4月の個人消費支出は増加する。インフレ抑制は当分先になるだろう

インフレはやはりまだ収まりそうもありません。先日発表された4月の個人消費支出は前月比で増加しており、依然として消費意欲が高く、物価上昇圧力を加速させる可能性があることが確認されました。この結果はFRBにとって非常に頭の痛い問題となりそうです。

個人消費は加速

昨日発表された4月の個人消費支出は前月比で増加となり、今なお個人消費は堅調であることが確認されました。

4月の米個人消費支出(PCE)統計では、インフレと消費者の支出が共に加速したことが示された。物価上昇圧力と堅調な需要が続いていることが浮き彫りとなり、米金融当局は追加利上げに向けた姿勢を維持しそうだ。

  実質PCEは前月比0.5%増(市場予想0.3%増)と、今年1月以来の大幅増。3月は横ばいだった。4月は財とサービスの両方で伸びが加速した。

  物価上昇ペースは1年前にピークを付けて以降、鈍化してきているが、消費者からの需要は底堅く、価格上昇圧力は強い状況が続く恐れがある。利上げを停止して、政策引き締めが銀行システムや経済全般に与える影響を見極めるべきかを議論している米連邦公開市場委員会(FOMC)は、難しい対応を迫られそうだ。

  PCE統計の発表後、市場では6月の利上げに対する織り込みが強まり、据え置きよりも利上げの方が可能性は高いとみられている。

  ブルームバーグのデータによれば、住宅・エネルギーサービスを除くサービス業の価格指数は前月比0.4%上昇と、1月以来の高い伸び。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、インフレを見通す上でこうした指標に注目することの重要性を強調している。スーパー・コア・インフレとも呼ばれる同指数は、前年比では4.6%上昇した。

  インフレ調整後の財の支出は0.8%増と、1月以来の高い伸び。自動車と医薬品への支出が目立った。サービス支出は0.3%増と、こちらも3カ月ぶりの大幅な伸び率。金融サービスや保険、医療などで大きく増加した。

  実質可処分所得は横ばい。3月と2月は共に0.2%増加していた。4月は2022年半ば以来の弱い数値となった。4月の賃金・給与はインフレ調整前で0.5%増。貯蓄率は4.1%に低下した。

引用:bloombergより

このように米国の個人消費は健在です。大幅なインフレと金融引き締めにも関わらず、消費意欲が全く衰えていないと言った状態です。経済活動的には非常に良いことに思えますが、インフレが高く維持されている中で、この結果はやや歓迎できないものとなっているでしょう。消費が多せいであれば当然ながら物価には上昇圧力が加わります。そうなれば落ち着いてきたインフレもまた上昇する可能性が出てくるため、非常に警戒すべき自体だと思われます。今の所、6月の利上げについては硬軟様々な意見があり、まだなんとも言えないところですが、少なくともこの結果はよりタカ派へとFRBがシフトしていくことに十分な影響を与えそうです。まだ次回のFOMCまでは時間があり、確定的なことは言えませんが引き締めが継続される可能性は高くなったと言っていいでしょう。

インフレ抑制はまだ遠い

今回のインフレは粘着性が高いとFRBは述べており、当初からその様な意見は聞こえてきました。そういう意味ではそのとおりだったのだなという感じがします。現在米国経済を苦しめているインフレは相当な粘着性を持っており、解消するのには相当の時間と労力が必要になるのであろうということがよくわかる結果だったなという印象です。インフレの急加速が収まり、今度は減速していくかと思いきや、なかなか減速は起こりません。むしろ再加速しそうな勢いです。そういう意味ではより厳しい引き締めにFRBが動くのではないかとかなり思ってきています。これだけインフレ圧力が継続的に続いているのであれば、引き締めがまだ足りないと見るのが自然なような気がするのは私だけではないでしょう。そういう意味では今後も厳しい引き締めを警戒する必要が出てきていると思います。

まとめ

今日は4月の個人消費支出について見てきました。インフレは依然として健在です。そのため引き締めへの圧力は更に高まったと言わざるを得ないでしょう。そういう意味では今後の利上げの可能性は高まったと見るべきかなと思います。今回のインフレを抑えるには相当の時間がかかるのは間違いありません。その覚悟は持っておいたほうがいいでしょう。