今後の成長見通しについてやや上方修正がされる

インフレの高止まりや金融政策の先行きなど不透明要因は多く存在しますが、それでも米国経済は力強さを見せています。当初予想されていたよりも力強く成長を続けており、多くのエコノミストがその予想を修正する事態となっているようです。

先行きについて楽観的な見方が増える

先日発表されたレポートによると、多くのエコノミストが今後の米国の成長見通しを上方修正し、リセッションの確率を下方修正したとのことです。

エコノミストらは2024年早期までの米経済成長見通しを引き上げ、リセッション(景気後退)の確率を1年ぶり低水準に引き下げた。消費者が支出を続けていることが背景にある。

  7-9月(第3四半期)の米実質国内総生産(GDP)成長予想は年率3.5%と、約2年ぶりの高水準が見込まれている。家計支出の予想が上方修正された。その後の2四半期にわたって成長は減速するとみられているが、予想はなお引き上げられた。ブルームバーグが実施した最新の月間調査で明らかになった。

  高い借り入れコストやインフレの重荷にもかかわらず、依然堅調な労働市場が引き続き家計支出を支えている。向こう1年間の雇用見通しが上方修正され、エコノミストらが今後1年のリセッション確率を五分五分とみる一因となっている。

  INGフィナンシャル・マーケッツのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「今夏の米経済動向は素晴らしかった」と指摘。「堅調な個人消費が主要な原動力となっており、インフレで購買力は引き続き損なわれているが、家計は貯蓄を取り崩したり、クレジットカードを利用したりして、生活スタイルを維持しようとしている」と述べた。

  回答者らは食品とエネルギーを除いた個人消費支出(PCE)コア価格指数について、来年は平均2.6%上昇になると予想。前月時点の見通しと一致した。

  米金融当局は利上げを終了したとエコノミストらはみていることが予想中央値では示唆されているが、来年の利下げペースは緩やかになるとも予想されている。強い経済データを背景に、金利がより長期にわたって高めの水準で維持される可能性が高いことや、最近の米長期債利回り急上昇で金融状況が引き締まっていることがその一因かもしれない。

  今回の調査はエコノミスト74人を対象に、10月13-18日に実施された。

引用:bloombergより

このように多くのエコノミストは今後の米国経済についてポジティブに見ているようです。厳しい金融政策やインフレ下にあっても個人消費は堅調であり、それが経済を下支えしています。そういう意味で予想されていたよりも米国経済は失速しない可能性が大きくなったということでしょう。労働市場は未だ堅調ですし、ここまで厳しい状況でも失速しないということであれば、今後もそれほど大きく落ち込まない可能性も十分にあるでしょう。そういう意味では少しは希望が見えてきたのかなという感じはします。

まだ楽観はできない

今後の展開についてはやや明るさが見えてきたのかなという感じはします。しかし、まだ楽観できる状態ではないとは思います。依然として労働市場が堅調ではありますが、それがいつまで続くのかはわかりません。仮に労働市場が軟化してくれば用意に成長率は低下してくることでしょう。実際、家計は貯蓄を取り崩したり、借金をして消費を増やしている側面も多くあります。そういう意味では今の状態はそう長くは続かない可能性が高いと思われます。なのでその消費が持ちこたえている間にインフレ等の問題を解決し、正常化を図る必要があると思いますが、なかなか今のインフレは粘着性が高く、そうかんたんには落ち着かないのかなという感じもします。そういう意味では以前よりは明るい希望も見えてきたとは思いますが、総楽観的になれるような状態でもないだろうという感じです。

まとめ

今日は今後の経済について考えてきました。記事にもある通り、これまでよりは明るい兆しが見えてきたことは確かでしょう。ただ、それが確実なものとなったと言うにはまだ早いような気がします。現在の成長というのは非常に危うい状態のもとに成り立っています。その上で国内にも国外にも不安要因は多く存在し、今後の経済を明るくするにはまだ足りないという感じがします。