5月の雇用統計は予想外に強い結果となった

市場が注目する5月の雇用統計が発表されました。結果としては市場予想よりも強い結果となり、明るい兆しも見られたのかと思いましたが、株式市場は下落となってしまいました。強い雇用を受けてFRBがより強い金融引き締めに出るのではないかという警戒感が出たためだと思われます。このように市場は目の前の結果を単純に反映するわけではないということは常に当た目に入れておかなければならないことでしょう。そういうわけで今日は先日発表された5月の雇用統計についてみていきたいと思います。

5月の雇用統計は予想外に強いものとなった

3日に米労働省が発表した5月の雇用統計の結果は市場予想を超える伸びとなりました。

 米労働省が3日発表した5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比39万人増と、市場予想の32万5000人を上回る伸びとなった。多くの人が労働市場に参入したにもかかわらず、失業率は3.6%と3カ月連続で横ばいで推移。米連邦準備理事会(FRB)が労働市場の引き締まり継続を背景に、積極的な利上げを進めていく可能性を示唆した。

引用:ロイターより

このように強い雇用統計の結果を受けて株式市場は上昇するかと思われましたが、結果的には下落するということになります。強い雇用環境を受けて、FRBが今後も厳しい金融引き締めに出るという警戒感が出たためだと思われます。

FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「雇用増のペースは速く、米経済はリセッション(景気後退)入りから程遠いところにある」と指摘。「インフレ沈静化に寄与する形で減速していないため、FRBは引き続き対応しなければならない」と述べた。

引用:ロイターより

強い雇用統計を受けて金融当局の姿勢は緩むことはない

クリーブランド連銀のメスター総裁は今回の雇用統計を受けて今後も引き続き早いペースでの利上げを支持していくということを述べています。

クリーブランド連銀のメスター総裁は6月と7月にそれぞれ米政策金利の0.5ポイント引き上げを支持するとあらためて述べ、その後もインフレが沈静化しなければ9月に0.5ポイントの追加利上げを支持するだろうと話した。「9月会合の時期に説得力のある証拠が確認できない場合、その会合でも50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げることは容易に支持し得る」と、経済専門局CNBCとのインタビューで述べ、「その決定を今下すべき理由はないが、50ベーシスであろうがなかろうが必要な行動を起こすというのが現時点での立場だ」と話した。

引用:Bloombergより

このようにメスター総裁は述べ、6月と7月については0.5%の利上げを支持すると述べています。また、今後についてもインフレ抑制に積極的に動くとも述べており、今のところ経済状況を考えても金融引き締めの手を緩めるという雰囲気はありません。もちろんそれは現時点での話であり、今後がどのようになるかはわかりませんし、メスター総裁もその点については認めています。しかし、現状を考えればよほどのことがなければ今後もインフレに対して厳しい対応をFRBがしていくことはほぼ間違いないということでしょう。

まとめ

今日は先日発表された5月の雇用統計についてみてきました。内容としては予想外に強い結果ということで、より厳しい金融政策が継続されるという警戒感が出てしまった形となりました。そのため株式市場は弱い展開となっていますが、致し方ないことだとは思います。異常ともいえるインフレを終息させるということを考えればいつかは通らなければいけない道です。そしてそれはもう十分予想されていたことでもあり、大きなサプライズではないような気がします。いずれにせよ、今後しばらくは非常に不安定な展開が続くとみられ、来年に向けて大きな景気後退が起きる可能性も依然少なくはないといえるのではないかと思います。