米国の消費者物価の伸びは落ち着いてきたのかな?

先日、市場が注目していた3月のCPI、消費者物価指数が発表されました。相変わらずの非常に高い数字で、まだまだインフレが継続していることが裏付けられました。ただ、市場予想よりも若干低く、伸びもやや鈍化の傾向がみられることからインフレのピークが近いのではないかという期待も出てきています。そういうわけで今日は先日発表された消費者物価についてみていきたいと思います。

消費者物価について

12日、米労働省より発表されたCPI、消費者物価指数は季節調整済みの値で前年同月比8.5%という高いものでした。これは1981年12月以来の高い伸びであり、非常に厳しい状況であることを裏付けるものです。前月比で見ても1.2%の状況となり、2月の0.8%からさらに勢いを増している状況が確認できました。ただ、コア指数でみると前年同月比6.5%と市場予想よりも低く、若干の落ち着きを見せた形となりました。それでも十分に高い物価の上昇であることには変わりなく、いまだ厳しい状況であることには間違いありませんが、ようやくピークが見えてきたのではないかという安心感が一部に出てきました。ウクライナ情勢もまだまだ不安定であり、先のことはわかりませんがようやくピークが見えてきたのかもしれません。

利上げは速いペースで行われる

しかし、ピークを迎えたとしてもその後すぐに健全な状態に戻るとは限りません。おそらくはピークを迎えた後もしばらくは物価上昇が高い状態は続くのではないかと思いますし、その可能性は十分にあると思います。そしてFRBも現在はインフレ退治に全力を注いでいますから、その可能性については十分に考えているでしょう。そういう意味では今後も50bpでの利上げというのが続いていく可能性が高いと思います。金利についてはこれまでの予想通り、今年は非常に速いペースでの利上げが続いていくのでしょう。

資産圧縮開始もすぐそこまで来ている

そしてやはり注目はFRBのバランスシートの圧縮をいつ行うのかということです。早ければ5月にも行うのではないかという話もありましたが、FRBのブレイナード理事は6月にもバランスシートの縮小に着手する可能性があると述べているようです。

[12日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は12日、FRBが早ければ6月にもバランスシートの縮小に着手する可能性があると述べた。一連の利上げとともに約40年ぶりの高水準にあるインフレ率の抑制に資するという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、インフレをFRB目標の2%に回帰させることがFRBの「最も重要な課題」と指摘。利上げの適切なペースに関する言及を避けた上で、「複合的な効果によって年後半には政策スタンスがより中立的な姿勢に速やかに近づく」とし、そこに達すれば、FRBは必要に応じて労働市場やインフレの動向に対応する選択肢を得られるとした。

引用:ロイターより

現在のような高いインフレを抑制するために今後はFRBはよりタカ派の姿勢をしてくるでしょう。そういう意味では5月にも行うのではないかと思っていましたが、そこまで早くは行わないのかもしれません。ただ、先日最大950億ドルもの資産圧縮をする案が合意されています。状況によってどうなるのかはまだわかりませんが、FRBの資産圧縮についてはもうすぐに起こることはほぼ間違いないのであろうと思います。

市場はすでに織り込んではいるが、安心はできない

今のところこれらのニュースが出ても市場は大きくは下落していません。もちろん以前のような力強さはありませんが、急落して市場に激震が走るというようなことは起こっていません。そういう意味ではもうこの辺りの利上げや資産圧縮については市場は織り込んでいるのではないかと思います。なので特別大きなニュースがない限り、大きく下げることはないのかもしれません。ただ、大体の市場参加者の意見としては今後は景気後退局面に入るということはほぼ確実なようですし、その場合、直前には市場は最後の上昇をするというのは歴史的に見てあり得ることです。そういう意味では今株式市場が上昇したからといって、景気後退がなくなったということは言えないのではないかと思います。

まとめ

今日は先日発表された消費者物価についてみてきました。相変わらず高い伸びであり、厳しい状況は続いていることが確認されました。ただ、若干伸びは低くなってきているようには思えるので、もしかしたらピークは近いのかもしれません。しかし、そうだとしてもインフレがすぐに収まる保証はなく、今後もだらだらと高いインフレの状況が続いていくことも考えられます。そしてインフレが収まったとしてもそのあとにまた順調な成長が続いていくとは限らないのです。歴史的に見ればインフレが収まった後はしばらく景気後退局面に入ることが多いのです。そういう意味では少し株価が上昇したからといって安心しない方がいいのでしょう。