GDPは上方修正されるもGDIは減少。インフレ期待も低下する。

米国経済の現状はあまり良いとは言えないでしょう。実際、先日発表された経済指標もあまり良いものではなく、引き続き厳しい経済状況は続きそうです。しかし、インフレは依然として健在であり、景気回復への道のりは険しいものとなりそうです。

GDPは上方修正

先日発表された第一四半期のGDPは速報値から上昇修正されました。しかし、国内総所得は減少し、米国経済の弱さを見せるものとなっています。

米国の経済活動を測定する2つの重要指標が、1-3月(第1四半期)に反対の方向に動いた。このうち一つは経済の弱さを浮き彫りにした。

  GDPは速報値から上方修正される伸びとなった一方、国内総所得(GDI)は2.3%減少。前四半期には3.3%落ち込んでいた。2四半期連続のマイナス幅としては、新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)となった直後に続く大きさだった。

  根強いインフレと貸し出し基準の引き締めで景気が勢いを失いつつあることが示唆された。住宅セクターが8四半期連続で低迷していることに加え、企業の設備投資は2四半期連続で縮小した。

  一方で強い労働市場を背景に、消費者の支出は続いていたことが明らかになった。サービスに対する家計の支出は上方修正されたが、財への支出は小幅に弱まった。

  ウェルズ・ファーゴのエコノミスト、ジェイ・ブライソン、シャノン・シーリー両氏はリポートで「理論上は実質GDPと実質GDIは同等であるべきだが、実際はデータの抜け落ちにより幾分か異なることが普通だ」と指摘。「GDIの弱さは、この数四半期にみられる実質GDPの伸びが今後の統計発表で下方修正される可能性を示唆する」と述べた。

  企業利益(調整後、税引き前)も減少し、前年同期比2.8%のマイナス。金融セクターと非金融企業の両方で減少が見られた。

  それでも企業の価格設定力は維持された。食品とエネルギーを除いた個人消費支出(PCE)コア価格指数は前期比年率5%上昇に小幅上方修正された。同指数はインフレ指標として金融当局が注目する。

引用:bloombergより

このように米国経済の現状はあまりパットしないと言っていいでしょう。GDPは上方修正されましたが、それ以外のものを見るとやはり弱さが目立つと言っていいのかなと思います。その中でも労働市場は比較的堅調であり、そのため消費は強さを保っています。そのためやや実態よりも強く見えるかもしれませんが、そんなことはないと思われます。

消費者マインドは悪化

その様な状況の中で消費者マインドも悪化してきています。

米ミシガン大学が26日に発表した5月の消費者調査確定値では、長期のインフレ期待が12年ぶり高水準だった速報値から若干低下した。しかし米債務上限を巡る不透明感が圧迫要因となり、消費者マインドも低迷した。

  消費者マインド指数は前月から約7%の低下。ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏によれば、これは2011年に債務上限問題が深刻化した時期と同様の動きだ。同氏は発表文で「政府の経済運営に対する消費者の信頼感は今月、債務上限危機が解決されていない状況を反映して大幅に低下した」と指摘した。 

  調査では、政府の経済政策に否定的な見解を示した消費者が半数を超え、その割合は過去10カ月で最高水準となった。

  耐久財の購入環境に関する指数は5カ月ぶり低水準。現況指数と期待指数はともに前月から低下した。

引用:bloombergより

このように米国の消費者のマインドは低下傾向にあります。特に最近は債務上限問題など政府に対する信頼が著しく低下していることもあり、先行きに対する不透明感を感じているところも多くあるのでしょう。消費が比較的堅調であるとはいえ、マインドは確実に低下してきており、状況が急激に変わるということもあるのかもしれません。

先行きは以前厳しい

わかっていたことですが、米国経済はやはり厳しいと言わざるを得ないでしょう。実体経済もあまり良くなく、消費者のマインドも低下傾向です。その中で政府や国会も債務上限問題などの対応で国民の期待を裏切り続けています。この様な状況では経済の回復というのはなかなか見込めないという状況かもしれません。そしてFRBもインフレ抑制のために経済への配慮というのはそこまで大きくないと思われます。最近はやや引き締めに対してトーンダウンしているような発言も多く見られましたが、ここへ来て強いインフレ指標の発表が相次いでいます。そして内部からもタカ派的な発言も多く聞かれるようになってきました。そういう意味ではますます不透明感が増しているなという印象です。

まとめ

今日は米国経済の現状について考えてきました。一言で言えば厳しいということです。そして未来に対してもとても希望を持てるような状況ではないと言っていいでしょう。どこを見ても明るいものはなく、暗くなるばかりです。ですが、過去を振り返ればその様なときこそ株価はそこをつけ、そこから上昇するということは多くありました。今回もかなり大変なことにはなるかもしれませんが、長期的に見れば米国経済は力強く上昇していくものと思っています。そう思っているので私は投資をやめることはしません。今は辛抱強く待ち続けるときです。