9月の小売売上高は予想外に強いものとなる

米国の個人消費は未だ堅調です。昨日発表された9月の小売売上高は市場予想を大きく上回る結果となり、個人消費がインフレにも関わらず全く衰えていないことが確認されました。この消費の堅調さというのはインフレ抑制を目指すFRBにとっては頭の痛い問題でしょう。

9月の小売売上高は予想外の伸び

昨日発表された9月の小売売上高は大きな伸びを記録しました。

9月の米小売売上高は市場予想を上回る伸びとなった。消費者の需要が底堅く推移している状況が示唆された。

  ガソリンを除いたベースの小売売上高は0.7%増。

 国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高は0.6%増加した。

  9月は13カテゴリーのうち8つで増加。飲食店や自動車ディーラー、パーソナルケア用品が特に大きく伸びた。

  今回の統計は、エネルギーを主因とした最近のインフレ加速をよそに個人消費がなお力強さを維持していることを示している。賃金の伸びは勢いが弱まり始めているものの、労働市場はなお総じて強く、消費者には支出を継続する余裕が生まれている。

  堅調な小売売上高を受け、7-9月(第3四半期)に経済成長が加速するとの見方が強まりそうだ。

  調査会社インフレーション・インサイツ創業者のオメイア・シャリフ社長はリポートで、コア売上高の修正も含めて「全体的に良好な内容で、個人消費の力強さが続いていることを示している」と指摘した。

  9月の物価統計で根強いインフレが示され、さらに今回の小売売上高統計で消費需要の持続した強さが示唆されたことで、米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内に追加利上げに動くリスクが生じている。

  インフレは金融当局の目標である2%を依然として大きく上回っているものの、衣料品や家具など主要な消費財の価格は9月に大きく下落した。9月の小売売上高統計で衣料品店や家電販売店の売上高が減少したのは、そうした価格下落で説明がつく部分もある。衣料品店の売上高は前月比0.8%減と、半年ぶりのマイナスとなった。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「9月の小売売上高は堅調な内容だが、これは消費需要の底堅さの度合いを実際より強く見せてしまっている。第3四半期の個人消費は確かに力強い数字になりそうだが、これは活動の一時的な急増のためであり、持続は不可能だ」と分析した。

  小売売上高で唯一のサービス分野である飲食店は0.9%増。食料品店は0.4%増えた。

 自動車は1%増と、ここ4カ月で最大の伸びとなった。

引用:bloombergより

このように米国の消費の現場は未だ健在です。インフレがこれだけ強く、長く居座る中、消費がこれだけ強いというのは本当にすごいの一言です。この消費の強さというのはインフレを助長することは事実ですが、経済が失速することもないため、ある意味では良いことなのかもしれません。しかし、いつまでもこの状態が続くわけがないので適度な減速は必要でしょう。そういう意味では年内の利上げの確率というのはやや高くなったのかなという印象です。

インフレはまだまだ続きそう

相変わらずの消費の強さであり、米国の消費者はすごいなという一言です。これだけ物価が上昇し続けている中にあっても消費意欲が衰えないというのは本当にすごいです。少しは日本も見習いたいところかなと感じます。しかし、これだけ強いということはそれだけインフレが未だに強いということの証でもあり、今後の金融政策についてはややタカ派の姿勢が維持されるのかなという感じです。そういう意味では年内に利上げを求める声というのも多くなってくることが予想されます。そういう意味ではしばらくは株式市場もそう大きな上昇というのは期待できないでしょう。

まとめ

今日は9月の小売売上高について見てきました。米国の消費は未だ健在です。その意味では景気後退のリスクは少ないのかなと思いますが、インフレが長く居座ることになるため、長期的には喜んでばかりはいられないような気がします。いずれにせよ、年内に利上げが行われる可能性はやや高くなったと思われます。そういう意味では株式市場の辛抱はしばらく続きそうです。