ISM非製造業景況指数は予想外に強いものに。インフレ収束は夢のまた夢。

いったんは落ち着くとみられていたインフレですが、まだまだその時期ではなさそうです。先日発表されたISM非製造業景況指数は予想外に強いものとなり、米国の経済は力強さを見せています。これはインフレ抑制を目指すFRBにとっては非常に頭の痛い問題であり、今後の金融政策についても大きな影響を与えることになるかもしれません。そういうわけで今日は先日発表されたISM非製造業景況指数についてみていきます。

ISM非製造業景況指数は予想外に強いもの

先日発表されたISM非製造業景況指数は市場予想を大きく上回る結果となりました。最近はインフレの終息を予感させる経済指標が相次いで出てきていますが、最近の雇用統計の結果や今回の発表などを見る限り、そんなに簡単には終わらないのかなという印象です。

米供給管理協会(ISM)が発表した11月の非製造業総合景況指数は、市場予想に反して上昇した。業況指数の伸びが2021年3月以来の大きさとなり、サービス業活動の堅調さを示唆した。

  ISM製造業指数の生産に相当する業況の指数は64.7と、水準で見ると21年12月以来の高さとなった。

  1日に発表されたISM製造業指数は20年5月以降で初めて縮小圏に陥っており、非製造業指数の堅調な伸びはそれと対照的だ。

  11月は非製造業の13業種が活動拡大を報告。不動産やレンタル・リース、鉱業、農業などで特に伸びが目立った。

  雇用の指数は51.5と、前月(49.1)から改善。一方、新規受注は低下した。依然として高水準のインフレと借り入れコスト上昇を背景に、一部の消費者は支出を抑えている。

  仕入れ価格指数は前月から低下したものの70.0と、なお高水準。コロナ禍前の水準を大きく上回ったままで、インフレの抑え込みに時間がかかる可能性が示唆された。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は11月の非製造業指数が上昇したことについて、「ホリデーシーズンで事業者の活動が活発になった」と指摘。「財部門ではディスインフレ傾向が一段と広がっているが、非製造業指数の仕入れ価格サブ指数は、サービス業におけるインフレの勢いが依然強いことを裏付けた」と記した。

  世界的な需要の弱さは米国のサービス事業者も圧迫している。新規輸出受注は38.4に落ち込み、コロナ禍初期以来の低水準。

  サプライチェーンへの圧力は緩和し、入荷遅延指数が20年2月以来の低い水準となった。

引用:Bloombergより

このようにISM非製造業景況指数は予想外の上昇を見せています。これはクリスマス商戦など特殊要因があるようですが、それでもこの数値というのは意外という印象です。ISMの製造業指数のほうは鈍化の兆しを見せていますのでそれとは対照的な結果となりました。この辺も季節的な特殊要因なのかもしれませんが、いずれにせよインフレ抑制という観点から見れば非常に悪いとしか言いようがありません。

インフレ収束はまだまだ先の話

今回の結果により、今後もかなり厳しい金融政策が続いていくことが予想されます。消費者物価の発表の時はかなり楽観的な空気も出てきてはいましたが、先日の雇用統計や今回の発表を受けてその空気はかなり変わったのではないかという印象です。少なくともインフレが収まってきたと安心して言える状況ではないことは確実でしょう。そうであればこれまでのような急激な引き締めは終わるかもしれませんが、今後もしばらくは厳しい引き締めは続いていくものと思われます。そういう意味では株式市場にとっても大変厳しいといえるでしょう。

まとめ

今日はISM非製造業景況指数についてみてきました。米国経済は本当に強いです。ここまでインフレが進行し、金融引き締めが続いているというのにこの状況というのはある意味すごいというしかありません。しかし、こんな状況がいつまでも続くわけがないので今後の景気の後退というのはある程度覚悟しなくてはいけないのかなという印象です。ここまで強いとFRBとしても強力に引き締めをせざるを得ず、そうであればある時期に急激に経済が悪化するという展開にもなりやすいでしょうし、ソフトランディングの可能性というのはますます低くなったのかなという印象です。