11月の生産者物価指数は予想外に上昇。インフレ収束の道は長い。

インフレの終息にはやはり時間がかかりそうです。先日発表された生産者物価指数は市場予想を大きく上回る結果となり、改めて米国のインフレの深刻さを見せつけられる結果となりました。消費者物価の鈍化を受けて一旦はインフレの終息を予感させるような展開になりましたが、雇用統計の結果や今回の生産者物価の数値を見る限り、それは一時的なものだったといわざるを得ません。そういう意味でインフレとの戦いはまだまだ続いていくことでしょう。そういうわけで今日は先日発表された生産者物価指数についてみていきます。

11月の生産者物価指数は予想外に強いものとなる

先日発表された生産者物価指数11月の生産者物価指数は市場予想を上回る結果となりました。

11月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る伸びとなった。根強いインフレ圧力が浮き彫りとなり、2023年に向け米金融当局の利上げを後押しする格好となった。

  一方、前年同月比では過去18カ月で最も低い伸びにとどまり、減速傾向が継続。米金融当局が来年に利上げを一時停止する余地が依然としてあることも示唆している。国内外での需要減速でサプライチェーンへの圧力は緩和している。

  インフレ統計を巡っては、13日に発表の11月消費者物価統計(CPI)も注目されている。CPIは引き続き高い伸び率ながらも減速が見込まれている。

  財のコア・インフレが落ち着きつつある中、注目はサービス分野の価格の伸びに移りつつある。消費者物価上昇の主因となっている住宅分野は、いずれ方向を転じると予想され、インフレの最終的な軌道は賃金が鍵を握るとみられる。

  11月は食品価格の上昇を反映し、財の価格が前月比0.1%上昇した。サービスの価格は同0.4%上昇と、3カ月ぶりの高い伸び。証券仲介・投資顧問のコスト上昇などが響いた。

  食品とエネルギー、貿易サービスを除くPPIは前月比0.3%上昇。前年比では4.9%上昇と、2021年4月以来の低い伸びとなった。 

  コスト圧力の持続的な緩和は別の統計でも示されていた。米供給管理協会(ISM)が1日発表した11月の製造業総合景況指数では、仕入れ価格の指数が2020年5月以来の大幅な縮小となっていた。

引用:Bloombergより

このように米国の依然として米国のインフレは健在といったところです。伸び率はさすがに鈍化はしてきていますが、それでもとても物価が落ち着いてきたとはとても言えず、インフレは米国経済を今後も苦しめ続ける見込みです。一旦は消費者物価の鈍化もあり、金融政策の変更もあるかと思われましたが、このような結果であれば今後も厳しい金融政策が続いていくものと思われます。毎月の75bp以上の利上げというのはさすがに続かないとは思いますが、高い政策金利の状態でしばらく維持されることとなり、経済を犠牲にしてでもインフレを止めるという動きになる可能性は高くなったのかなという印象です。

インフレ収束の期待はさらに後退する

消費者物価の数値が出た時はようやくインフレも終了に向かうのかという感じでしたが、雇用統計と今回の生産者物価の値を受けてそれは見事に打ち砕かれたといっていいような気がします。マーケットもそのような動きを見せており、来年いっぱいは少なくとも高い金利の状態が続くものとみられます。そういう意味では金融政策での景気の後押しというのはしばらく期待できないでしょう。来年の米国は非常に低い経済成長率の見込みです。なので何とか金融政策での後押しも期待したいところでしたが、なかなか厳しそうです。

まとめ

今日は先日発表された11月の生産者物価指数についてみてきました。インフレとの戦いはまだまだ続きそうです。一度は金融政策の変更を示唆したFRBですが、これらの結果を受けてこれまでのような緩和論というのはかなり小さくなるのではないかと思います。そういう意味でもしばらく米国経済の行方というのは厳しいものになりそうです。