新規失業保険申請件数はやや減少。労働市場は依然としてタイト。

米国の労働市場は依然として堅調に推移しています。先週の新規失業保険申請件数はわずかに減少し、依然として労働市場がひっ迫していることが明らかとなりました。最近はインフレ指標が相次いで悪化してきていましたが、それをさらに加速させるような結果となり、今後の金融政策にも大きく影響を与えそうです。

新規失業保険申請件数はやや減少

昨日発表された、先週一週間での新規失業保険申請件数はやや減少し、依然として労働市場が堅調であることが確認されました。

先週の米新規失業保険申請件数はわずかに減少し、インフレ圧力につながっている労働市場の逼迫(ひっぱく)状況を浮き彫りにした。

  ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、イライザ・ウィンガー氏は「失業保険統計は労働市場が軟化するとの予想に引き続き反する内容となっている。労働コストが高く、弱い需要が企業利益を圧迫しているため、レイオフは今後、増加する可能性が高い」と指摘した。

  変動の少ない失業保険申請の4週移動平均は19万3000件に小幅増加した。

  季節調整前の失業保険申請件数は20万1710件に減少。ケンタッキー州やカリフォルニア州での減少が目立った。

引用:bloombergより

このように労働市場は今なお堅調です。インフレが高止まりし、企業業績が悪化する中にあってもこれだけ強い雇用というのはある意味驚きです。企業側もかなり無理をしているのではないかともいますが、これもいつまでもつのかわかりません。当然ながらいつかはこの流れは止まることになるでしょう。永遠に雇用と賃金を上昇させることなど不可能です。なのでそう遠くない時期に雇用も悪化するとは思いますが、それがいつ起きるのか。そしてゆっくりと経済に大打撃を与えないようにマイルドに行えるかということは非常に疑問符がつくところです。FRBにその能力がないという可能性もありますし、理論的には可能だとしても現実的にはほぼ不可能ということも考えられるでしょう。そういう意味では先行きの不透明感というのはまずばかりです。

結果を受けドルが買われる

この結果を受けて為替市場ではドルが買われる動きとなりました。

2日午前のニューヨーク外国為替市場でドルが上昇。対円では一時137円台となった。米新規失業保険申請件数が市場の予想外に減少したほか、昨年10-12月(第4四半期)の米労働生産性指数(確定値)の統計で単位労働コストの伸びが速報値から上方修正されたことが背景。

引用:bloombergより

このように市場では強い労働市場を反映して今後も金利が引き上げられるという観測からドルが買われています。今回の結果を受けて金利の先行きに対してタカ派的な意見を言う人が多くなってきたように思います。最近のインフレ指標の顕在化の動きからその流れは大きくなっていましたが、それを加速させる結果となっています。

インフレが落ち着く気配が全く見えない

インフレが落ち着く気配は全く見えないといっていいでしょう。米国のインフレは一時期はピークを過ぎ、徐々に落ち着いていくとみられていましたが、それはやや早とちりだったのかもしれません。もちろんここからさらに上昇ということはないような気がしますが、なかなかインフレが下がらず、長期停滞という可能性はずいぶん高くなったように思います。そうなれば当然ながらFRBは金融政策をより強力に進めてくる可能性が出てきます。その結果としていわゆる行き過ぎる状態となる可能性がまた高くなったのかなという印象です。今後の経済指標次第だとは思いますが、そのリスクというのはまた一段と高くなった印象です。

まとめ

今日は新規失業保険申請件数についてみてきました。相変わらず労働市場は堅調です。そのため今後の金融背策はより強いものとなる可能性がより高くなったように思います。もちろん今後の経済指標次第でどうとでもなるとは思いますが、今のところ明るい兆しというのはなかなか見えません。来週以降に2月の雇用統計や消費者物価の発表があります。そのあたりの数値がどうなるかというのが非常に重要でしょう。もしそこでも厳しい結果となるようであれば利上げは予想外に強いものとなるかもしれません。そういう意味では来週以降の経済指標の発表というのはより注目されることになるでしょう。