サマーズ元財務長官がやや楽観的な見通しを述べる

最近の世の中の雰囲気は以前よりも米国経済は何とかなるのではないかという空気に包まれているように思います。各種経済指標でも思ったほど経済の悪化を示すようなものはありません。インフレも確実に落ち着いてきており、心配されていた雇用も依然として堅調です。そういう意味ではそのような楽観論が出てくるというのはある意味自然なことなのかなと思います。これまで悲観的に見ていた人たちもやや今後の見通しについて見方を変えてきています。

サマーズ元財務長官がやや明るい見通しを述べる

サマーズ元財務長官は先日行われたインタビューで米国経済について、当初想定していたよりも悪くない旨の発言をしました。

サマーズ元米財務長官は米経済のソフトランディング(軟着陸)が実現する可能性はますます高くなっているようだと指摘。ただ、インフレ指標は高過ぎる水準にとどまっているとの考えを示した。

  サマーズ氏は5日に放映されたCNNとのインタビューで、「励まされる統計だとは思うが、危機を脱したと判断するのは誤りだろうとの考えに変わりはない」と発言。インフレ指標は2、3年前と比べると「想像を絶するほど高い」ままで、米金融当局の目標に戻すのは「やはり相当難しいことが明らかになるかもしれない」と述べた。

  米国では消費者物価指数(CPI)の伸びが鈍化しつつある中、1月の雇用者数は51万7000人増と予想を大きく上回る伸びを示し、失業率は3.4%と1969年以来の低水準となった。

  サマーズ氏は「数カ月前よりもソフトランディングを達成する可能性は高まったようだ」と話した。同氏はハーバード大学の教授でブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもある。

引用:bloombergより

サマーズ元財務長官はこのように述べ、米国がソフトランディングできる可能性は以前よりも高くなったと述べました。サマーズ氏は以前より米国経済に対して悲観的でした。FRBの政策にも常に不満を述べており、現在の経済状況を悲観的にとらえている人の一人です。しかし、今回そのサマーズ氏が今後の米国経済の見通しについてやや明るい見通しを述べてるのです。これは非常に大きな事件といっていいのかもしれません。あれだけ批判的だったサマーズ氏が現状にやや楽観的な意見を持ち始めたというのはそれだけ米国経済が思ったほど悪くないということの証明でしょう。そういう意味ではこれまで想定していたよりも米国経済の損害というのはあまり大きくないのかもしれません。

想定よりもマシというだけでよくなったというわけではない

サマーズ氏の発言を受けて、今後の見通しについてやや安心感を受ける人もいるでしょう。これまで悲観的だった人がその意見を変えたということでその影響というのは小さいものではないような気がします。しかし、依然として米国経済が厳しいものであることには変わりなく、サマーズ氏もその点についてはきちんと言及しています。あくまで以前よりはましというだけであって、まだまだ経済正常化への道のりは険しいということには変わりありません。そういう意味では少し安心材料ではありますが、あまり曲解するべきではないでしょう。

まとめ

今日はサマーズ元財務長官の発言についてみてきました。サマーズ氏はこれまでとにかく悲観的なことばかり述べてきた人なので、今回の発言については少々驚いたというところです。それと同時に単なる悲観論じゃなく、きちんとデータを分析し、論評できる人なのだろうという印象です。そういう意味では元財務長官という肩書はさすがといったところです。いずれにせよ米国経済は想定していたほど悪くない可能性はやや高くなったのかなと思います。ただ、あくまでそれほど悪くないかもしれないというだけであって、よくなっているわけではありません。依然として厳しい状況であることはきちんと認識しておくべきでしょう。