次回の利上げは50bpにすべきか?

インフレの長期化がますます懸念される中、3月の利上げについてはより強いものにすべきという声も日々多くなってきています。常日頃からFRBの金融政策に批判的なサマーズ元財務長官もその一人です。同氏はFRBのこれまでの政策を改めて批判し、3月のFOMCでは50bpでの利上げを視野に入れるべきだと発言しています。

3月の利上げは50bpになるか?

サマーズ元財務長官はメディアのインタビューにて今一度利上げのペースを上げるべきだと主張しました。

サマーズ元米財務長官は3日、米金融当局は一連の堅調な経済指標を受けて今月の利上げペース再加速があり得ることを強調するべきだと指摘した。

  サマーズ氏は「米金融当局は3月の50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の行動に門戸を大きく開いておくべきだ」とブルームバーグテレビジョンで発言。「米当局の現状を適正に判断するとすれば、ここ約1年でこれほど後手に回っていることはないと言えるだろう」と述べた。

  米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長にとって、「期待をリセットし、高まりつつあるFRBへの信用問題に対応する上で」、来週の経済に関する議会証言が「重要な機会」になると、サマーズ氏は述べた。

  その上で、米当局は0.5ポイントの行動をまだ確定する必要はないとも指摘。10日に発表される2月の雇用統計と市場の反応を政策決定前に見るべきだと続けた。同氏はハーバード大学の教授でブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもある。

  サマーズ氏によると、米金融当局が目指す景気のソフトランディングの可能性に打撃を与えた6つのショックは以下の通り。

・消費者物価指数(CPI)の改定で、2022年終盤数カ月のデータからインフレの下降トレンドがなくなった

・1月のCPIがインフレ加速を示唆

・個人消費支出(PCE)価格指数も加速

・1月の経済指標は「力強さを示す」

・賃金の統計は「期待された低下をもはや示していない」

・米国債利回りが上昇、10年債利回りは4%を突破

  サマーズ氏は「インフレは一過性だと考えた人たちが唱えた主張は、残念ながら希望的観測のようだ」と指摘。2月に同氏は経済活動が急激に落ち込むリスクがあると発言していた。

  サマーズ氏は「米金融当局者が最近行った発言の一部は、3月会合での50bp利上げの可能性を排除しているようで非常に失望している」と批判した。

引用:bloombergより

サマーズ氏はこのように述べ、次回のFOMCでは50bpでの利上げの準備をしておくべきだという旨の発言をしています。サマーズ氏はこれまでもFRBの金融政策を手厳しく批判しており、今回もその勢いは収まる気配がありません。これまでの金融政策は失敗の連続だったと明言し、いわゆるハト派な意見を否定し続けています。そのサマーズ氏ですが、次回のFOMCでは50bpでの利上げの可能性を考慮すべきと述べています。これから2月の雇用統計や消費者物価の結果も控えており、大幅な利上げをすべきと断言はしていませんが、その可能性が高いとみているのでしょう。そしてこれまでの失敗を認め、市場との対話を重視し、インフレ抑制のために厳しい政策をとるべきだというスタンスだと思います。

今後の経済指標次第

サマーズ氏はこれまでもパウエル議長をはじめとしたFRBの政策に対して非常に批判的です。なのでこのような意見が出ることはあまり珍しいことではありません。ただ、サマーズ氏が求める50bpでの利上げが行われるかどうかは今のところ何とも言えないといったところです。あまり減速しないインフレを厳しくみる意見もあれば、サマーズ氏が指摘するようにまだそこまで危険視していない意見も存在します。そういう意味ではまだ次回の利上げがどのようになるのかということはニュートラルといっていいでしょう。そしてそれを決定づけるのはおそらく10日に発表される雇用統計と14日に発表される消費者物価の値だと思います。それらが強いものであれば次回の利上げはより厳しいものとなる可能性が高くなると思います。逆に弱かった場合にはそれほどきびしいものにはならないでしょう。その線引きがどれくらいかというのは正直わかりませんが、今の状態であればそこまで厳しい利上げにはならないのではないかと個人的には思っています。この辺りは何とも言えません。

まとめ

今日はサマーズ元財務長官の発言をもとに次回の利上げについて考えてきました。現状、あまり変化がないのであればサマーズ氏が求めるような厳しいものにはならないのではないかという感じがします。もちろん結果はだれにもわかりませんが、個人的には50bpの利上げをしなければならないほどFRBは危機的な状況とは見ていないような気がします。いずれにせよそれは今後発表される雇用統計やCPI次第です。この結果次第でどのようにも変わっていくことでしょう。そういう意味では今週から来週にかけての経済指標の発表には非常に警戒が必要です。