投資は富を築くために行うのではない

投資に対する姿勢というのは人それぞれです。投資で一攫千金を狙おうという人もいれば、とりあえず小遣い稼ぎになればという人もいるでしょうし、様々ではないかと思います。個人的には投資はあくまで資産を守るものであり、それによって大きな財を築くものではないと思っています。それと同じようなことをここでもよく取り上げているニューヨーク大学のアスワス・ダモダラン教授が述べていました。とても共感するものであり、今日はそれを取り上げたいと思います。

ダモダラン教授の発言

ダモダラン教授はインタビューにおいて以下のような発言をしています。

投資は金持ちになるためのものではなく、富を保存し増やすためのものだ。そんな(大金持ちになる)目標を据えれば、ばかげたことをし、愚かなリスクを取ることになる。

引用:The Financial Pointer より

この考えには完全に同意します。投資というのはあくまで自分を守るために行うものであり、富を築くものではないと思います。もちろん、そのようなことをしてはいけないというつもりはありません。世の中には投資によってとても大きな資産を築いている人がいることは事実です。ですからそのような才能を持っている人であれば投資によって資産を築くということもいいでしょう。しかし、そのような才能を持っている人などほんの一握りです。ほとんどの人はそのようなことはできません。もし可能だというのであれば世界中に株式投資によって資産を築き上げた金持ちがたくさん存在しているはずです。しかし、そのような人があふれている現実は存在しません。

株価が上昇する理由はだれにも説明できない

投資によって資産を築こうとすれば、当然どのような株が上昇するのかということが分からなければなりません。しかし、それを把握するのはかなり難しいことです。そのことは投資をしたことがある人であればだれでもわかることでしょう。業績もよく、将来性も十分なのにもかかわらず、株価は全く上昇しなかったり、いいニュースなど全くないのにもかかわらず、連日株価が上昇するなんてことは株式市場では日常茶飯事です。そういう意味では実際にその企業がどんなに優れているのかということが分かったところであまり意味がないのです。重要なことはどの株が上昇するのかということなのです。そのことについてダモダラン教授も同じようなことを述べています。

「そこでの仕事は、ステージ上で誰が最高の美人かを判断することではない。他の審査員のみんなが誰を最高と思うかを判断することだ。だから、他の審査員を見て、ステージは見ない。もはやステージは関係ないんだ。」

引用:The Financial Pointer より

この表現は非常にわかりやすく、株式投資の難しさを表していると思います。誰が美人であるかということはどうでもいいのです。周りの多くの人がどのように判断するのかを考える必要があるということです。それが分かればいいのであって、自分自身の正解がなんであるかというのは関係ないのです。株式市場でいえば、いかにその企業が優れているかということは全く関係なく、株式市場に参加している人たちがどの企業に関心を持っているのか、そしてどの企業にどのくらい投資しようとしているのかが分かれば投資で勝つことができるのです。企業価値なんて全く関係ないということです。

株式投資で勝ち続けるのは不可能に近い

そういう意味でも株式投資で勝ち続けるということは至難の業です。株式市場に参加している人たちが何を考えているのかなんて私にはわかりません。なので株式投資で大きな資産を築くということはまず無理でしょう。なので私は株式投資で富を築こうとは考えません。あくまで自分が築いた資産を守るという意味で投資をしているのです。現金を持っているだけではインフレなどが来た時に対応できません。そのような自分の力ではどうしようもない理由で実質資産が減少しないように投資をするべきだと思っています。

まとめ

今日はダモダラン教授の意見をもとに投資に対する姿勢について考えてみました。今回の物はあくまで私個人の意見であって、それが絶対というわけではありません。自分は株で富を築けるんだという人はどんどん投資をして儲けてもらって問題ないと思います。しかし、そんなことができる人は本当にごくわずかです。おそらく私のブログなんかを見ている人にはまず無理でしょう。そういう意味ではしっかりと現実と自分を見つめ、堅実な投資をしていくべきだと思います。あくまで富を築くのは自分の仕事で行い、投資はそれをインフレなどから守るために行うべきです。自分の本職を持っているであろう個人投資家にとってはそれが最善の道であり、最良の方法だと思います。