3月の民間雇用者は予想以上に強い

労働市場の堅調さは更に強固なものとなりつつあります。昨日発表されたADPリサーチにより民間雇用者数は市場予想を大きく上回る結果となり、労働市場が引き続き強さを維持していることが確認されました。一時期は弱さを見せた労働市場ですが、今なと力強さも維持しており、そう簡単には崩れることはないのだろうという感じです。

労働市場は引き続き堅調

昨日発表されたADPリサーチによる3月の民間雇用者数は市場予想を大きく上回る結果となりました。

米民間企業の雇用者数は3月に予想を上回り、昨年7月以来の大幅増となった。雇用増加は広がりを見せ、一部では賃金の伸びが加速。労働力の堅調な需要を示唆した。データはADPリサーチ・インスティテュートとスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボが共同で算出た。

  転職した人の賃金は前年比10%上昇に加速。昨年7月以来の大幅増となった。同じ職にとどまった人の賃金は、前年比5.1%増加と2月と同じ伸びだった。

  ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は発表文で「インフレは沈静化傾向にあるが、賃金は財とサービスの両方で過熱しつつあることが今回のデータに示された」と指摘。転職で賃金が特に伸びたセクターは建設と金融サービス、製造業だったという。

  ここ数カ月の労働市場は底堅さを維持し、労働力の需要は健全で、失業率も比較的低い水準にとどまっている。連邦準備制度理事会(FRB)当局者らはこの強さを指摘し、インフレをさらに低下させる必要性に言及することで、20年ぶり高水準にある現行政策金利の引き下げを見合わせる根拠にしている。

  雇用創出は広がりを見せており、特に娯楽・ホスピタリティーや建設、貿易・運輸で顕著に増加した。地域別でも全ての地域で増加し、南部が特に大きく増えた。

  5日には3月の雇用統計が発表される。ブルームバーグがまとめた予想中央値は、非農業部門雇用者数で約21万5000人増となっている。その通りとなれば昨年11月以来の鈍いペースとなる。昨年12月から今年2月にかけては平均26万5000人増えていた。

引用:bloombergより

このように労働市場は引き続き堅調です。いずれ労働市場もインフレの進行とともに悪化してくるだろうと予想されていたのはもうかなり過去のことのように思いますが、これだけ長く時間が経っても労働市場の力は衰えることがありません。そういう意味ではいい意味で裏切られたという感じなのかなと思います。昨日も求人件数の堅調さが明らかとなっていましたが、その流れに沿った形となっており、労働市場が引き続き堅調に推移していることを更に強固なものとしたと言っていいでしょう。今週は雇用統計の発表も予定されていますが、その結果もそれなりに強いものが出るのではないかという感じがします。そうなれば労働市場はまだまだ鈍化することはないだろうという流れが更に強くなるのでしょう。

インフレとのバランス

労働市場は相変わらず強いなという感じです。労働市場が強いことは良いことではありますが、インフレ抑制の観点から見ればやはり強すぎる雇用というのは若干素直に喜べないのかなという感じもします。もちろん、経済が大きく減速するほどの労働市場の悪化は良いことではありませんが、そのバランスというのがどの程度なのかは正直なんとも言えないというところです。今のところはそこまでFRBも厳しい見方はしていませんし、そう問題ないのだとは思いますが、とりあえずこのまま大きな景気原則がないようにインフレが落ち着いてほしいものです。

まとめ

今日は3月の民間雇用者数について見てきました。相変わらずの強い労働市場は健在であり、経済にとっては良いことと言っていいのでしょう。問題はインフレ抑制とのバランスであり、ベストシナリオとは行かないまでも大きな景気後退など悪い状況にはならないようになんとか行ってほしいものです。今のところは問題なさそうですが、今後のことについてはまだまだ未知数であると言っていいのかなという感じです。