米国のインフレはまだまだ収まりそうもありません。昨日発表された2月の生産者物価指数は市場予想を上回る結果となり、インフレが未だ力強さを見せていることがわかりました。先日の消費者物価の数値と合わせて、インフレがまだまだ健在であることを示すものであり、FRBの利下げ後退を正当化するのに十分なものとなっているでしょう。そのため、今後の金融政策の予想についてもやや後ろへと修正される動きが出てくるような気がします。
2月の生産者物価指数も大幅な伸び
昨日発表された2月の生産者物価指数は市場予想を上回る結果となりました。
2月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る伸びを示し、6カ月ぶりの大幅上昇となった。燃料や食品価格が上昇し、インフレの高止まりを新たに示唆した。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPPIは前月比0.3%上昇した。市場予想は0.2%上昇。前年同月比では2%上昇。予想は1.9%上昇だった。
生産者レベルでの価格圧力の高まりは、インフレとの闘いでさらなる進展を目指す米金融当局者にとって、道のりが平たんでないことを示している。今週発表された2月の米消費者物価指数(CPI)統計では、食品とエネルギーを除くコア指数が前月に続き、市場予想を上回る伸びを示していた。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は来週の会合で政策金利を据え置くと広く予想されている。
エコノミストがPPI統計を詳細に分析する理由の一つは、複数の項目が個人消費支出(PCE)価格指数に使われるためだ。米金融当局はPCE価格指数をインフレ指標の基準にしている。2月のPCEは今月29日に発表される。
サービス価格は前月比0.3%上昇。前月は0.5%上昇だった。PCE価格指数の主要項目であるポートフォリオ運用の価格は0.2%上昇と、伸びが前月から大幅に鈍化した。外来医療費は0.5%上昇。
財の価格は1.2%上昇し、5カ月ぶりにプラスに転じた。この上昇分の70%近くはエネルギーコストによるものだった。
食品とエネルギー、貿易サービスを除いたPPIは0.4%上昇。前月は0.6%上昇。
生産過程における比較的早い段階での物価を反映する中間財のコストは、5カ月ぶりに上昇。エネルギーの値上がりを反映した。食品とエネルギーを除いた中間財は0.5%上昇し、2022年5月以来の大幅な伸びとなった。
引用:bloombergより
このように消費者物価に続き、生産者物価においても物価の鈍化の勢いがそこまで強くないことが確認できた形です。最近は予想外に強いインフレ指標のために、利下げ予想の相次ぐ修正が起きてきています。今回の結果はそれをさらに正当化するものであり、利下げ予想をさらに再修正させる可能性すらあるものと言っていいでしょう。米国のインフレはまだまだ収まる気配はありません。これまでなされてきた金融緩和期待というものかなり怪しくなってきたと言っていいのでしょう。
利下げの時期は相当先になる
わかってはいた事ですが、今回のインフレは非常に粘着性が高く、そう簡単には鈍化しないということを改めて認識させられるものだったのかなと思います。先日の消費者物価に続き、生産者物価についてもこれだけ強い数値が出たということで、FRBが利下げへ踏み切る根拠というのは更になくなったと言っていいでしょう。この状況を考えれば6月の利下げ開始というのももうかなり期待が薄くなってきていると思いますし、この予想もすぐに修正されるような気がします。そういう意味では今後起きるであろう利下げというのは相当後にずれ込むのでしょう。流石に今年中には行われるとは思いますが、その時期が予想外に後方へとずれ込むことは覚悟しておいたほうがいいでしょう。
まとめ
今日は2月の生産者物価指数について見てきました。インフレはまだまだ収まる気配がありません。利下げの開始についても相当程度遅れることが予想されます。そういう意味では今後の株式市場にも大きな影響が与えられることでしょう。