エネルギー関連企業の超過利潤への課税で価格高騰はなんとかなるんだろうか

エネルギー価格の高騰は全く収まる気配がありません。日本でも光熱費の上昇が家計や企業活動を圧迫しはひめていますが、欧米では日本とは比べ物にならないほどの価格上昇が起こっています。そのため各国政府は対策に乗り出しています。先日、米国政府はその対策費を賄うために石油・ガス会社への超過理恵菌に対する課税を検討しているというニュースが出てきました。今回のエネルギー価格高騰によりエネルギー業界は非常に大きな利益を上げているのだからその分を利用しようということです。消費者としては当然だという意見も出てきそうですが、エネルギー会社からすればたまったものではないでしょう。というわけで今日は先日発表されたエネルギー関連企業に対する課税についてみていきたいと思います。

超過利潤への課税が検討される

米国ではエネルギー価格の高騰が深刻な問題となっていますが、それを解決するための手段としてエネルギー関連企業への課税を検討しているようです。

バイデン米政権は、石油・ガス会社の超過利潤に課税してエネルギー価格の高騰にあえぐ消費者の支援金に充当する案を検討している。一部の議員が提案していた。国家経済会議(NEC)のラマムルティ副委員長が2日明らかにした。

シンクタンクが開いたパネル討論会で同氏は「超過利潤税についてはさまざまな興味深い提案や制度設計の選択肢がある」と述べ、各案を慎重に検討しており、議会と設計に関する協議も行っていると語った。

エネルギー価格高が追い風となり石油大手は今年、過去最高益を上げている。石油生産で国内最大手エクソンモービルは第1・四半期の純利益が前年同期の約2倍に膨らんだ。

バイデン政権は石油生産者が価格を抑えるための増産に投資していないと批判してきた。

英政府は先週、石油・ガス会社に25%の超過利得税を一時的に課すと発表した。また、総額150億ポンド(189億ドル)の家計支援策も打ち出した。

米上院の民主党系議員などによる法案は、石油大手が国内生産あるいは輸入した原油に四半期ごとに課税する内容で、消費者には年間数百ドルの税還付を行う。ただ、法案成立は見通せていない。

引用:ロイターより

石油をはじめとするエネルギー企業は最近のエネルギー価格高騰の影響により非常に大きな利益を得ています。それを徴収して価格高騰対策に充てようというのですが、若干安易な考えなような気がしないでもありません。確かに予想外に大きな利益を得られていることは確かですし、多少であれば問題ないかもしれませんが、そのようなことがまかり通ってしまえば今後もことあるたびに利益を税金として持って行かれそうです。そう考えるとエネルギー企業としてはあまりうれしくはないでしょう。ただでさえ最近は化石燃料に対する風当たりは強いです。今後もこれまでのような順調な企業活動ができるのか全く保障されていない状況です。であれば稼げるときに稼いでおこうと思うのが普通ではないかと思います。なのでエネルギー企業としてはあまり面白くはないでしょう。バイデン政権はきちんとした投資をしていないといいますが、企業が投資をしようという意思をそいできたのはむしろ政治の方です。投資したところで環境問題がどうのといって厳しい仕打ちをするというのであれば投資などしません。投資をしろというのであればそうできるような後押しを政府としてするべきです。

英国ではすでに決定されている

今回の米国での話は英国で先に行われています。すでに英国政府は石油・ガス会社に町家利益税を課すことを決めています。こちらはそれによる投資意欲をそがないように設備投資に対する控除を合わせて発表するなど対策をしています。おそらくは米国でもそのような石油・ガス会社に対する支援策も併せて行われるとは思いますが、どうなるのかはわかりません。いずれにせよエネルギー関連業にとってはいいニュースということにはならないと思います。過去を見るとこのようなインフレ下においてはエネルギー関連株というのは比較的良いパフォーマンスを残してきました。なので今回もそれなりに良い結果は出すとは思いますが、若干足かせを科せられるような事態になってきたので心配しているところです。

まとめ

今日は石油・ガス会社に対する課税についてみてきました。ここ最近のエネルギー価格の高騰や関連企業の大幅な増益等を見ればある程度仕方ないのかなとは思いますが、少なくとも企業活動を抑制することにはなります。そういう意味では投資家として心配になる事案です。その徴収した税金を市民や企業へ還元することによって経済が活性化するのであればいいのですが、果たしてどうでしょうか。個人的にはあまり大した解決策にはならないような気がしています。