パウエル議長の信頼度が著しく低下している

政策をより効果的に実行していくための重要な要素として信用というものがあります。信用している人のやることであればより効果的に政策は効果を発揮するでしょうし、そうでなければその効果というものはあまり期待できないものとなる可能性があります。そして現在、パウエル議長に対する市場の信用というのは非常に低下していることがわかりました。これは金融政策を実行する上で非常に大きな足かせとなることでしょう。

パウエル議長の信頼度が大幅に低下

先日発表された調査結果によると、FRBのパウエル議長に対する国民の信用が大きく低下していることがわかりました。

調査会社ギャラップが9日に発表した世論調査によると、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の政策対応に対する米国民の信頼度は、歴代FRB議長の中で最低に落ち込んだ。

この調査は、4月3日─25日に米国の成人1013人を対象に行われた。誤差はプラスマイナス4%ポイント。

パウエル氏に「大いに」または「まずまずの」信頼を寄せているとの回答は36%にとどまり、グリーンスパン氏がFRB議長だった2001年にギャラップが年次調査を開始して以来、最も低い数値となった。

これまでの最低値は、2014年のイエレン氏(現財務長官)の37%だった。同年はイエレン氏がFRB議長に就任した最初の年だった。

パウエル氏は、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)初期には、04年のグリーンスパン氏以降のFRB議長の中で最も大きな信頼を得ていた。信頼度は当時から20ポイント以上低下している。

信頼度の低下はインフレ率の急上昇と軌を一にしている。パウエル氏は当初、インフレを「一過性の」問題とし、FRBの対応がなくても解決すると考えていた。

信頼度が低下しているのはパウエル氏だけではない。

バイデン大統領の経済リーダーシップに対する信頼度は大統領就任以来最低の35%に落ち込んだ。昨年は40%、就任直後の21年は57%だった。

イエレン財務長官に対する国民の信頼は37%に低下した。前回、財務長官への信頼度調査を行った2年前には54%だった。

引用:ロイターより

このようにパウエル議長に対する国民の信頼というのは非常に低くなっています。この原因というのはなんといってもインフレに対する対応のまずさを表しているものと思われます。インフレが顕在化する前の支持率というのは非常に高かったようです。それがインフレが進行するに連れ支持率は低下し、現在の状況を作っています。パウエル議長は当初からインフレは一過性のものだといっていましたし、その後も対応がゴテゴテに回っていたのは周知の事実です。そのために大きく信頼を失ったものと思われます。

信頼を失った政策の効果は低い

信頼を失ってしまうこと事態は過去のことなのでもうどうしようもありません。なので今後はそれをどう回復していくのかということになるかと思いますが、それは非常に厳しい道のりだろうと思われます。厳しいインフレとともに金融不安までも顕在化し、どうにも後にも行かない状況です。その中で難しい舵取りをしなければならないのですが、市場の信頼を失った今、何をしても効果が期待したほど出てこないという可能性は高いと言わざるを得ないというところでしょう。何をしても懐疑的な目を向けられ、市場が思ったような行動を取ってくれない可能性があります。そうなれば金融政策の効果も限定的なものとなり、インフレや金融不安の解消も大きく遅れることになります。そしてその結果、さらなる信用の低下という悪循環を招く可能性が高いの中という印象です。

まとめ

今日はパウエル議長の信頼度について見てきました。信用が低下するとその政策の効果というのは確実に薄れてきます。そういう意味では非常に危機的な状況だと言えるでしょう。しかし、それを招いたのはパウエル議長の政策であるということも事実であり、致し方ないことなのかもしれません。それを変えるのは今後のパウエル議長の政策次第だと思いますが、信用を失った政策というのはなかなか浸透しづらいのではないのかなと感じます。