今後の先行きについてはあまり楽観的になれない

米国経済の先行きに関する話はよく聞かれる話ですが、個人的にはやや悲観的に見ています。強気に見る向きもありますが、やはり年内いっぱいは厳しい状況は続くのではないかという印象です。もちろんこの予想が間違う可能性も十分にありますが、個人的にはあまりそうは思えないということです。

株式市場の見通しは明るくない

今後の株式市場の動向について、楽観的に見る向きもありますが、金融不安等を受けて悲観的な意見も多く出てきている印象があります。

JPモルガン・チェースのマルコ・コラノビッチ氏は、リセッション(景気後退)のリスクは依然として存在しているとし、米株投資家の間に広がる「最悪の圧力は過ぎ去った」との見方は間違いであることが年内に証明される公算が大きいと述べた。

  8日の顧客向けリポートで同氏は、金融引き締めの影響は歴史的に時間差を伴って顕在化する一方、過剰貯蓄など成長を支えてきた要因は衰えつつあるとの見方を示した。

  その上で「株式市場(そしてより広範なリスク市場)が認めようとしていないのは、年内に利下げが行われるとすれば、それはリセッションの始まりによるものか、金融市場における重大な危機によるものだということだ」と指摘。債券市場、株式市場、米金融当局の間にあるギャップは「株式を犠牲にして縮まる可能性が高い」と論じた。

  同氏は2022年の株価急落局面ではウォール街で最も楽観的見方を示していた1人だったが、経済見通しの悪化に伴い、昨年12月中旬と今年の1月と3月に推奨する株式配分を引き下げている。

引用:bloombergより

このようにJPモルガンのマルコ・コラノビッチ氏は、今後の株式市場について悲観的な見方をしています。インフレもいまだ健在であり、企業活動を大きく苦しめています。そしてそれはGDPの多くを占める個人消費にも大きな影響を与えており、まだまだ楽観できるような状態ではありません。そして突如として顕在化した金融不安がそれをさらに加速化しています。金融機関の破綻はいまだ収まることがなく、今後も破綻する可能性は十分にあるでしょう。その様な状況下ではとても株価の回復というのは見込みづらいと言わざるを得ません。

企業業績はやや楽観的すぎる

弱気な意見というのはまだまだ存在しています。

米マクロ経済データの軟化は企業利益が今後数カ月に弱まるトレンドを示唆すると、モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏が指摘した。一貫して弱気派の同氏の見方は、大半のアナリストの予想と逆行している。

  ウィルソン氏は「われわれが注目している先行マクロデータの多くが最近数週間に悪化しており、最近と同等の強さが今後数カ月続くことは示唆していない」と分析した。

  S&P500種株価指数構成企業の約86%がこれまでに1-3月決算を発表したが、ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータによれば、そのうちの79%が予想を上回った。しかしウィルソン氏は、1月と2月の景気の強さと決算シーズン前の予想引き下げが、予想を上回る企業の多さにつながったとの見方を示した。

  同氏は、アナリストらの利益予想引き上げの前提である利益率改善には「懐疑的だ」とし、労働コストが引き続き企業にとって逆風であり、同社の主要なマージン指標は一段の利益率低下とその後数カ月の緩慢な回復を示していると述べた。さらに、インフレ鈍化は企業の価格決定力が弱まることを意味するとも指摘した。

  ただ、経済データが改善すれば利益回復が実現する可能性があるとし、2023年の1株利益195ドルという平均より低い同氏のシナリオ通りとなる公算は小さくなると認めている。

引用:bloombergより

このようにモルガンスタンレーのマイケル・ウィルソン氏は今後の企業業績が悪化すると見ています。業績予想としては改善を予想している企業が多いですが、それはかなり楽観的と見ているようです。実際のところ、これだけインフレが進行し、労働コストも上昇、消費も低調となれば利益を挙げられる企業というのは非常に限られたものとなるでしょう。そういう意味ではその可能性も十分にあるのかなという印象です。

やはり楽観的に離れない

いつも言うことですが、未来のことを確実に当てることはできません。予想はあくまで予想でしかないということはよく覚えておく必要があるでしょう。その上であえて予想するのであれば、やはりあまり楽観的に離れないのかなという印象です。企業業績についてもやや楽観的すぎると思いますし、何より今後のインフレや金融不安の先行きがとても良いものとは思えないからです。インフレについては雇用が未だにタイトであることが確認されましたし、物価の上昇も一時期の勢いはなくなったものの、強さは維持しているところです。そして相次ぐ金融機関の破綻の連鎖が止まらないという状況を見れば、とても楽観的にはなれません。もちろん、確実に景気が良くなるという証拠を得る手段があるのであればいいですが、個人投資家レベルでそれを確信することはまず無理でしょう。そういう意味ではやはり悲観的にならざるを得ないという状況だと思います。

まとめ

今日は今後の米国経済について考えてきました。少なくとも年内いっぱいはあまり良い結果にはならないのかなという印象です。今ある楽観論はおそらく消えていくことでしょう。しかし、だからといってあまり悲観的になりすぎるのも問題です。いつも言っていますが、長期的に見れば必ず経済は回復してきます。そうなれば株価も上昇していくことでしょう。要はそれがいつになるかがわからないということであり、時間を半永久的に使える個人投資家はその時が来るまでじっくりと待っていればいいというだけです。