6月のFOMC議事録が公開。タカ派の意見が今後どうなるのか。

前回のFOMCでは政策金利の引き上げを停止したFRBでしたが、それは何もすべての参加者が望んだものではなかったようです。昨日公表された6月開催のFOMCの議事録によると、金利据え置きに対して反対意見を述べている参加者がいたということです。もちろん多くの参加者は金利据え置きを支持したためにこのような結果になったのだと思いますが、少なくとも前科一致ということではなかったということでしょう。その事自体何ら珍しいことではないでしょうし、特別問題ということではないでしょうが、現状の厳しいインフレを考えると次回の会合では更に厳しいやり取りが行われるのかもしれません。

FOMC議事録が公開される

昨日公表された6月のFOMC議事録では参加者が全会一致で金利の決定をしたのではないということが確認できました。

米連邦公開市場委員会(FOMC)が6月13、14両日に開いた会合では、全会一致という表向きの決定が示唆するほど参加者の見解はそろっていなかった。一部は利上げを支持したものの、最終的には金融政策維持の判断に賛同した。7月5日に公表された議事要旨で明らかになった。

  議事要旨は「ほぼ全ての参加者がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5-5.25%に据え置くことが適切、あるいは容認できると判断した」とした。その上で「一部の参加者は今会合で目標レンジを25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げる方が好ましい、ないし、そうした提案を支持できたかもしれないと表明した」と記した。

  利上げを支持した当局者らは、タイトな労働市場のほか、インフレ率が当局の2%目標に向かって減速している兆しが比較的乏しいことを挙げた。

  議事要旨は、政策当局者にとって今回の決定がいかに厄介なものだったかを示している。決定は金利据え置きだったが、ほぼ全ての当局者が追加利上げが適切となる公算が大きいと述べ、大部分の当局者はそのメッセージを伝達するために会合後のコミュニケーションが極めて重要になるだろうと強調したことが分かった。

  今回の議事要旨はまた、7月会合での利上げ見通しを補強するものとなった。

  FOMCスタッフが6月会合向けに準備した経済予測は、金融環境が既に逼迫(ひっぱく)している中で銀行の信用状況が一段と引き締まる見込みであり、その影響が年内に経済を浅いリセッション(景気後退)に導くと引き続き想定。その後の景気回復は緩やかになるとみている。

  その上で議事要旨では、「労働市場環境の強さと消費支出の堅調さが続いていることを踏まえると、緩やかなリセッションという基本シナリオとほぼ同程度の確率で、経済はゆっくりと成長を続け、景気下降を回避する可能性があるとスタッフはみている」と記された。

  7月25、26両日に開催される次回会合の前には、6月の米雇用統計(7日発表)と6月の米消費者物価指数(CPI、12日発表)という主要な指標が控えている。

引用:bloombergより

このように金利据え置きという決定は参加車全員が求めていたものではないようです。一部とはいえもう少し厳しい政策を求める委員がいたようで、おそらくは相当活発な議論がかわされたことでしょう。もちろん決定に対してどうこう言うことはありません。決まったことをあとから行っても仕方のないことです。しかし、現状のインフレの状況を見る限り、タカ派の意見がより強くなることは避けられないのかなという感じがします。インフ予想よりもかなり粘着性が高く、しつこく居座っています。そういう意味ではタカ派次回の会合ではより強くなってくるのかなという感じです。もちろん次回の会合までに雇用統計や消費者物価の数値など金融政策に大きな影響を与える経済指標の発表が多く控えており、それ次第でどうとでもなるという感じはします。しかし、今現在想定されるシナリオを考えたとき、よりタカ派になる確率は小さくないだろうというところです。

果たしてソフトランディングはできるのか

前回の会合でこのような状況だったということは次回のFOMCではよりタカ派になるのは確実なのかなと感じます。もちろん今後の経済指標次第というところもありますが、少なくとも現状を見る限りハト派に移行する確率はほぼないと言っていいでしょう。それほど経済指標は弱くなく、インフレがいまだ強いということです。今年後半にはFRBも経済がある程度失速すると見ているようですが、それも想定通り行くかどうかはわかりません。予想通りの弱い失速であればそれこそインフレを抑え込みながら経済をある程度保ち続けるというソフトランディングでインフレを抑制できたということになるでしょう。それを目指しているFRBなのでそうなればよいですが、その確率というのはそう高くはないような気はします。インフレ予想を含め、これまで多くの予想を外してきたFRBが今度も失敗しないか気にしている人も多いと思いますし、そうならないようにと願っていますが、果たしてどうなのかなというところです。

まとめ

今日は公開された6月のFOMC議事録について見てきました。やはりFRB内部ではタカ派の意見というのが少数ながら存在していたということでしょう。そしてその存在感というのは少なくとも次回は前回よりも大きくなるはずです。今の所、7月に25bpの利上げを一回するのみと市場は見ていますが、それで終わらない可能性も十分にあることは覚悟しておいたほうがいいでしょう。おそらく市場よりもFRBのほうがやや悲観的にインフレを見ている気がします。そういう意味で今後はやや株式市場が荒れる可能性もあるのかなとい感じです。