5月の消費者物価は非常に緩やかなものとなる

昨日、マーケットが注目する消費者物価の数値が発表されました。内容としては物価上昇圧力の緩和が確認される内容となっており、インフレがより落ち着きを見せていることを示すものとなりました。このため、次回のFOMCでは厳しい金融政策はやや影を潜める可能性が高くなってきたと言っていいでしょう。

5月の消費者物価はインフレが一段と落ち着きを示すものとなった

昨日発表された5月の米消費者物価指数は非常に緩やかなものとなり、インフレが一段と落ち着いてきていることが確認できるものとなっています。

5月の米消費者物価指数(CPI)統計で、物価上昇ペースの減速が示された。米連邦公開市場委員会(FOMC)が今週の会合で過去1年余り続けてきた利上げを休止するとの論拠を補強する材料となった。

  総合、コアともに前年同月比の上昇率が4月を下回った。総合CPIの前年比4%上昇は、2021年3月以来の低い伸びとなった。

  コアCPIの前月比は3カ月連続で0.4%上昇。総合CPIの前月比(0.1%上昇)には、ガソリン価格の低下が影響した。

  FOMCは利上げを11会合連続で実施するか、経済状態を見極めるために休止するかの判断を14日に示す。

  パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長を含む複数の米金融当局者は、必要に応じてこの先引き締めを行う可能性を維持した上で、今回のFOMC会合では利上げ見送りを支持する考えを示唆している。エコノミストらは総じて政策金利据え置きを見込んでいるが、7月会合での政策判断においては同月に発表される次回のCPIが鍵を握る。

  調査会社インフレーション・インサイツ創業者のオメイア・シャリフ社長は「来月からコアCPIが大幅に軟化する公算が大きいことを示唆している点で、かなり良い統計だ」とリポートで指摘。その上で「現状からすると、7月利上げの確率を低下させるほど弱いコアCPIが示されるかどうかは疑わしい」と付け加えた。

  5月に前月比で上昇した項目は住居費や中古車、自動車保険など。一方、航空運賃や家庭用調度品などは低下した。

  ブルームバーグの計算に基づくと、エネルギーと住宅を除いたサービス価格は前月比0.2%上昇。コロナ禍前に見られた伸び率並みとなった。前年同月比では4.6%上昇と、昨年後半に付けたピークからの鈍化傾向が続いた。

   ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、アナ・ウォン氏とジョナサン・チャーチ氏は5月CPIについて、「6月のFOMC会合に利上げ見送りの余地を与える。だが、コアインフレの鈍化ペースが緩慢なことは、米金融当局が年内に利下げする可能性がいかに低いかを浮き彫りにしている」と指摘した。

  サービス分野の最大項目で総合CPIの約3分の1を占める住居費は、前月比0.6%上昇と、伸びが再び加速した。家賃の高止まりやホテル宿泊費の上昇が全体を押し上げた。

  ガソリン価格は同5.6%低下。食品は小幅に上昇。3、4月は低下していた。外食の伸びは加速した。

  食品とエネルギーを除いたコアの財価格は0.6%上昇と、2カ月連続で同じ伸び。

  CPIと別に発表された統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は5月に前月比0.3%増加と、今年最高の伸び。前年同月比では0.2%増と、この2年余りで初めての増加だった。

引用:bloombergより

このように米国の消費者物価は一段と落ち着きを見せ始めています。このため、次回のFOMCではおそらくはり上げは見送るのであろうと思われます。金融不安も依然としてくすぶる現在、インフレが落ち着きを見せているということはFRBにとっても朗報と言っていいでしょう。より柔軟の金融政策を実行できる可能性が広がり、先行きに対して若干ですが明るさが出てきたのかなという印象です。

良い兆候ではあるが、楽観はできない

今回の結果を受けて、マーケットは素直に好感して上昇しました。そういう意味では今回の指標は悪いものではなかったと言っていいのでしょう。これだけ物価の落ち着きが出てきているのであれば金融政策もそこまで厳しく実行する必要はないでしょう。そういう意味では珍しく良い兆候だったのかなという印象です。ただ、経済の先行きがこれでよくなったということではありません。一部で強気な見方も出てきてはいますが、米国経済の先行き不透明感は依然として強いです。そういう意味ではまだまだ油断するべきではないのだろうと感じています。

まとめ

今日は5月の消費者物価について見てきました。非常に良い内容であり、素直に歓迎すべきだろうと思います。しかし、これで問題がすべて解決したということではありません。おそらくは今後しばらくは米国株式の力強い回復はないのではないかと思います。そういう意味ではあまり楽観しすぎるのは良くないのかなという印象です。