金融政策の変更の時期はすぐそこまで来ている可能性が非常に高くなっているようです

これまで急激に上昇を続けてきた政策金利ですが、そろそろ終わりが見えてきているようです。先日公開された11月のFOMC議事録では急上昇してきた金利について、そのペースを落とす日が近いことを予想する発言が相次いだようです。最近の物価の動向からそのような観測は多く出てきていましたが、FRB内部でもこのような議論がなされていたということは、その可能性が確実に高くなっているといっていいでしょう。そういうわけで今日は先日発表されたFOMC議事録についてみていきます。

FRBは意外とハト派に傾斜している

先日、11月に行われたFOMC議事録が公表されました。その中で参加者の多くは今後の金利について、これまでのような急激な上昇のペースを緩める時期が近いという観測をしていることがわかりました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が11月1、2日に開いた会合では、利上げのペースを落とすことが近く適切になると当局者らは判断した。12月会合での利上げ幅を0.5ポイントに減速する方向に傾いていることが示唆される。

  23日公表された議事要旨では、「参加者の大部分は、引き上げペースの減速が近く適切となる可能性が高いと判断した」と記された。

  同時に、「さまざまな」当局者が「委員会の目標達成に必要なフェデラルファンド(FF)金利の最終的な水準は、従来の見通しを幾分か上回る」と結論付けた。

  スティーフル・ニコラウスのチーフエコノミスト、リンジー・ピエグザ氏は、利上げの「ペースを落とす必要性の受け入れが広がっている」とし、金融当局者の間では0.5ポイントへの減速に顕著な傾きが見られると述べた。

  ブルームバーグ・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏は「FOMC議事要旨では、委員会とスタッフ双方のレベルで意外なほど強いハト派寄りの傾向が明らかになった」とし、「委員会の中で利上げペース減速に対する幅広い見解の一致が見られる。そうした見解はブレイナードFRB副議長が擁護してきたとわれわれはみている。一方で金利がどこまで上昇すべきかについては、ほとんど確信が見られない」と分析した。

  当局者らは金融政策が経済とインフレに影響を及ぼす上での遅効性、そして累積的な引き締めがどの程度の時間を経て支出と雇用に影響を与え始めるかについて協議。幾人かの当局者は、利上げペース減速によりFOMCは目標に向けた進展状況を判断できるようになるとの考えを示した。

  議事要旨では「金融政策行動が経済活動とインフレに影響を及ぼす時間差と度合いが不透明なことも、そうした評価が重要とされる根拠に含まれる」と指摘した。

引用:Bloombergより

このようにFRB内部でもそろそろ利上げのペースを落とす必要性について議論がされていたようです。最近は消費者物価や生産者物価が予想以上に鈍化していることが判明しており、インフレは確実に落ち着いてきている可能性が示されています。そういう意味でもこれまでのような急激な引き締めというのはこれからは悪影響の方が大きいという判断もされているのでしょう。いずれにせよFRB内部では市場が思っているほどにタカ派に傾いているわけではないということです。そういう意味では今後は予想よりも引き締めは緩くなっていくのかもしれません。

短期的には株式市場にとってはプラスだろう

今回の発表を受けての印象は思ったよりもFRBはハト派の人が多いのかなといった印象です。ジャクソンホール会議以降のパウエル議長をはじめとした関係者の発言を見る限り、かなりタカ派に傾いていたと思っていましたが、意外とその辺は柔軟に対応していくという感じのようです。これがいいのか悪いのかといったところは正直わかりませんが、少なくとも今後はやや引き締めは緩んでいく方向へと向かう可能性が高くなったのは確実でしょう。そういう意味では予想よりも強力な引き締めというのは長く続かないのかなという印象です。そういう意味では株式市場にとっては追い風ということになるのかなとは思います。しかし、その結果としてインフレが長期停滞するようなことになり、成長を阻害するような事態になれば結果として株式市場にとってもマイナスとなるでしょうから、何とも言えないというのが正直なところです。一個人投資家としてはこの判断が正しいことを切に願うばかりです。

まとめ

今日は先日公開されたFOMC議事録についてみてきました。正直予想以上にFRBはハト派に傾斜しているような印象でした。そういう意味では少なくとも短期的には株式市場にとってはプラスでしょう。後の問題はそれできちんとインフレを抑制できるのかということです。目標とする2%の物価上昇へとなかなか近づかないようであればそのうち景気も悪化するでしょうし、株価も上昇していかないと思います。であれば一時的にけがをする覚悟で引き締めた方がいい可能性も出てきます。そういう意味では若干の心配もありますが、そこはFRBの判断が正しいことを祈るばかりです。