再び円安へと動き出した為替市場

為替が再び円安に動き出しました。為替市場では1ドル=133円円台となり、2002年4月以来の安値を付けました。一時、急激に進んだ円安ですが、ここのところはやや落ち着いて様相を示してきましたが、ここへ来て日米の金利差を意識した動きが出てきたように思います。両国の金融政策を考えればこの流れはしばらくは続くものとみられます。投資家として、特に米国への投資をしているものにとっては為替の動向というのは必ず頭に入れておくべきです。そういうわけで今日はドル円の為替市場についてみてみます。

再び円安に動き出す

6日の為替市場ではドル円は一時131円台に乗せるなど、落ち着いていた為替市場が再び円安の方向へと動き出しました。

6日の外国為替市場で円がドルに対する下げを拡大し、20年ぶりの安値を更新した。日米の金利差拡大が円を押し下げている。円は5月9日に付けた1ドル=131円35銭を割り込み、一時0.6%安の131円68銭と2002年4月以来の安値を付けた。タカ派姿勢を強める米金融当局や米国債利回りの上昇が円を圧迫。とりわけ今年3月以降は円が下げ足を速めている。6日は米国債利回りが上昇を続け、10年債利回りは3.07%に達した。一方、同年限の日本国債利回りは0.24%にとどまっている。ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、ブレンダン・マッケナ氏は「近い将来にわたって米当局は利上げを継続し、日本銀行は金利据え置きを続けるとみている。この動きが変わらない限り、円安が続くはずだ」と語った。

引用:Bloombergより

131円35銭というのは約20年ぶりの水準です。そしてこの流れというのはここで終わりということはなく、その後も133円台まで下落していきました。現在の日米の金融当局の動きを見れば今後もこの流れは続くものとみられます。

日米の金利差は今後も拡大していく

FRBはすでに今後2回のFOMCでも0.5%の利上げを継続していくことを発表しています。そしてその後も状況によってはさらに厳しい対応もする可能性をちらつかせています。そのため米国の金利はこれからも上昇していくことはほぼ間違いありません。対して日本については先日も日銀の黒田総裁は今後も金融緩和の姿勢は変わらずに続けていくことを述べています。

日銀の黒田総裁は6日、都内の講演で、日本経済は欧米とは異なり、新型コロナの感染拡大前の水準を回復できていないなどとして「金融引き締めを行う状況には全くない」と述べ、今の大規模な金融緩和を続ける方針を強調しました。この中で黒田総裁は、日本経済の現状について「感染症による落ち込みからの回復途上で、欧米とは異なり、感染拡大前の水準を回復できていない。また、日本は資源輸入国であり、最近の国際的な資源価格の上昇によって所得面で下押し圧力を受けている」と指摘しました。そのうえで「金融引き締めを行う状況には全くない。経済活動をサポートすることが最優先課題だ」と述べました。

引用:NHKより

引用:NHKより

このように日銀の黒田総裁は述べており、日本の金融緩和の流れは変わりそうもありません。最近のエネルギーや食糧価格の上昇を受けて日銀の金融政策も変化があるのではないかという憶測も流れていましたが、その可能性は低いといっていいでしょう。実際、エネルギーや食品のような価格変動の大きいものを除けばいまだ日本のインフレ率というのは1%に満たない状況です。であれば日銀としては大きな政策を変更する必要はないというのは当然なのではないかと思います。そういう意味でも日本の金融政策の変更というのは当分ないと思われます。

長期的な視点で投資は望むべき

このように為替市場においては円安が進みやすい環境が今後も続いていくものと思われます。もちろんこのまま永遠に円が安くなり続けるということはないでしょうが、短期的にはこの流れが変わる可能性は非常に低いと思われます。そういう意味でもそのことを頭に入れて投資を行っていくべきです。海外への投資を行う上で為替というのは避けて通れる問題ではありません。現在の急激な為替の動きというのは特に初心者にとっては怖いように思えるかもしれませんが、長期的な投資を行っていればこのようなことは常に起こることであり、何も恐れることではないということが分かってくるものです。私自身、昔は為替の動きにかなり敏感になっていた時期もありますが、経験を積むにつれそんなこともなくなりました。そういう意味でもあまり楽観的になりすぎるのも問題ですが、きちんと現状を認識しつつ、投資を継続することが大切でしょう。

まとめ

今日は再び動き出した為替についてみてきました。為替市場は今後もしばらくは円安の傾向は続いていくことでしょう。つまりは円の価値がどんどんと下がっていくわけであり、外貨での運用の重要性が増すということでもあると思います。そういう意味でも米国をはじめとした海外への投資の重要性はますます高まるでしょう。そういう意味でも私は今後も米国への投資を続けていくつもりです。短期的には米国は下落する可能性は高いと思いますが、長期的には上昇していくものと思われます。なので早いうちに種は巻いておいた方がいいと思います。