意外と好調な米国経済は一時的で終わる可能性が高いのであろう

非常ニキビいい状況が続く米国市場ですが、ここへ来て改善の兆しも見えてきています。昨日発表された経済指標はいずれも予想外に良好なものであり、インフレ緩和を受けて経済活動が活発になってきたことの現れかなとおもいます。ただ、このまま一本調子で行くとはとても思えず、楽観論は禁物といったところです。

製造業は意外と好調

昨日発表されたニューヨーク連銀製造業景況指数は予想外に強いものとなり、経済活動が考えられているよりも好調である可能性が示唆されました。

4月のニューヨーク連銀製造業景況指数は、市場の予想外に活動拡大を示した。拡大圏に浮上するのは5カ月ぶり。新規受注と出荷が急回復した。

  需要を示す指数が大きく改善し、新規受注の指数は過去最大の46.8ポイント上昇となり、25.1と1年ぶり高水準。出荷の指数は37ポイント余り伸びた。

  仕入れ価格指数は約9ポイント低下し、投入コストのインフレ緩和が示唆された。一方、販売価格の指数は小幅に上昇した。

  雇用者数の指数は雇用者数が3カ月連続で減少したことを示唆。週平均労働時間の指数も縮小圏での推移が続いた。

  在庫水準は拡大。受注残は変わらずだった。  

  景況指数の見通しは6.6に上昇。設備投資や雇用者数の見通し指数もそれぞれ改善した。

引用:bloombergより

このように4月の製造業では思っているほど悲観的ではなかったようです。インフレの落ち着きを背景に、コスト負担も軽減され、経営にとってはプラスとなったということのようです。実際、この状況が継続されるかどうかはわかりませんが、製造業が活況になってきているということは良いニュースと言っていいのかなと思われます。

住宅市場も回復傾向

また、住宅市場でも回復の傾向が見られています。

全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表した4月の住宅市場指数は、4カ月連続での上昇となった。中古住宅の限定的な在庫が新築住宅への需要増につながった格好で、住宅用不動産市場が緩やかに回復していることが示唆された。

  指数はこのところ改善傾向にあるが、住宅ローン金利が今よりずっと低かった2021年末の水準には程遠い。

  NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は発表文で「現在のところ住宅在庫の3分の1が新築物件だ。従来は10%を若干上回る程度が普通だった」と分析。「新築物件を求める人が増えている」とし、「それが年初からの新築住宅販売を支えている」と指摘した。

  現況指数は51と、7カ月ぶりの高水準。見通し指数は前月から3ポイント上昇の50と、昨年6月以来の高水準となった。購買見込み客足指数は横ばい。

引用:bloombergより

このように不動産市場も予想しているよりも悪いものではないのかもしれません。政策金利の上昇により、ローン負担も増加しているとは思いますが、需要を強力に抑えるというほどには至っていないのかもしれません。それだけまだ購買力は残っているということなのでしょう。改めて米国の経済の力強さを実感させるようなニュースだなという印象です。

これは一時的なものである可能性が高い

非常に良好なニュースが続いており、いいことのような気がしますが、当然ながらこのまますんなりとインフレが収まり、経済が正常化するとはとても思えません。金融政策についてもインフレが上昇が止まってきたとはいえ、目標とする2%への道のりはまだまだ険しいと言わざるを得ません。そのためFRBは今後も引き締めの手を緩めることはないでしょう。そうであれば今は何とか好調を保っている経済でもいつかはしぼんでいくものと思われます。そういう意味では現在の好調さというのは一時的なものと思ったほうが良いのではないかと感じています。それだけ米国経済は深刻な状況であるという認識はしっかり持っていたほうが良いでしょう。もちろんこの状況はいつかは終わり、上昇するときは来ます。そういう意味では長期的には問題ないとは思いますが、短期的にはまた上昇局面と判断するには早すぎるのかなという印象です。

まとめ

今日は意外と好調な米国経済について見てきました。現状は思っているほど悪くないのかなと思いますが、あまり期待はしないほうがいいのだろうと思います。少なくとも今年いっぱいは力強い回復というのはあまり期待できないだろうと感じています。なので長期的な視点でじっくりと待つというスタンスが重要なのかなと思います。