ベージュブックは思っていたほどには厳しい内容ではない

FRBは現在の経済状況についてはやや安定的に見ているようです。昨日発表されたベージュブックでは、FRBは米国経済の見通しについて安定的な状態であると見ているようです。もちろんインフレは未だ高く、労働市場も強さを見せていることは事実ですが、全体的に見ればそこまで危機的な状況であるとは認識していないように思います。そういう意味では金融政策もそこまで厳し目にならないのかもしれません。

米国経済は安定的

昨日発表されたベージュブックではFRBは現在の米国経済について安定的だとしています。

米連邦準備制度理事会(FRB)が18日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、米経済の見通しは安定、もしくは成長軟化の可能性があると指摘した。

  ベージュブックでは「米経済の短期的見通しは安定している、もしくは成長がやや軟化しているというのがおおむねの見解だ」と説明。「労働市場の引き締まりは全米で引き続き和らいだ」と記された。

  大半の地区は9月に公表された前回の同報告以降、経済活動にほとんど、もしくは全く変化がなかったと示唆したとしている。

  「個人消費は強弱が混在した。価格や商品のばらつきを背景に、特に一般小売りや自動車ディーラーでその傾向が見られた」と記した。

  物価は全般に引き続き緩慢なペースで上昇したとも、ベージュブックは指摘。販売価格の上昇ペースは投入価格を下回ったとし、消費者が価格に一段と敏感になっているため企業は価格転嫁が難しくなっていると続けた。

  「全体として、向こう数四半期にわたって価格は上昇するが、伸び率は過去数四半期よりも減速すると企業は想定している」と分析。「複数の地区はこの先の著しい物価上昇を想定する企業数が減ったと報告した」とした。

  労働市場については鈍化しつつあるとの見解が示され、多くの地区がわずかないし小幅な雇用の伸びを報告した。

  「賃金は大半の地区で緩慢ないし緩やかな伸びにとどまった」と説明。「多くの地区全般で、賃金オファーを拒否する候補者が減ったと報告された。労働コスト上昇を軽減するため、昇給の代わりにリモートワークを認めたり、契約ボーナスを減らしたりするなど、他の報酬パッケージを変更しているとの報告が複数あった」と記された。

  今回のベージュブックは、12地区連銀が10月6日までに集めた情報を基に、セントルイス連銀がまとめた。

引用:bloombergより

このようにベージュブックではそこまでインフレに対して厳しい言葉が並ぶということはないような気がします。インフレは依然として高く居座っていますが、以前に比べれば鈍化していますし、経済成長も今の所安定的であると認識しているようです。そういう意味ではそこまで現状については懸念していないのかなという感じがします。もちろんその全ては今後のデータ次第だとは思いますが、そこまで厳しい金融政策を実行するという感じも受けません。

不透明感が増す中金融政策にも柔軟性が求められるか

この報告を見る限りは今後の金融政策は思っているほど厳しくはならないのかなという感じです。最近では現状維持を主張する委員も多くなってきましたし、そういう意味では金利のさらなる引き上げという確率は考えているよりも少ないのかもしれません。中東情勢が緊迫化してきており、世界経済にも大きな影響が懸念されています。またウクライナ情勢は収束する気配はなく、さらなる長期かも避けられない可能性もあります。そういう中にあって景気減速懸念は常に存在し、それを回避するためにも金融政策は余裕を持って運営されることになるかもしれません。

まとめ

今日は昨日発表されたベージュブックについて見てきました。個人的には思っていた程にはタカ派的ではなく、やや現状維持に傾いているのかなという印象を受けました。景気減速懸念や地政学的リスクが増大している中ではそのほうがより無難な選択肢であることは間違いないでしょうし、そうできるのであればそうしたほうがいいのでしょう。何れにせよ全てはデータ次第であることには変わりありません。そのことは頭に入れておいたほうがいいでしょう。