1月の雇用統計は相変わらずの底堅さ。早期利下げの可能性は更に遠のく。

市場が期待する利下げの可能性は一段と遠のいたようです。昨日発表された1月の雇用統計は市場予想を大きく上回る結果となり、労働市場は今なお力強く維持されていることが確認されました。雇用が強い事自体は経済にとって良いことですが、それによりインフレはさらに加速させるリスクもあり、なかなか複雑な状況だと言っていいでしょう。そういう意味でもFRBが利下げの判断をするにはやや勇気がいる状況なのかなという感じです。

労働市場は相変わらず底堅い

昨日発表された1月の雇用統計の結果は市場予想を大きく上回るものでした。

1月の米雇用統計では雇用者数が1年ぶりの大幅増となり、賃金の伸びも加速した。労働市場が予想外に再び勢いを増していることが示唆され、早期に米利下げが行われる可能性が一段と低下した。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合日程に連動するスワップ契約では、3月の利下げ確率がさらに低下。2024年全体の利下げ幅予想も後退した。

  チャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は「これはFOMCが据え置きを続けることを間違いなく正当化する」と指摘。「経済は高水準の雇用を生み出すほど十分に力強い。平均時給が前年同月比4.5%上昇しているのは、米金融当局者の多くにとって需要サイドからの潜在的なインフレを示唆する」と述べた。

  1月はヘルスケア、専門職・ビジネスサービス、小売りでの雇用増が目立った。

  今回の堅調な統計は、労働市場が個人消費の原動力となり、景気拡大を支えてきたことを浮き彫りにした。一方で、雇用ペースが緩やかに減速しているのかについては疑問を生じさせた。雇用ペース減速はこれまで賃金の伸びを抑制し、インフレ率を低下させるのに寄与していた。

  米金融当局者らは景気拡大を維持する上で十分に力強い雇用の伸びが続くことを望んでいるが、インフレが2%目標への鈍化を続けるとの確証を待つ中で、より緩やかな賃金上昇を確認したいとも考えている。

  賃金は労働時間の減少によって押し上げられた可能性が高い。1月分の調査が実施された週は、米国の多くの地域で厳冬が続き、経済活動が混乱した。テキサス州で氷点下となったほか、中西部では大雪、北東部では洪水が発生した。

  悪天候のために就労しなかった労働者数は50万人を超え、ほぼ3年ぶりの高水準となった。

  週平均労働時間は34.1時間と、前月(34.3時間)から減少した。

  2024年最初の雇用統計で雇用者数が予想外の大幅増となったことは、バイデン大統領にとっては朗報となりそうだ。バイデン氏は11月の大統領選に向けて、経済は好調だと有権者を納得させようと努めている。

  労働参加率は62.5%で、前月と変わらず。男性の参加率は低下したものの、女性の参加が進んだ。

引用:bloombergより

このように米国の労働市場は今なお健在です。ここしばらくはこのように市場予想を上回る労働市場というものばかり見ているような気がしますが、今回もその流れは変わらないといった感じです。この結果によりFRBは利下げの選択肢を選ぶ可能性は一段と低くなったと言わざるを得ません。これだけ労働市場が強く、賃金も上昇しているとなればインフレ圧力も未だ強力であると見たほうがいいでしょう。そのような段階で利下げを行えばさらなる物価上昇を招く恐れがあり、なかなかその判断には踏み切れないだろうと思います。市場では3月にも利下げを期待していましたが、その可能性はかなり低くなったと言っていいでしょう。

早期利下げはやはり期待できない

やはりというか労働市場は相変わらず強いなという感じです。これまでもこのように予想外に強い労働市場というのは見てきましたが、それは今なお変わらないといった感じです。個人的には以前から市場が予想するような早期の利下げは難しいのではないかと思っていましたが、その予想はやはり間違っていなかったように思います。現在の米国の労働市場は我々が思っている以上に強固です。そういう意味ではよほどのことがない限り経済を急激に悪化させるような状態には変化しないでしょう。なのでおそらくは労働市場もゆっくりと落ち着いていくでしょうし、それに伴いインフレも徐々に鈍化していくことでしょう。そういう意味でも利下げは今年の半ばから後半に始まるというのが第一印象というところです。

まとめ

今日は1月の雇用統計について見てきました。米国の労働市場は本当に底堅く、おそらくはその傾向はしばらく変わらないのでしょう。そういう意味では経済もそこまで悪化しないでしょうし、インフレもゆっくりゆっくりと落ち着いていくのでしょう。なのであまり焦らずじっくりと構えておくことがいいのだろうと思います。