消費者物価は引き続き落ち着きを見せるも、利上げがどうなるかはまだ不明瞭

昨日は市場が注目する4月の消費者物価の発表がありました。結果としては消費者物価の伸びの鈍化を確認するものとなり、今後の利上げを緩和させる在呂となる可能性を示しました。次回のFOMCまでにはまだ時間があるので今回の結果を持ってどうこう言えるものではありませんが、少なくとも利上げ圧力を緩和させるものにはなるでしょう。

4月の消費者物価は落ち着きを見せる

市場が注目していた4月の消費者物価指数は伸びが鈍化し、インフレの落ち着きを示唆させるものとなりました。

4月の米消費者物価指数(CPI)統計ではインフレ鈍化の兆候が示唆された。総合CPIの前年同月比の伸びは約2年ぶりに5%を切り、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数も若干ながら鈍化。米金融当局に利上げ停止の余地を与える可能性がある。

  米金融当局者が注視する狭義のサービス価格は、前月比での上昇率がより顕著に減速し、2022年半ば以来の低い伸びとなった。航空運賃やホテル宿泊費が低下した。

  4月CPI統計では、一連の利上げと最近の信用不安が経済全体に与える影響により、インフレが鈍化しつつあることが示唆された。とはいえ、物価全体では依然として高い伸びが続いており、雇用市場は堅調を維持している。

  インフレ圧力が持続的に低下する軌道にあるとの確信を米金融当局が持つためには、今後のデータをさらに見る必要があるとみられる。

  4月は、サービス価格で最も大きな要素で総合CPIの約3分の1を占める住居費が前月比0.4%上昇と、過去1年余りで最も低い伸び。家賃は上昇。

  ブルームバーグの計算によると、エネルギーと住宅を除いたサービス価格は前月比で0.1%、前年同月比で5.1%の上昇と、それぞれ昨年7月以来の低い伸びとなった。

  一方、昨年に物価上昇圧力の低下に寄与していた財のディスインフレ傾向は後退しつつある。食品とエネルギーを除くコアの財価格は4月に前月比0.6%上昇と、昨年6月以来の高い伸び。このところ低下が続いていた中古車価格も上昇に転じ、約2年ぶりの高い伸びを示した。

  エネルギー価格は前月比0.6%上昇。ガソリンの値上がりが背景にある。食料品は2カ月連続で低下した。家電は過去最大の落ち込みを記録した。

  アナ・ウォン氏らブルームバーグ・エコノミクスのエコノミストは4月CPIについて「必ずしも安心できる内容ではないが、米金融当局者に6月の追加利上げを示唆させるほどの衝撃を与えるものでもない」と指摘。「しかしながら、コアインフレ低下のペースが遅いことは、年内利下げの可能性がいかに低いかを浮き彫りにする」と語った。

引用:bloombergより

このように消費者物価は確実に落ち着いてきているようです。もちろん、今回の結果を受けて全てか解決したということはできないですが、より危機的な状況へと進んでいるということではないので、一応の安心感は得られることでしょう。ただ、インフレは落ち着いてきたとはいえ依然として高水準です。そしてこのインフレは非常に粘着性が高く、そうかんたんには目標とする2%へと収束することはないでしょう。そういういみでは今回の結果を持って緩和へと一気に動くという期待はなかなかしづらいのかなという印象です。

金融政策の行方についてはまだなんとも言えない

今回の結果を受けての反応はまちまちという印象があります。インフレの鈍化を受けてFRBは利下げへと準備を進めるだろうという意見もあれば、まだまだインフレは強く、引き締めの手を緩めることはないというものなど様々です。そういう意味ではまだ現状では判断しづらいものなのかなという感じがします。あくまで個人的な感想としてはやはり消費者物価の落ち着きというのは今後の利下げの一端停止への動きの後押しにはなるのかなという印象があります。最近はパウエル議長を始め、金融政策に対する柔軟性を口にすることが多くなったような気がします。そういう意味ではこれまでのような引き締め一辺倒ということはないように感じていました。その中で消費者物価の落ち着きが観測できたことは次回の利上げは一旦停止する可能性を十分に見いだせるものなのかなという感じです。もちろん、これはあくまで現状でのことであり、今後の経済指標でいかようにも変化することでしょう。そして今回の結果を受けてのパウエル議長やFRBの考えというのもわかりませんからなんとも言えないということは間違いありません。

まとめ

今日は4月の消費者物価について見てきました。少なくともインフレが落ち着いてきたということは間違いないでしょう。問題は落ち着いてきたと言っても下落していくにはまだまだ時間がかかるということと、金融不安に対処するために利上げを停止するかどうかの判断はまだできないということです。そういう意味では今後の経済指標の発表がより注目されることになりそうです。