米国消費者のインフレ期待は上昇。市場の楽観論とは異なる反応

インフレの落ち着きを期待させるような指標の発表が相次いでいますが、消費者はそれほどインフレ鈍化に対する期待は高くないようです。先日発表された1年先のインフレ期待は上昇を示し、今後物価は再び上昇するのではないかと消費者は感じていることが確認されました。市場ではすでに利上げ終了を織り込んでいますが、消費者が感じるように今後もインフレの鈍化が期待したようなものにならなければ再び厳しい引き締めが行なわれる可能性も否定できないでしょう。

インフレ期待は上昇

先日、ミシガン大学より発表されたインフレ期待は今後に関して消費者があまり楽観視していないことを裏付けるものとなっています。

米ミシガン大学が発表した11月の消費者調査(確定値)では、1年先のインフレ期待が7カ月ぶりの水準に上昇した。5-10年先のインフレ期待は2011年以来の高水準。

  ミシガン大の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は「消費者はインフレの鈍化が今後数カ月や数年で反転することを懸念しているようだ」と発表文で指摘。「ガソリン価格は下落傾向にあるものの、1年先見通しは2022年6月以来の水準に上昇し、5年先見通しは22年3月以来の高水準となった」と記した。

  消費者マインド指数は61.3と速報値の60.4からは上方修正された。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は61.0だった。

  ただ、前月の63.8からは低下し、6カ月ぶり低水準となっている。現況指数と期待指数が10月より悪化したことが背景にある。

  耐久財の購入環境に関する指数は速報値から上方修正。ホリデー商戦に向けた商品の値引きを反映したものとみられる。

引用:bloombergより

このように今後のインフレ期待については大きく上昇しています。今のところ、インフレは落ち着きを見せているようですが、消費者は今後の展開についてはあまり楽観していないようです。この点に関しては市場と大きく乖離していると言っていいでしょう。実際、どちらが正しいのかは歴史が証明することなのでなんとも言えませんが、少なくとも消費者やFRBは市場ほどインフレに対して楽観的ではないことは確かなようです。そういう意味では今後紙上の基体が裏切られる展開というのも十分にありえることなのでしょう。

消費者は市場ほど楽観的ではない

市場の楽観論とは裏腹に、消費者は冷静に情勢を見つめているのだろうと思います。もちろん、市場が間違っているとは言いません。本当にこのままインフレが順調に収束していき、利上げも終了しているのかもしれませんが、今のところその確証は消費者も得られていないと感じているということです。その反応というのは当然であり、まっとうなものだと個人的には思います。むしろなぜ市場がここまで楽観的なのだろうかといつも疑問に思うほどです。市場は最近は常に楽観的に物事を考え、動く傾向があります。そしてそれは多くの失敗として記録されているのです。にもかかわらずその行動が一向に変わらないというのは本当に不思議と言うしかありません。そういう意味では消費者が非常に冷静に物事を捉えられているということに対して少し安心感を得られた気がします。

まとめ

今日は今後のインフレ期待について見てきました。消費者は市場ほど楽観的に状況を考えていることはなく、冷静に現状を見つめていると言っていいでしょう。そういう意味では非常に心強いという感じはしますが、今後の先行きに対して不安感が拭えたわけではないことが気にはなるところです。市場の楽観論に流されず、冷静に物事を見ていきたいところです。