不動産市場は相変わらずの低調。回復の見込みは全くなし。

不動産市場の下落が止まりません。先日発表された米NAHB住宅市場指数は12か月連続の下落を記録し、金融引き締めの影響が引き続き不動産市場を苦しめていることがわかりました。FRBによる金利の引き上げについてはようやくフェーズが変わってきそうな感じではありますが、依然としてインフレは健在であり、引き締める手が止まったとしても緩むのはかなり先の話になりそうです。そういう意味では不動産市場もしばらく厳しい状況が続いていくことでしょう。そういうわけで今日は米NAHB住宅市場指数についてみていきます。

今月も不動産市場は冷え込んでいる

先日発表された米NAHB住宅市場指数今月も下落を記録しました。引き続き、金融引き締めの影響が不動産市場を大きく冷やしていることが確認された形となっています。

全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴがまとめた住宅市場指数は2022年に入って毎月低下し、12月は新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)に陥った直後を除いて、約10年ぶりの低水準となった。住宅ローン金利や建設コストが高水準にあることが響いた。

  米金融当局の積極的な利上げに伴い、今年は住宅ローン金利が急上昇し、住宅需要に大打撃となった。これに加えて、資材や労働のコスト上昇で建設費用が割高になっており、建設業者のセンチメントや新規の建設を圧迫した。

  今回の統計では、建設業者の62%が販売拡大に向け奨励策を活用していることが示されたが、需要は抑制された状況が続いている。

  一戸建て販売の現況指数は低下し、12年半ば以来の低水準と並んだ。購買見込み客足指数も低調な水準にとどまった。

  今後6カ月の販売見通し指数は4月以来の上昇となった。ただ、同指数は大きく落ち込んだ水準にとどまり、過去10年で2番目に低い水準と一致した。

  NAHBのチーフエコノミスト、ロバート・ディエツ氏は「住宅の低調な状況は2023年に入っても続くとNAHBでは見込んでいる」と発表文で説明。「現在ならびに将来の全米での住宅不足や、24年の米金融緩和で想定される住宅ローン金利の低下を踏まえれば、24年には回復すると予想する」と続けた。

  地域別では南部がやや改善した。

引用:Bloombergより

このように米国の不動産市場は悪化の一途です。金利の引き上げによる不動産ローン金利の上昇が需要激減の大きな原因となっています。それだけではなく、資材価格の高騰や労働コストの上昇など不動産市場にとっては全くと言っていいほどいいニュースがないといっていい状況です。そのため今後についても非常に暗い見通しとなっています。

しばらく回復の見込みがない

不動産市場の低迷というのは米国経済にとっては非常にダメージの大きな問題でしょう。米国では日本と違って資産を不動産で持っており、その家賃収入や転売によって収入を得ている人というのが多くいます。そういう人にとっては今の不動産市場の状況というのは大変頭の痛い問題でしょう。不動産を購入しようにもローン金利が高すぎるし、価格自体も資材高騰や労働コストの影響を受け非常に高騰しています。そういう意味では米国民の懐事情というのはかなり悪化していると思われます。そうなると米国経済にも悪影響が及んでくることは明白であり、今後ますますの景気悪化という可能性も十分にあり得ることろでしょう。

まとめ

今日は米国の不動産市場についてみてきました。金利がいまだ高止まりし、インフレが健在である現在、不動産市場の回復というのは全くと言っていいほど見えない状況です。ここが回復してこないと米国の景気回復というのはなかなか厳しいのではないかと思います。しかし、インフレが落ち着かない限りFRBは金利を引き下げることはないでしょう。しかし、今後の先行きについては来年度も金利は高止まりする見込みです。そういう意味でも引き続き不動産市場は厳しい状況は続くとみられますし、それに伴い経済も株式市場も落ち込んでいく可能性もあるのかなという感じです。