ISM非製造業総合景況指数は市場予想を上回る結果となる

昨日発表されたISM非製造業総合景況指数は市場予想を上回る結果となりました。米国経済は非常に厳しい状況下ではありますが、それでも力強さを完全に失ったわけではないようです。それでもインフレは依然として健在であり、全く油断できるような状態ではありませんが、多少の安心材料にはなるのかなというところです。

ISM非製造業総合景況指数は市場予想を上回る結果となる

2月のISM非製造業総合景況指数は若干の減速はしたものの、市場予想を上回る結果となりました。

米供給管理協会(ISM)が発表した2月の非製造業総合景況指数は、前月からは若干低下したものの、市場予想を上回る拡大を示した。1月は2020年半ば以来の大幅上昇で、水準が上がっていた。2月は受注の指数が約1年ぶりの高水準となり、雇用の指数も上昇した。

  新規受注の指数は2ポイント余り上昇の62.6。21年11月以来の高水準となり、健全な需要を示唆した。

  雇用の指数は4ポイント上昇の54と、この1年余りの最高水準。新型コロナウイルス流行期に労働者の確保に苦労していたサービス業が、雇用状況を改善させつつあることを示唆する。10日発表の2月雇用統計が経済全体の雇用状況を把握する上でさらなる手掛かりになる。

  ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は発表文で、「業況については総じて前向きであることが示された」と指摘。「納期の短縮から分かるように、供給業者はキャパシティーとロジスティクスの改善を続けている。労働市場はタイトだが、一部の業界では雇用状況が改善した。いくつかの業界では縮小継続が報告された」と説明した。

  2月は農業や建設業、小売業を含む13の業種で活動が拡大。卸売業、運輸と倉庫、情報産業など4業種では縮小した。

  仕入れ価格指数は65.6に減速したものの、引き続きコスト上昇を映し出している。同指数は約2年ぶりの低水準に下がったが、製造業の仕入れ価格指数に比べると大幅に高い水準であり、根強いインフレ圧力を示唆している。

引用:bloombergより

このように米国の非製造業の現場でも足元ではそれなりに好調な状態は続いているようです。特に労働者確保に苦労していた企業が、それなりに人員確保ができているということは非常に良い傾向でしょう。これまでは人員確保のために給与水準を引き上げざるを得ない有用な状態が続いてきました。労働者にとってはいいことかもしれませんが、企業側から見れば痛いコスト増要因であり、何よりもインフレ圧力として大きな問題でもあったでしょう。それが落ち着いてきたということは今後の賃金上昇もやや緩やかになるかもしれません。そうなればインフレ鈍化にも貢献する可能性があり、良い兆候といっていいのかなとも思います。それでも仕入れコストは依然として高水準であり、まだまだ簡単にインフレが落ち着くとは断言できるような状態ではないことも事実です。そういう意味では引き続き注意が必要でしょう。

だらだらとこの状態が続いていくのか

米国経済は悪いといいながらも最悪な状態にはならないようにうまくコントロールされているような気がします。インフレが高止まりし、金利も上昇するという状況下においても雇用が守られ、経済活動も悪化しつつも急降下はしないという何とも微妙なバランスを保っているような感じです。これがいいのかどうかは何とも言えませんが、少なくとも大恐慌のような状況にはなっていないのでよしとするしかないのかなという感じです。このような状態がだらだらと続いて言っては困りますし、かといって一気に景気後退が進んでも困りものです。なのでうまくバランスを取りながら景気後退をせずにインフレ抑制と景気回復を実現してほしいと欲張りな願いを持っていますし、おそらくはFRBもそのように考えているのでしょう。そうなることをただただ願うばかりです。

まとめ

今日は2月のISM非製造業総合景況指数を見てきました。相変わらず米国経済は悪いようでいて最後の一線は超えないというような感じです。このまま良くも悪くもならず、だらだらといってしまいそうな気がしますが、実際どうなるかということは神のみぞ知るといったところでしょう。とりあえず大幅な景気後退とならなければそれでいいということにしておきます。