3月の消費者信頼感指数は予想外に強いものになる

金融不安がくすぶる中、消費者の心理というのは意外と明るいことがわかりました。先日発表された3月の消費者信頼感指数は市場予想に反して上昇し、消費者心理は意外と楽観的であることが確認されました。依然として金融不安は解消されていませんが、消費者にとっては他人事という感じなのかもしれません。

消費者心理は意外と楽観的

昨日発表された3月の消費者信頼感指数は市場予想に反して強いものでした。

米民間調査機関のコンファレンスボードが発表した3月の米消費者信頼感指数は、予想に反して改善した。景気や労働市場の先行きに関して楽観的な見方が強まった。

  今後6カ月の見通しを反映する期待指数は、73に上昇した。一方、現況指数は151.1に低下した。

  コンファレンスボードの経済担当シニアディレクター、アタマン・オジルディリム氏は「期待指数の上昇で3月の信頼感指数は若干改善したが、2022年の平均をなお下回っている」と指摘。「上昇は55歳未満の消費者と年収5万ドル以上の家計の見通し改善を反映している」と述べた。

  調査はシリコンバレー銀行(SVB)破綻から1週間余りが経過した3月20日までの回答が基になっており、銀行不安は今のところ、消費者信頼感にほとんど影響していないことがうかがえる。

  雇用が十分にあるとの回答比率は49.1%に低下。5カ月ぶりに下げたが、統計上なお高い水準にある。職を得るのは困難との回答比率は前月からほぼ変わらず。

  両回答の差は昨年11月後で初めて低下した。エコノミストらは労働市場の逼迫(ひっぱく)状況を判断する指標として、この差に注目している。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「予想外の消費者信頼感上昇は、平均的な消費者にとって銀行セクターの混乱よりも雇用や収入の方が大事であることを示している。年内にリセッション(景気後退)入りした際に状況は大きく悪化すると予想している」と述べた。

  今後6カ月間の支出計画に関する特別質問では、テーマパークや外食といった裁量の度合いが高いカテゴリーでは支出減少が示されたが、ヘルスケアや自動車修理などは支出増の回答となった。

  大型商品の購入に関する回答は強弱まちまち。自動車やテレビの購入計画は拡大したが、大型家電の購入計画は後退した。新築や中古住宅の購入計画はわずかに増えたが、依然として低水準にある。

  1年先のインフレ期待(中央値)はわずかに上昇した。

引用:bloombergより

このように米国の消費者は景気の現状について楽観的です。インフレも依然として高く、金融不安も全く解消されていませんが、消費者にとってはあまり大きな問題ではないようです。確かに雇用は今のところ堅調であり、実質賃金は低下しているとしても心理的な不安というのは案外小さいのかもしれません。そういう意味では実体経済と消費者の心理というのは大きく乖離してきていると言っていいのでしょう。

雇用が不安定化すれば一気に状況は変わる

消費者心理がネガティブになっていないということは経済にとってはプラスでしょう。ただでさえ、個人消費の旺盛な国です。その個人の心理が全く後退していないというのは今後も消費が期待できるということであり、いいことだと思います。実際、シリコンバレーバンクのはたんなどはほとんどの国民にとっては関係ないというのは確かだと思います。そういう意味では身近な金融機関がおかしくなっていないというのであればそれほどパニックにはならないのかもしれません。ただ、現状はそうであっても先行きについては正直あまり楽観的に離れないような気はします。この明るい消費者心理を支えているのは堅調な雇用です。経済がこれだけ悪化しているのにも関わらず、雇用が安定しているという安心感からこのような状態が続いていると言っていいと思います。なので何らかのきっかけで雇用が不安定化すれば、この心理というのも一気に反転することは十分に考えられます。そしてそのときはそんなに遠くはないと思っています。企業も可能な限り従業員を解雇しないようにしているようですが、これだけ企業業績が悪化してくればそれもいつまでも続かないでしょう。そういう意味では現状はいいですが、将来に対する不安解消ということにはならないのかなという印象です。

まとめ

今日は3月の消費者信頼感指数について見てきました。米国の消費者は意外と楽観的です。金融不安もインフレも今の所ネガティブに捉えてはいないようです。ただ、あくまで現状そうだということであり、将来に渡ってそれを保証するものではないでしょう。特に雇用が不安定化してくればそれは一気に反転する可能性が高いと思います。そういう意味では急激な情勢の変化というものを覚悟しておいたほうがいいのかなと思います。