FRB関係者から相次ぎ金利の引き上げについて言及。

先日のパウエル議長の発言では今後も厳しい金融政策の実行が明らかになったように思います。もちろんこれまでのような急激な利上げというのはないとは思いますが、目標とする2%のインフレ率まで毅然とした姿勢で臨むという決意であり、ハト派的な意見とは言えなかったのではないかと思います。今日もそれを裏付けるような発言がFRB関係者より相次いで出てきています。

より一層の行動が必要

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は8日に強い労働市場を理由に今後も一段と金利を引き上げる必要性について言及しました。

米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は8日、米インフレの一部高止まりにつながっている賃金上昇と闘うため、金利はもっと高くなる必要があるとの考えを示した。

  カシュカリ氏はボストン・エコノミック・クラブでの質疑応答で、インフレに関しては「いくつか望ましい兆候がある」と発言。ただ、「私の見解では、これまでの利上げが労働市場に大きな影響を及ぼしているとの証左はまだあまりない。労働市場の均衡を取り戻さなければならない。つまり一段の行動が必要だということだ」と述べた。

引用:bloombergより

このようにカシュカリ総裁は今後も政策金利について、現状よりもより高くする必要性を述べています。インフレが長期間にわたり高止まりするにもかかわらず、労働市場が非常に堅調であることは周知の事実です。そういう意味ではインフレ抑制が失敗しているということではないですが、もう少し落ち着かせる必要があるということでしょう。そうでなければインフレ率がなかなか減少せずに、高止まりしてしまうリスクがあるからだと思われます。

ウォラー理事も同様の発言をする

FRBのウォラー理事もカシュカリ総裁同様に一段の金利上昇の必要性を訴えています。

米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は8日、米経済は金利上昇に適応しつつあるが、インフレを米金融当局の2%目標に戻すには一段の借り入れコスト上昇が必要だとの考えを示した。

  ウォラー理事はアーカンソー州立大学で講演し、「努力が実を結び始めている様子が見て取れるが、行き先はまだ遠い」と発言。「金利が一部で現在想定されているより高い水準でより長く維持され、長い闘いになる可能性がある」と述べた。発言は講演原稿に基づく。

  「インフレ率は今年かなり急速に下がるとの見方が一部にある」とウォラー理事は指摘し、自身はそうした結果を歓迎するだろうと付け加えた。「しかし、そうした急速な低下の兆候は経済データでは見られない。インフレを当局目標に戻すために、より長期の闘いに私は備えている」と話した。

引用:bloombergより

このようにウォラー理事も一段の金利引き上げに前向きです。現状について不満があるというわけではないと思いますが、目標の2%のインフレ率を達成するにはまだまだ金利水準は低すぎるとみているのでしょう。実際、インフレが落ち着いてきたことは事実ですが、明確に減速してきたという証拠はまだありません。なのでより確実にインフレを抑制させるためにも一層の金利引き上げが必要ということだと思います。そしてそれが可能な暗い労働市場が強いことも理由の一つでしょう。

金利に引き上げはほぼ確実に実行されるでしょう

今日の二人の発言はパウエル議長の発言と何ら矛盾することはないような気がします。現状については満足しながらも今後については全く楽観せず、より確実にインフレを抑制するためにあらゆる手段を使っていこうということです。そしてそれを思い切ってできるくらい労働市場は堅調であり、だからことそのような発言ができるのでしょう。なので一部で言われているような緩和政策に移行するには消費者物価の明らかな減速や雇用の予想外の悪化などよほどのことがない限りは実行されないのだろうと思います。

まとめ

今日はパウエル議長の発言以降のFRB関係者の発言についてみてきました。FRBは今後も厳しい金融政策を実行していくことでしょう。政策金利についてもしばらくは引き上げられるものとみられます。それがどこまで行くのかということはわかりません。それはおそらくパウエル議長をはじめ、多くの関係者もそうでしょう。つまりは今後のデータ次第だということです。できることなら早期にインフレが終息することを望みますが、強すぎる労働市場がそれをさせない可能性もあり、なかなか難しいところです。なので急速にインフレが落ち着くこともないと思いますが、労働市場が強いために急速に景気も悪化しないのではないかなとも思います。いずれにせよ時間はかかりそうです。