かに労働者が安心して労働して賃金を得られながら、物価が落ち着き出したというのであれば心理的には改善するのも当然かなという感じはします。

まだインフレとの戦いは続く

ただ、インフレはまだ収束したわけではなく、依然として高く維持されているのは確かです。そのことはFRB内部からも聞こえてきます。

米シカゴ連銀のグールズビー総裁は14日、インフレが鈍化しつつあることを示す最近の消費者物価指数(CPI)データは「期待が持てる」としつつ、インフレは当局の2%目標をまだ上回っていると指摘した。

  グールズビー氏はFOXニュースとのインタビューで、「インフレ率がかなり急速に下がっていることを示すデータが今週得られたことは少なくとも期待が持てる」と発言。「われわれが望む水準よりはまだ高いが、進展は遂げている」と述べた。

  同氏はこの日も、米金融政策当局はリセッション(景気後退)を引き起こさずに物価の伸びを抑える「黄金の道」を進んでいるとした先週の発言を繰り返した。

引用:bloombergより

このようにFRBでは落ち着きを見せたインフレにも関わらず、その警戒感を緩めることはしていないようです。確かに落ち着いてきたとはいえ目標とする2%の物価目標にはまだまだ程遠いのが実情です。そういう意味ではクールズビー総裁の発言も納得がいくものだと思います。

着地まで気を緩めてはいけない

最近は消費者物価を始めとしたインフレが収束に向かっているような兆候が相次いで見られたため、やや明るい雰囲気がマーケットにも漂っているような気がします。そのことが素直に消費者の心理にも影響したのだろうと感じています。ただ、何度も言いますがインフレとの戦いはまだ収束したわけではありません。なのでしばらくは厳しい金融政策は継続されることは覚悟しなければならないのかなと感じています。これまでは多くの問題を抱えながらもうまくコントロールしてきたFRBですが、着地まできちんとできるのかというのが注目されてくるでしょう。インフレ当初はそれが一時的なものだと言い続け、結局は今回のような大事件を招いてしまったFRBだけに、その手腕には多少の懸念があることも事実です。特に今回のインフレは非常に扱いが難しいです。緩めればインフレは高止まりし、締め付け過ぎれば急激に景気は悪化するような事態にもなりかねません。そういう意味では今後、インフレが落ち着き出した段階で適切に金融政策を行えるのかというのが注目されます。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてきました。今の所、多少の問題はあったにせようまくコントロールしてきたのではないかと思います。あとはきちんと着地ができるのかが非常に心配なところです。今の感じを見ると若干引き締めすぎて急激に経済が悪化しないかという懸念も少しあります。もちろんまだどうなるかわかりませんが、当初緩めすぎて失敗したFRBが今度は締めすぎて失敗するという展開はよくある話だなと思ったりもします。