早期利下げの可能性を否定するFRBボウマン理事

先日の雇用統計の結果を受けて利下げの時期がやや後退する観測が出てきていますが、当局からもそのような発言が出てきています。市場の見方と当局の見方が一致しており、そういう意味ではその流れはかなり確実なものとなってきているような気がします。

利下げ時期はいつになるのか

先日、FRBのボウマン理事は現在の金融政策について以下のような発言をしています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は政策金利が現行水準のままでインフレ率はさらに低下するとの見方を示すと同時に、まだ利下げを検討すべき時期ではないと述べた。

  ボウマン理事はハワイ州マウイ島で開かれたイベントで講演。事前原稿によると「まだその段階に達していないというのが私の見方だ」と述べた。借り入れコストの早過ぎる引き下げについても警告を発した。

   「将来の政策スタンスの変更を検討するに当たっては、引き続き慎重な姿勢で臨むつもりだ」とし、「政策金利の引き下げが早過ぎた場合、長期的にインフレ率を2%に戻すために、将来にさらなる政策金利引き上げが必要になりかねない」と述べた。

   インフレ鈍化を示す最近の指標については「勇気づけられる」とし、物価上昇率が持続的に目標とする2%に向かった場合、「金融政策が過度に景気抑制的になるのを防ぐため、いずれ政策金利を徐々に引き下げることが適切になるだろう」と述べた。

  しかし、経済はまだその状態には達しておらず、「重要なインフレ上振れリスクが多く残っている」と同氏は指摘。地政学的状況がサプライチェーンを停滞させる恐れや、金融状況の緩和継続が需要を押し上げるリスク、労働市場の逼迫(ひっぱく)が引き続きサービス価格上昇につながる可能性を例に挙げた。

引用:bloombergより

このようにボウマン理事は利下げの開始についてはまだまだ慎重な姿勢なようです。もともとボウマン理事はタカ派的な発言をしてきていましたが、その流れは変わっていないというところです。そしてボウマン理事を始め、このような発言はFRB内部には多く存在していますし、ハト派の人たちでも慎重に行動すべきというところは一致しています。要するに今の所、利下げを実行するほど確定的なことは言えないということでしょう。少なくともそうなるにはまだまだ確証を得られていないということです。そして今回の雇用統計の結果は利下げへの動きを後押しすることにはならなかったということでしょう。

FRBは非常に慎重姿勢

おそらくは今後もこのような慎重な物言いは続いてくることでしょう。もともとFRBはタカ派もハト派も慎重な姿勢であることには変わりなかったように思います。そしてデータを重視するという姿勢も共通しています。当たり前といえば当たり前だとは思いますが、憶測や思い込みでは金融政策は実行されないということで、責任ある立場の人間の発言といったところでしょう。そういう意味ではマーケットの動きや雑音には流されず、原則をしっかりと守って政策を実行しているのだろうと思います。そういう意味では今回のボウマン理事の発言もその姿勢は変わっていなことを確認するものですし、安心感はあるのかなという感じです。いずれにせよ、利下げは市場が予想するような早期の開始はなかなか厳しい状況になってきたというところでしょう。全てはデータ次第ですが、今後もそこまで急速な動きというのはないような気がします。ゆっくりとゆっくりとインフレは収束し、利下げも行われていくのでしょう。

まとめ

今日はボウマン理事の発言を見てきました。利下げがあるに行われる可能性はかなり低いのかなという感じです。もちろんその可能性もないわけではありませんが、現状を見る限り、インフレの減速スピードがよほど急速に鈍化したり、景気の急減速などが起きなければないのかなという感じです。そういう意味ではマーケットが当初期待していた早期の利下げというのは厳しい状況となっていると思われます。