パウエル議長の発言によってあらためて今後も引き締めが継続されることを確認できたように思う

今週注目のイベントの一つとしてFRBのパウエル議長のインタビューが予定されており、それが昨日行われました。内容としてはそれほど大きなサプライズはなく、個人的には予想の範囲内だったかなという印象です。

パウエル議長のインタビュー

7日にFRBのパウエル議長がインタビューにて、現在の状況について語りました。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、インフレ沈静化のため複数回の追加利上げが必要になると指摘した。また労働市場の力強さが続いた場合は、借り入れコストのピークを従来の想定より高くする必要があるかもしれないと述べた。

  議長は7日、エコノミック・クラブ・オブ・ワシントンで行われたデービッド・ルーベンスタイン氏とのインタビューで、「さらなる利上げが必要になると考える」とし、「労働市場は並外れて強い」と付け加えた。ルーベンスタイン氏はパウエル氏の古巣であるカーライル・グループの共同創業者。

  労働市場の非常に強い状況が続いた場合、「さらなる措置を講じる必要が生じる可能性は十分にある」とパウエル議長は語った。

  前回の連邦公開市場委員会(FOMC)会合については、1月の雇用統計データを事前に入手していたら、正式に決定された0.25ポイントではなく0.5ポイントの利上げを選んだかとの質問に対しては、明確な回答を避けつつ、「残念ながら、そうした形で政策を決めることはない」と述べた。 

  3日に発表された1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比51万7000人増。失業率は3.4%に低下し、1969年5月以来の低水準となった。

  パウエル議長はこの雇用統計について、「相当な時間のかかるプロセスになるとわれわれが考える理由を示している」と語った。

  議長はこれまでも、労働市場の圧力緩和が住宅を除くコアサービスのインフレ鈍化への答えへの一部になると指摘してきた。

  パウエル議長の公の発言は1日のFOMC会合後の記者会見以降では初めて。議長は会見で、さらなる利上げが必要になるとの警告を発したものの、市場はそれをはねのけて上昇していた。議長は7日も同様の趣旨の発言を行ったが、1月の雇用統計の内容が力強いものだっただけに、一段と言葉の重みが増す形となった。

  一方、米金融当局者は昨年12月公表の四半期経済予測で、政策金利が今年、中央値で5.1%のピークを付けるとの見通しを示したが、7日のパウエル議長のコメントはこの数値がソフトな上限であることを示唆した。議長はデータに従い、必要と判断すればさらに高い水準への利上げに踏み切る構えもうかがわせた。

  調査会社インフレーション・インサイツの社長で創業者のオメイア・シャリフ氏は14日に発表される1月の米消費者物価指数(CPI)について、予想ほど鈍化せずに、金融当局が3月と5月も追加利上げを行う必要性が浮き彫りとなる可能性があると話す。

  その上で、「インフレ退治に向けては先行きまだ多くのハードルがある」とし、当局がどの水準まで利上げするか投資家が見通しを調整するのに伴い、「多少のリプライスを目にすることになるだろう」と語った。

引用:bloombergより

このようにパウエル議長は今後の金融政策についてさらなる利上げの可能性について示唆しました。相変わらず強い労働市場など、インフレ抑制のためにすることはまだ多く存在します。なのでまだ引き続き厳しい金融政策は緩めるべきではないということを改めて示したのでしょう。これらの発言はこれまでパウエル議長が発言してきたものとほぼ変わりなく、あまり大きなサプライズはなかったと見ていいのかなと思います。

とりあえずハト派的なものではなかった

今回の発表を受けて、とりあえず引き締め継続ということで、今後もある程度は金利の引き上げはあると思います。労働市場は依然として堅調ですし、厳しい引き締めにもまだ耐えられると思われるからです。もちろん今後発表される消費者物価の推移などにより、次回のFOMCまでに何らかの予定変更の可能性も十分に考えられますが、今のところはその可能性は低いと見ていいでしょう。少なくとも一部であるようなハト派的なFRBを期待するようなことにはならないと思われます。そういう意味でも今後も厳しい引き締めは継続されるでしょう。それが緩和されるのはまだまだ先であり、株式市場にとっては引き続き厳しい状況が続いていく可能性が高いと言っていいと思います。

まとめ

今日はパウエル議長の発言について見てきました。特別大きなものはなく、これまでの発言や行動を再確認するといった形かなと思います。大きなサプライズはありませんでしたが、改めてFRBの金融政策に対する姿勢を確認できたという意味では良いものだったと言っていいのかもしれません。いずれにせよ、しばらく金融政策が緩和されるということはまずないでしょう。なので時折出てくるであろう緩和論というのはあまり期待しないほうがいいでしょう。あるとすれば堅調であった労働市場が急激に悪化するなどよほどのことが起きたときだと思います。