2月の求人件数は引き続き強い。しかし、弱さも見せ始めて労働市場。

米国の労働市場は引き続き強さを見せています。昨日発表された2月の求人件数は依然として高い水準を維持しており、労働市場での需要が引き続き堅調であることが確認されました。労働市場の安定は非常に経済にとってプラスであることは間違いありませんが、あまりにも強い労働市場はインフレを助長する可能性も高く、非常に悩ましい状況であることは変わりないようです。

労働市場は引き続き強さを見せるも、弱さも見せ始める

昨日発表された2月の求人件数は依然として高い水準で維持されていることが確認されました。

2月の米求人件数は前月からほぼ変わらずだった。労働力の需要が高い水準で安定しつつあることが示唆された。

  2月は採用も増加した。

  米金融当局は理想として、雇用の喪失ではなく求人件数の減少を通じた労働市場の軟化が望ましいと考えている。求人件数が高止まりしている限り、賃金は上昇を続ける可能性が高く、それによりインフレが根強く続く恐れがある。

  一方、労働市場が軟化しつつある兆候も見られる。求人件数は情報、医療、小売りで減少した。またレイオフはほぼ1年ぶり高水準に増加。娯楽・ホスピタリティー分野で人員削減が加速した。

  自発的離職者の割合である離職率は2.2%で変わらず、2020年以来の低水準。離職率の低さは、現在の市場において他の職を見つける自信が転職希望者の間で低下している、または転職した場合の賃金増加幅が縮小していることを示唆している。

  失業者1人に対する求人件数は1.36件と、4カ月ぶり低水準。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、スチュアート・ポール氏は「失業者が増える中で、失業者1人に対する求人件数は減っており、賃金上昇圧力はこの先一段と和らぐとみられる。労働市場の調整が進み、賃金上昇圧力が低下するとともに、金融当局は今夏の利下げに対する安心感を強めるだろう」と述べた。

引用:bloombergより

このように米国の求人件数は引き続き強さを見せています。これまで歴史的なインフレや引き締め政策の中にあっても強さを見せてきた労働市場ですが、依然としてその強さは健在といった形です。しかし、一部で弱さも見えてきており、その勢いにはやや陰りが出てきたのかなという感じです。そういう意味ではゆるやかに労働市場も減速していくのかもしれません、しかし、そうであっても市場が期待するほどには減速していかない可能性もありますし、利下げの時期が後退するリスクというのもまだまだ残っているのだろうと思います。

利下げはやはり遅れるのかなと思う

労働市場の力強さは相変わらずといった形です。労働市場が堅調である限り、米国経済の大きな原則というのはまずないのかなという感じがします。そういう意味では米国のリセッションの可能性は引き続き低いのかなという感じです。しかし、少しずつではありますが、労働市場にも陰りが見えてきていることは事実であり、そういう意味ではゆっくりと減速していくというシナリオはあり得るのだろうという感じです。それが市場が予想するようなペースで行われるのかそうでないのかはわかりませんが、その方向に動いていることは間違いないでしょう。個人的にはやはり多少なりの利下げ時期の遅れはあるのだろうという感じはします。弱くはなってきたとはいえインフレは非常に粘着性が高く、そう簡単には落ち込むことはないでしょう。そういう意味では引き続きじっくりとした展開になるのだろうと予想しています。

まとめ

今日は2月の求人件数について見てきました。引き続き堅調な労働市場ですが、少しずつ弱さも見せ始めており、インフレの収束もゆっくりではありますが、近づいてきているのだろうという感じです。ただ、そのペースというのは非常にゆっくりであり、あまり期待はしないほうがいいでしょう。そういう意味では市場予想は再び裏切られるのかなという感じがします。