FRB関係者が相次いで今後も引き続き厳しい金融政策の見通しを述べる。

FOMCを終えてFRBは今後のインフレの見通しについてもやや厳しい見方をしているということはわかってきました。市場が思っていたよりもパウエル議長はタカ派な発言をし、話題となっています。そしてその後もFRB関係者からは比較的厳しい見方をした発言が相次いでいます。というわけで今日はFOMC後に関係者が発言した言葉についてみていきます。

ニューヨーク連銀総裁は現在の金融政策を正当化

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は現在の高金利についての正当性を主張する発言をしました。

米ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は16日、インフレには緩和の兆候が見られるものの、労働市場の逼迫(ひっぱく)やその他の要因で物価圧力は高い状態が続く公算が大きく、当面の高金利を正当化するとの見解を示した。

  ウィリアムズ総裁はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、より広範な経済と「労働市場で需要が供給を上回っているという明確な兆候がある」と指摘。インフレ率は来年に3-3.5%に減速するとの予想を示した上で、2%にどうやって持っていくかが「真の問題」だと述べた。

  「必要なことをやるしかない」と同総裁は言明。政策金利は必要ならば、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが最新の経済予測で示した水準より高くなる可能性もあると語った。

  FOMC参加者の予測中央値では、政策金利は2023年末に5.1%、24年に4.1%に低下との見通しが示され、いずれも9月時点の予測から引き上げられた。

FRBの最新ドット・プロット、23年末のFF金利は5.1%-チャート

引用:Bloombergより

このようにウィリアムズ総裁は現在の金融政策についての発言をしました。発言を見る限り、今後の見通しについては楽観的とは言えず、金利が高止まりする可能性も十分にあり得ることを示唆しています。

サンフランシスコ連銀総裁は目標達成までの道のりは長いと発言

また、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は以下のように発言し、目標達成にはまだまだほど遠いことを述べています。

米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は16日、米金融当局者らはインフレの引き下げにコミットしているとし、その責務達成には近づいていないとの考えを示した。

  デーリー総裁はアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)主催のオンラインイベントで、「道のりはまだ長い」と発言。「当局の物価安定目標への到達はかなり先だ」と述べた。

  同氏は「労働市場は不均衡だ」とも指摘し、「職を探している場合、見つけるのは容易だ。労働者を探している場合はその確保が困難だ」と話した。

引用:Bloombergより

デーリー総裁はこのように述べ、インフレ抑制はまだ道半ばと述べています。物価の上昇は落ち着いては来ていますが、目指す2%の物価目標の到達はそれほど簡単なことではないということでしょう。

クリーブランド連銀総裁は今後もさらなる金利の引き上げについて言及

さらにクリーブランド連銀のメスター総裁は今後の金利の見通しについてさらに引き上げられる可能性について言及しています。

 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は16日、連邦準備理事会(FRB)が今週公表した最新の金利・経済見通しで示された水準よりも高い水準まで金利を引き上げる必要が出てくる可能性があるとの考えを示した。

FRBは13─14日に開いた今回の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%ポイント引き上げ、4.25─4.50%とした。同時に公表した金利・経済見通しによると、FRB政策当局者19人の2023年末の政策金利の予想中央値は5.1%と、9月時点では4.6%から上昇した。

メスター総裁はこれについて、示された中央値を若干上回るとの見方を表明。「金利を制約的なスタンスまで引き上げ続ける必要がある」と述べた。

その上で、FRBが利上げを終えても「インフレを持続的に低下させるために、かなりの期間にわたり金利を高水準い維持する必要がある」と語った。

インフレについては、物価上昇の鈍化を示すこのところの指標を歓迎するとしながらも、物価上昇圧力がピークを付けたと示すものではないと述べた。

メスター総裁は今年FOMCで投票権を持っているが、来年は持たない。

引用:ロイターより

このようにメスター総裁は述べ、現在の金利見通しよりもさらに高い水準まで金利を引き上げる可能性について言及しました。このようにいずれの関係者も今後の金融政策の見通しについて楽観的とは言えない見通しをしています。さすがにこれまでのような急激な引き上げというのはないとは思いますが、金利をすぐに下げていくようなことにはまずならないといった感じです。そのためしばらくは金利を高いまま維持し、目標とする2%の物価目標に確実に近づくまでは厳しい姿勢で臨んでいくということでしょう。

そんなに簡単にはインフレは終息しない

マーケットではいつものことですが楽観論が支配的です。 そのためFOMCではここまでのタカ派的な発言がされるとは思ってもみなかったのでしょう。そのために株価はFOMC後に大きく下げることになりました。最近は非常にマーケットは楽観的になることが多いような気がします。現在は落ち着いてきたとはいえ7%台のインフレと好調な労働市場を見る限り、そんなに楽観的にはなれないような気はします。FRBでもマーケットの楽観的過ぎる空気というのを少し危険視したのかもしれません。パウエル議長をはじめ、多くの関係者が今後の見通しについて厳しい発言をしたことはそういうことなのかなと思っています。いずれにせよそんなに簡単にはいかないということです。

まとめ

今日はFOMC後に発言された関係者の言葉についてみてきました。いずれも非常に厳しいものであり、インフレ抑制がそんなに簡単ではないということを教えてくれているような気がします。この戦いは簡単ではありません。少なくとも来年中に収束するということはまずないと思っておいた方がよさそうです。その兆しくらいは年末には感じることができるかもしれませんが、現在の高いインフレ率や好調な労働市場を見る限り、その終わりというのはまだまだ先だと思っておいた方がいいでしょう。