5月の非製造業総合景況指数は非常に低水準

米国経済の現状は厳しさを増してきています。昨日発表されたISM非製造業総合景況指数は非常に低水準のものとなり、サービス業などの非製造業の現場が非常に苦しい状況に陥っていることが確認できるものとなりました。景気の先行きに対する不透明感が増す中、明るい未来はまだまだ見えそうもありません。

ISM非製造業総合景況指数は非常に低調

昨日発表された5月のISM非製造業総合景況指数は非常に低いものとなり、改めて米国経済の深刻さを確認するものとなりました。

米供給管理協会(ISM)が発表した5月の非製造業総合景況指数は、ほぼ活動停滞の水準に低下した。業況指数と新規受注が低下したほか、仕入れ価格指数は3年ぶり低水準となった。

  ISM製造業指数の生産に相当する業況指数は、4カ月連続で低下し51.5と、3年ぶり低水準。新規受注の低下と共に、サービス需要が低迷していることを示唆している。

  新規受注の指数は52.9に低下。受注残の指数は14年ぶりの低水準となっており、受注鈍化でサービス提供企業の受注残が減っている状況がうかがえる。

  ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は発表文で、「過半数の回答者は事業環境が現在、安定していることを示唆したが、景気減速への懸念がある」と指摘した。

  5月は宿泊・食品サービスなど11業種が拡大を報告した一方、7業種が縮小した。

  ニエベス氏は記者との会議で、「現在、コメント欄にリセッション(景気後退)という文言は見かけない。不透明感やわずかな減速などは見かけるが、産業によって違いがあり、産業内でも企業ごとに状況は異なる」と述べた。

  金利上昇と信用状況のタイト化を背景にした需要低迷は、インフレ圧力の軽減にもつながっている。仕入れ価格指数は56.2と、前月から3ポイント余り低下。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準に近づいている。

  原材料価格の上昇を指摘した回答者は約25%と、2020年9月以来の低水準となった。

  在庫指数が約2年ぶりの高水準となったほか、在庫景況感の指数は20年4月以来の高水準となった。

  雇用指数は49.2と、昨年10月以来の低水準。雇用減速を示唆しているものの、2日に発表された5月の雇用統計では非農業部門雇用者数は予想よりも増加した。

引用:bloombergより

このように米国の非製造業は先行きに対して非常に悲観的になっていると言っていいでしょう。インフレの高位停滞と金利の高止まり、それと金融不安など将来に対する懸念事項はいくつも存在します。その中で事業環境はどんどん悪化しているようです。特に今後も政策金利の引き上げが予想され、それに伴い体力のない金融機関の破綻が起こる懸念も依然としてくすぶっています。これまでのところは何とか大きな景気後退に陥ることは回避できていますが、その懸念というのはまだまだ存在していることは事実です。そういう意味では明るい未来が描けないというところでしょう。

インフレ抑制にとっては良い

ある程度予想はできていたことですが、やはり非製造業も一時期の好調さがなくなってきたというところでしょう。コロナ明けの景気回復が製造業から非製造業へと移行し、サービス業を中心にしばらくは景気の良い話が多く聞こえてきていました。しかし、ここへ来てインフレや金融不安など将来に対する不安のほうが大きな問題となってきたと言っていいでしょう。現状ではそこまで悪くはないということですが、やはり長期的に悲観的に経済を見ている人が多いというのがこの結果を出したのだと思われます。そういう意味ではやはり厳しさはしばらく続くと見たほうが良さそうです。しかし、景気が冷え込むのであればインフレ抑制にとってはプラスに働くはずです。そういう意味では予想外に景気が悪化するのであれば引き締めもそこまで強くする必要はなくなるかもしれません。なので景気悪化がプラスに働く可能性もないことはないですが、そのバランスがどうなるかというところはなんとも言えないというところです。

まとめ

今日はISM非製造業総合景況指数の結果について見てきました。米国経済は厳しさを増してきています。そういう意味では先行きは依然として暗いと言わざるを得ないでしょう。しかし、それでもあまり悲観的になりすぎず、投資に対して臆病になる必要はないと思います。何度も言いますが、下落する相場もいつかは上昇に転じます。その時より多くの利益を得ようとするのであれば、誰もが悲観的になっている時に勇気を持って投資をする必要があるのです。そのことは忘れないでおくべきだと思います。