労働市場は引き続き底堅く推移

米国の労働市場は引き続き底堅く推移しながらもインフレ鈍化の兆候を示しています。昨日発表された新規失業保険申請件数と継続受給者数は2ヶ月ぶりの高水準となり、労働市場がやや力を失いかけていることが確認されました。しかし、依然として申請件数事態は歴史的に低水準を維持しており、雇用は維持されつつも過熱感は収まってきているような感じです。

労働市場は引き続き底堅い

昨日発表された新規失業保険申請件数はやや高水準なものとなり、労働市場も若干の冷え込んできた形です。

米新規失業保険申請件数と継続受給者数は共に2カ月ぶり高水準となり、労働市場の冷え込みを示唆した。

  失業保険申請の4週移動平均は20万7750件に増加し、昨年11月以来の大幅増となった。失業保険の申請件数は振れが大きいことから、移動平均は短期的な変動を抑えた基調を分析できる。

  季節調整前ベースでは1万1000件増の約26万1000件。州別ではカリフォルニアやニューヨーク、オレゴンでの増加が目立った。

  ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ルビーラ・ファルキ氏はリポートで、「データは引き続き、レイオフが膨らんでいないことを示している。今のところ、労働市場の調整は、解雇の急増よりもむしろ雇用の鈍化によってもたらされており、それは歓迎されるニュースだ」と指摘した。

  ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のアナ・ウォン、エリザ・ウィンガー両氏によれば、低水準にある失業保険申請件数はコロナ禍関連の要素が影響しているため、労働市場の現状を示す信頼できる指標ではない可能性がある。両氏は最近のリポートで、失業保険申請件数が歴史的な低水準にあるのは、受給資格の欠如に加え、週間の給付金がインフレのペースに追いついていないことが原因であり、給付金を申請するよりもパートタイムの仕事を探す人が増えている可能性があると記述している。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は少しずつですが、弱さを見せてきています。しかし、歴史的に見れば今なお十分に低水準であることには変わりなく、雇用はかなり安定して守られていると言っていい状態です。その中で少しずつ雇用が悪化しているということを考えれば、インフレは確実に落ち着いてきていると言っていいのかもしれません。いずれにせよこの結果はインフレ抑制を目指すFRBにとっては引き続き朗報と言っていいのだろうと思います。インフレが落ち着いてきていることは確認できましたし、経済を悪化させるほどの雇用の喪失は起こっていないという意味では十分に満足の行くものではないでしょうか。

利下げの時期は少し後ろにずれるだろう

労働市場は本当に安定していると言っていいでしょう。本当に何が起きてもこのまま堅調に推移していってしまいそうなほど安定しています。おそらくはよほどのことがない限りは経済を失速させるような雇用の喪失はないのではないかと思いますし、そうであればFRBも思い切ってインフレ抑制に舵を切ることができるでしょう。そういう意味ではやはり利下げはやや遠のいたような気がしますし、3月の利下げの可能性はあまり高くはないのだろうという印象です。

まとめ

今日は新規失業保険申請件数について見てきました。雇用はやや悪化したものの引き続き底堅い労働市場を確認した形です。そういう意味では利下げの判断もそう急ぐ必要はないのかなという感じがします。これまでのFRBの発言を考えると利下げの時期はそう早くはない可能性が十分にあり、これまでの楽観的だった市場はその考えを修正してくることでしょう。そういう意味ではやや株式市場は弱く推移するのかなという印象です。