今後の企業業績はそれほど楽観的なものではないのかな?

物価の見通しが非常に不透明になる中、企業業績の方も先行きに対し不透明感が増してきています。今後の企業業績は期待していた程よいものではない可能性があるとし、警告が発せられるようになりました。インフレの高止まりや中東問題など米国経済を取り巻く環境というのは日増しに悪化してきている印象です。

今後も企業業績は悪化するのか

先日、モルガンスタンレーより、今後の経済見通しについてのレポートが発表されました。

米企業の業績見通しは悪化しており、低迷が続く可能性があると、モルガン・スタンレーとJPモルガン・チェースのストラテジストが指摘した。

  モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏によると、S&P500種株価指数構成企業ではここ数週間、業績見通し下方修正に対する上方修正の数が急減している。

  今の時期は例年なら上向きの修正が多い傾向があるため、上方修正がさらに減るようならば「マクロ的な逆風を含む他の循環リスクが修正の背景にあることを示す」とウィルソン氏はリポートで分析している。

  シティグループの業績修正指数によると、決算シーズンを前に4週連続で下方修正が上方修正を上回った。JPモルガン・チェースのストラテジスト、ミスラブ・マテイカ氏は、こうした状況が今後も続くと予想している。

  同氏は「最近は米国とユーロ圏で1株利益見通し修正のトレンドが再び悪化しているようだ。この下向きトレンドは続くと思われる」とした。

  弱気な見方は、13日にJPモルガンを含む大手銀行の発表で幕を開けた決算シーズン前の楽観的な論調と対照的だ。今後の決算で、金利上昇や消費者需要の鈍化といった逆風に企業がどう対処してきたかがさらに明らかになるだろう。

  「より高くより長く」の米政策金利見通しは今月、市場を不安に陥れ、米10年債利回りは過去10年余りで最高水準に上昇した。投資家は、米連邦準備制度が引き締め政策を続け、中東の紛争によって強まっているリセッション(景気後退)懸念が再燃することを警戒している。

  一方、RBCキャピタル・マーケッツのストラテジスト、ロリ・カルバシナ氏は、1株利益の修正がややマイナス方向に転じ、不透明なマクロ経済が企業に打撃を与えていることを示唆するコメントが出ているとはいえ、株価の反応という点では決算シーズンは良いスタートを切ったと述べた。

  ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたデータによると、これまでに決算を発表したS&P500種構成銘企業の88%で利益が予想を上回った。

  業績修正トレンドが弱く見えるとはいえ、コンセンサスでは今シーズンで米企業の業績リセッションに終止符が打たれると予想されている。ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめた予想によると、S&P500種構成企業の7-9月(第3四半期)利益は前年同期比0.8%減となり、10-12月(第4四半期)には同6.2%増に回復すると見込まれる。

  「第4四半期については企業のガイダンスで見通しがより明確になり、それが2024年の業績修正の基調となることを期待している」とウィルソン氏は述べた。

引用:bloombergより

このようにモルガンスタンレーでは今後の米国経済の見通しについてあまり楽観的には見ていないようです。業績の下方修正が相次ぎ、また今後もそのような企業が多く出てくる可能性を指摘しています。もし、この予想が当たるようなことになれば米国経済はリセッションへ向けて大きく前進することになるでしょう。特にこれからはクリスマス商戦など一年で一番重要な時期の一つであり、ここでうまく利益を挙げられないということになればそれこそ死活問題となる企業も多くありそうです。そうならないことを願うばかりですが、実際のところは神のみぞ知るというところです。

次から次へと問題が出てくる

モルガンスタンレーはいつも悲観的なことを言うことが多いのであまり真に受けることはないような気はしますが、それでも最近のインフレや中東情勢などを見れば楽観的にはなれないというのが正直なところです。RBCキャピタル・マーケッツでは先行きに対して楽観的な見通しをしており、このような見方もたくさんあることは事実ですが、そう楽観的になれるかと言われればなかなか厳しいという感じがします。実際どうなるかというのはわかりませんが、中東情勢がどう転ぶのかによって今後の展開は大きく変わってくることでしょう。事態が早期に集結し、大きな禍根も残さず終わればかなりのポジティブ要因になるでしょうし、ウクライナ情勢のように長期化し、泥沼化すれば世界経済はさらに混乱してくることになるでしょう。そういう意味では非常に大きな不安定要因が出てきたなという感じです。

まとめ

今日は今後の米国経済について見てきました。いつもの悲観論という感じですが、それでも現在の世界経済を見ていればそこまで楽観的になれないのも事実かなという感じがします。ただでさえインフレが長期間居座り、難しい状態になっているところに更に難しい問題をたされたという感じです。そういう意味では更に困難な状態になったのかなという感じがします。