12月の金融政策について市場はやや緩む可能性を織り込んできた

11月のFOMCを終えて、すでに市場では今後の金融政策の行方に注目が集まっています。今のところさすがに意見の一致を見ているということはないようですが、12月はやや落ち着いた予想をしている人が多いようです。最近は弱い経済指標も相次いでいることと、さすがに急激に金利を引き上げたことによる悪影響を懸念する声も大きくなってきたようです。そういう意味ではそろそろ金融政策の転換が起こるのかもしれません。というわけで今日は今後の金融政策について考えていきます。

市場は今後の引き締めが緩む可能性を考慮しだした

11月のFOMCはそこまで大きなサプライズはなかったように思いますが、市場ではようやくFRBが金融政策を変更する可能性を考え始めました。

短期金融市場では米連邦公開市場委員会(FOMC)会合日程を考慮したオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)が低下した。12月会合では50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが最も有力なシナリオとして織り込まれている。

  12月14日のFOMC会合で決定される利上げ幅は58bp前後が織り込まれている。2日のFOMC声明発表後に同OISは約4.44%から4.40%に低下。FOMCが金融政策の「累積的な引き締め」を考慮する方針を示したことに反応した。

引用:Bloombergより

このようにマーケットでは12月のFOMCでは50bpでの利上げというのが最も有力とみているようです。もちろんまだ一か月も先の話になるのでこの予想は変わる可能性は十分にあるとは思います。しかし、パウエル議長の発言や最近の経済指標の変化などを踏まえるとその可能性も十分にあるのかなといった印象です。

緩和を予想している識者の一人

ダブルライン・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、ジェフリー・ガンドラック氏もこのような金融政策の変更の可能性を指摘する識者の一人であり、今後は利上げのペースが変わる可能性を考慮すべきとの指摘をしています。

ダブルライン・キャピタルの最高投資責任者(CIO)、ジェフリー・ガンドラック氏は2日、CNBCに対し、米連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げペースの減速が今後あり得るとし、12月の次回会合での0.75ポイント利上げは「基本シナリオ」とは思わないと述べた。方針転換のようなものとの見方をパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が「ある程度打ち消した」とも話した。

  ガンドラック氏の予想では、米国のインフレは2023年に落ち着く見込みで、当局がインフレ率を来年末まで2%程度に押し下げることに成功した場合は鈍化が続き、2%をかなり下回るという。同氏はインフレが2%近辺にとどまるとは「信じがたい」と語った。

引用:Bloombergより

このようにガンドラック氏も12月の利上げについては75bpでの利上げは第一選択ではないようです。多くの市場関係者がガンドラック氏のように12月はややその引き締めペースが緩むとみています。そして株式市場もその可能性について考え始めたようにも思えます。

何度も言うが未来のことはだれにもわからない

今後どうなるかということはわかりません。これはかねてよりFRB関係者が何度も言っていますが、金融政策の決定にはその時々の経済指標によって決められるとしています。なので現状ではそのように考えられていたとしても今後の経済指標次第では何とでも変わる可能性があるということです。そのことは常に頭に入れておきたいものです。そのうえで考えると私も現状では12月の利上げというのはやや緩む可能性も十分あるのかなと思っています。雇用環境は堅調であることは変わりませんが、やはり最近の経済指標を見ていると明らかに減速の懸念があります。インフレのことを考えればあまり思い切った緩和措置は取れないとは思いますが、ある程度柔軟性を持った対応をしてくるのではないかという印象はあります。しかし、あくまでこれは予想であり、どうなるのかはわかりません。12月の利上げについても50bpを予想している人が多いというだけで75bpでの利上げを考えている人がいないわけではありません。引き続き強力な引き締めを主張する人も多くいます。そういう意味ではやはり今後の経済指標次第なのかなと思います。

まとめ

今日は今後の金融政策について考えてみました。いつも言っていることですが、先のことはわからないということです。予想はあくまで予想であり、未来を決定づけるものではありません。なので何が起きてもいいように準備は怠らないようにしたいものです。そのうえで個人的にはやや引き締めが緩むのかなと最近の経済指標は当局者の発言などを聞いてそう感じているところです。