第一四半期のGDPは予想外に減速。厳しさを更にました米国経済。

米国経済の勢いは確実に落ちてきているようです。昨日発表された第一四半期のGDPは市場予想を下回る結果となり、改めて米国経済の減速を確認する形となりました。依然としてインフレが強く、金融不安もくすぶる中、極めて厳しい状況になってきていると言わざるを得ないと言った感じです。

GDPは予想外に減速

昨日発表された第一四半期のGDPは市場予想を下回る結果となりました。

1-3月(第1四半期)の米経済は前期比で予想以上に減速した。設備投資が低調だったほか、在庫も縮小した。一方で個人消費は上向いた。

  個人消費は3.7%増(前期1%増)に加速し、ほぼ2年ぶりの高い伸び。市場予想は4%増だった。消費は財とサービスの両方で増え、特に自動車の購入が大きく伸びた。

  一方、機器への設備投資は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まった後では最大の落ち込みとなったほか、在庫はGDPに対するマイナス寄与度が2年ぶりの大きさとなった。

  今回のGDPは、米利上げと高インフレの環境下で経済成長が徐々に減速している状況を映し出している。暖冬だったことも助けとなり米経済は年初は好調だったが、四半期が進むにつれて家計も企業も支出を手控えるようになった。

  今後の経済動向は労働市場の底堅さに大きく左右されそうだ。低失業と賃金の伸び継続により、消費者はこれまで高インフレの中でも支出を続けている。

 金融当局が注目する個人消費支出(PCE)価格指数は、総合が前期比年率4.2%上昇。食品とエネルギーを除くコアは4.9%上昇と市場予想を上回り、1年ぶりの高い伸びとなった。3月単月のPCE価格指数は28日に発表される。

  インフレと個人消費のデータを踏まえると、米連邦公開市場委員会(FOMC)はこのまま来週の会合で0.25ポイント利上げに動きそうだ。ただ米銀ファースト・リパブリック・バンクの経営難が続いており、それが利上げ停止の可能性を高めていることは確かだ。

  コーナーストーン・ウェルスのクリフ・ホッジ氏は「インフレはなお根強く、労働市場も力強さが続いている。この状態ならFOMCによる5月利上げに向けた動きは変わらず、さらに6月も利上げとなる可能性がある」と分析した。

 4-6月(第2四半期)には経済の減速が一層明白になりそうだ。エコノミストらは第2四半期のGDPについて0.2%増とほぼ足踏み状態になると予想している。

  ネーションワイド・ライフ・インシュアランスのチーフエコノミスト、キャシー・ボストジャンシク氏は「最近のデータは、低調な経済成長が第2四半期に入っても続くことを示唆している」と指摘。「一方でインフレは、特にコアサービスで水準が引き続き高く、そして根強い。成長減速にもかかわらず高インフレという望ましくない組み合わせだ」と述べた。

  1-3月のサービス支出は2.3%増。医療や飲食店、ホテルが特に伸びた。財の支出は6.5%増と、ほぼ2年ぶりの高い伸び。

  設備投資では機器の購入が落ち込んだほか、知的財産への投資は約3年ぶりの低い伸びだった。

  在庫のGDPへの寄与度はマイナス2.26ポイント。住宅投資は8四半期連続で成長への重しとなった。住宅ローン金利の急上昇で市場が打撃を受けたことが反映された。ただ他の住宅関連指標では市場が安定し始めていることが示唆されており、成長への逆風が弱まりつつあることがうかがえる。

  基調的な需要の強さを測るインフレ調整後の国内民間最終需要は、2021年第2四半期以来の高い伸びとなった。力強い個人消費が背景にある。

引用:bloombergより

このように米国経済は確実に減速してきています。個人消費は比較的堅調なようですが、企業の設備投資等が大幅に減少しており、景気の先行きに対する不安感がよく現れている結果だと思います。この結果からもわかるように今後の先行きに対しては非常に悲観的に見る向きが多く、今後の米国経済は非常に厳しい状況に陥る可能性が高いと言わざるを得ないと言った状況です。しかし、インフレは依然として高水準であり、労働市場も一時の強さはなくなってきたものの、まだ力強さを残しています。そういう意味ではおそらくFRBは引き締めの手を緩めることはないでしょう。そういう意味では減速する経済をサポートする動きというのは期待できないと見たほうが良いと思われます。そういう意味でも今後はさらに経済は悪化していく可能性が高いと言わざるを得ないと言った状況です。

今年中の回復は厳しい

経済の減速はますます深刻になってきていると言っていいのだろうと思います。景気後退の可能性はかなり高くなってきており、厳しさを増しています。それでもインフレが異常に高いという現状を考えると金融当局による保護というもの期待できないと言ったところです。まあ、この程度のことであれば予想の範囲だとは思うので大きなサプライズではないと思いますが、それでも現実を突き付けられるとやはり厳しいなと実感してしまいます。去年より予想していたとおり、今年は非常に厳しい一年となることはもう間違いないと言っていいでしょう。おそらくは今後もあまり良い結果というのは期待できないのだろうと思います。

まとめ

今日は第一四半期のGDPについて見てきました。ある意味予想通りの結果ではありますが、非常に厳しいものとなりました。そしてこの傾向というのはしばらく続いていくのだろうと思います。なので少なくとも今年中に明るい兆しが見えてくるという可能性は非常に低いと言わざるを得ないと言った状況です。何度も言っていることですがあまり楽観的になりすぎてはいけません。もちろん悲観的になりすぎるのも問題ですが、きちんと状況を認識することが大切だと思います。