金融政策の変更の時期は確実に近づいているようです

物価上昇の鈍化により、金融政策についての議論が白熱していますが、今のところまだ結論は出ていません。しかし、やはり今後の引き締めについてはやや緩やかになる可能性は高くなってきたのかなという印象です。アトランタ連銀総裁もそのような発言をし、その可能性を示唆しています。そういう意味で今日はアトランタ連銀総裁の発言についてみていきたいと思います。

金融政策の変更の可能性は日増しに強くなる

アトランタ連銀総裁のボスティック総裁は講演で今後の金融政策について、条件付きではありますが、徐々に引き締めペースを緩めるべきであるとの見解を示しました。

米アトランタ連銀のボスティック総裁は19日、米経済のソフトランディング(軟着陸)を確実にするため、今後複数回の利上げ幅は計100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)までとし、金融政策引き締めペースの鈍化が好ましいとの認識を示した。

  フロリダ州での講演向け原稿でボスティック総裁は、「経済が私の予想通りに推移すれば、75-100bpの追加引き締めが妥当だと確信する」と指摘。「さらなる措置が必要なことは明らかであり、その水準の政策金利なら、合理的な期間にわたってインフレを抑制するのに十分だと信じる」と述べた。

  ボスティック総裁の計画は利上げ幅を75bpから縮小しつつ、向こう数回の金融政策決定会合で政策金利を4.75-5%まで引き上げるという内容だ。この最終到達点について総裁は、米金融当局が長期にわたって維持することで物価に下押し圧力を与え続けられる「適度に抑制的な」金利水準とみている。

  連邦公開市場委員会(FOMC)は今月2日、75bpの利上げを決め、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは3.75-4%となった。75bp利上げは4会合連続。一部FOMCメンバーは12月半ばの次回会合では、経済状況次第で利上げ幅の50bpへの縮小を検討する可能性を示唆している。

  ボスティック総裁は「ペースという点では、経済が向こう数週間に私の予想通りに推移するなら、次回会合から75bp利上げから離れ始めることに抵抗を感じないだろう」と語った。

  FF金利の誘導目標レンジを最終的に4.75-5%とするボスティック総裁の見方に対し、FOMCメンバーの中からはタカ派的な見通しも聞かれる。セントルイス連銀のブラード総裁は17日、インフレを鈍化させるためには政策金利を「最低」でも5ー5.25%に引き上げるべきだとしたほか、十分抑制的な政策金利について5-7%程度になる可能性があると説明した。

引用:Bloombergより

ボスティック総裁はこのように述べ、今後はこれまでのような急激な引き締めはそろそろ終わりに近づいてきている可能性について述べました。今後の経済指標等の状況には寄ると思いますが、インフレもピークを売った可能性も高くなってきており、これまでのような急激な引き締めというのはもう必要ないということでしょう。これ以上引き締めを続けると目標であるソフトランディングの失敗を招く可能性も出てくるため、慎重に判断するべきだと考えているものと思われます。

当然ながらまだ何も決まっているわけではない

最近はこのような引き締め政策の若干の修正を見込む発言が多くなってきているように思います。今回のボスティック総裁を含め、多くのFRB関係者がこのような発言をしています。そういう意味でもそろそろ金融政策も転換点に近づいてきているというのは間違いなさそうです。もちろんその辺については今後の経済指標や物価の動向などを受けて柔軟に変更するということだとは思いますが、想定通りに進むのであればこの急激な引き締めというのはもう終わるということだと思います。

仮に金融政策の変更があったとしても株価は大きくは上昇しないだろう

ただ、金利の引き上げが終わったからといってすぐにインフレが収まるということではないでしょう。おそらくはインフレ収束にはそれなりの時間がかかると思われますしその間は政策金利は高止まりするものと思われます。そういう意味では株式市場も以前のような金融緩和で資金が大量に流れ込んでくるというような状況にはならないと思われます。景気後退の懸念もありますし、そういう意味では株式市場は大きな上昇は見込みづらいのかなといった印象です。

まとめ

今日はアトランタ連銀総裁のボスティック総裁の発言についてみていきました。金融政策の変更の可能性は日に日に高くなっているのかなという印象です。もちろん祖ならない可能性もまだ十分にありますし、注意は必要です。ただ、いずれにせよすぐに株価が急上昇するような景気回復が起こるとはとても思えませんので、しばらくは忍耐が必要な状況は続いていくことでしょう。