米国経済はどんどん悪化している。望みは労働市場のみ。

今年の米国経済について悲観的に見る向きは非常に多いです。個人的にはなんとかその予想が外れることを願うばかりですが、残念ながらそれを覆すような予想や結果というのは出てこないというのが実情です。今日も相次ぐ悲観的な見通しや結果が相次ぎ、先行きが本当に見通せないなという感じになっています。

まだまだ米国株は下落する

悲観的な予想をすることで有名なジェレミー・グランサム氏は今日もまた悲観的な予想をして投資家を暗い気持ちにさせています。

米資産運用会社グランサム・マヨ・バン・オッタールー(GMO)の共同創業者ジェレミー・グランサム氏は、米国株のバブル崩壊はまだ当分終わらないとし、相場が年明け力強いスタートを切ったことに投資家は高揚し過ぎるべきではないと警告した。

  長年の投資ストラテジストでもあるグランサム氏(84)は24日公表の論文で、S&P500種株価指数は年末に約3200になるだろうと計算。これは年間ベースで17%近い下落、現行水準からは20%の値下がりに相当する。S&P500種は23年中に同水準を下回る局面がしばらく続く可能性が高く、3000前後での推移も含まれると同氏はみている。

  グランサム氏はボストンからインタビューに応じ、「問題の度合いが通常よりも大きく、恐らく私がかつて経験したことのないほどの大きさだ」と指摘。

  「悪い方向に向かい得る物事の方が、正しい方向に進み得るものよりも多い」と述べ、「状況が間違った方向に進み得る、またシステムが基本的にグローバルベースで完全に間違った方向に行き始めるかもしれないという明白な可能性がある」と付け加えた。

  ウォール街で屈指の弱気派として知られる同氏は、S&P500種が2000付近まで下落する可能性も排除していない。実際にそうなれば、「残酷な下落」だと語った。

引用:bloombergより

グランサム氏はこのように述べ、今後の米国株式について非常に悲観的なスタンスを撮っています。現在はややインフレが落ち着き、利上げもそろそろピークを迎えるかというところでやや市場は上昇したりもしていますが、それは一時的と見ているようです。今後も株価は低迷を続け、今年は非常に辛い一年になると予想しています。

実体経済もどんどん悪くなっている

このグランサム氏の予想を裏付けるように企業活動も低調になってきています。1月に出てきた企業活動を示す指標は7ヶ月連続での縮小となっており、株式市場だけでなく、実体経済も非常に冷え込んできていることがわかります。

米国の企業活動を測る指数は1月、前月に比べて上昇したものの7カ月連続で活動縮小を示した。投入価格を示す指数が上昇に転じ、インフレ圧力が長期化していることが示唆された。

  S&Pグローバルが発表した米国の製造業・サービス業合わせた1月の総合購買担当者指数(PMI)速報値は、前月から1.6ポイント上昇して46.6。同指数は50を割り込むと活動縮小を示唆する。投入価格の指数は、2022年5月以降で初めて上昇した。

  投入価格指数の上昇は、企業が労働コストや一部の原材料価格の上昇に引き続き対応を迫られている状況を示唆した。

  インフレ押し下げに向けた米金融当局の積極的な取り組みは、借り入れコスト上昇が需要を抑制する形で経済全般に影響し始めている。1月の総合PMIで新規受注の指数は47.9と、昨年10月以来の高水準に上昇したが、4カ月連続の縮小圏となった。雇用の指数は低下した。

  S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「企業は物価高と金利上昇の影響を心配しているほか、供給と労働者不足を巡る懸念を引き続き抱いている」と発表文に記述。

  投入価格指数の上昇については「賃金上昇圧力と関係している面がある。それがリセッション(景気後退)リスクの高まりにもかかわらず、米金融当局が一段と積極的な引き締め策を講じることにつながりかねないとの懸念も企業にはある」と指摘した。

  ユーロ圏の1月の総合PMIは市場予想に反して拡大を示し、米国と対照的だった。

ユーロ圏経済活動、1月は予想に反し拡大-ソフトランディングに期待

  米国では1月のサービス業PMIも7カ月連続の縮小。製造業PMIは3カ月連続の縮小となった。

引用:bloombergより

このように実体経済は非常に悪いです。最近は大手企業を中心に人員整理をするニュースが相次いでいます。決算発表もあまりいいものはなく、本当にリセッション入りが目の前に来ているようです。そういう意味では今年の米国株式にはあまり期待できないのかもしれません。

最後の望みは労働市場のみ

グランサム氏の予想というのはいつも悲観的なものなので、あまり額面通り受け取る必要はないのかなとは思います。ただ、そうはいっても米国経済に対して同氏ほどではないにしろ、悲観的にならざるを得ない状況だろうとは思います。それだけ米国経済は悪く見えますし、実際このような数値として出てくるとそれを実感します。そういう意味では今年はあまり良い年にはならないであろうという大方の予想通りに今のところ進んでいるのかなという印象です。できることならこの予想が良い方向に外れてほしいところですが、なかなかそうは行かないのかなと思います。ただ、今のところ労働市場が堅調であるというのが唯一の救いで、それが堅調であればそれほど大きな景気後退というのはおこらないのではないかなとも思います。やはり雇用が安定しているということほど労働者にとってありがたいことはないでしょうし、消費にもそれなりに力強さは残るでしょう。なのであとは予想以上に強い労働市場がどこまで持ってくれるかというところが勝負のような気がします。

まとめ

今日は非常に暗い見通しについて考えてみました。やはりどう考えても今年の米国市場というのはあまり良いものとはならないような気がします。いい予想も聞きませんし、実際数値もどんどん悪くなってきています。最後の頼りは労働市場の強さです。正直予想外に強いものとなっていますが、それがどこまで持つのかというのは非常に気になるところですし、なんとかFRBが目指すソフトランディングのためにも頑張って欲しいところです。