5月も東京の消費者物価は伸びているが…

日本の消費者物価の伸びについて、当然かもしれませんがまだまだ収まりそうもありません。総務省が発表した5月の東京都区部コアCPIは先月と同様に総合で2%を超えてきており、物価の伸びが継続していることが分かりました。現在の商品市況や世界情勢を見ると多くの物資を輸入に頼っている日本としては物価が上昇するというのは当然といえば当然です。しかし、それでもコアコアで見るといまだに物価上昇率は1%にすら到達しておらず、インフレと呼ぶには程遠い状況です。そういうわけで今日は先日発表された東京の消費者物価についてみていきたいと思います。

5月も消費者物価は上昇している

総務省は27日、5月の東京都区部消費者物価指数の中旬速報値を発表しました。結果については以下の通りです。

  (1)  総合指数は2020年を100として101.8

             前年同月比は2.4%の上昇  前月比(季節調整値)は0.2%の上昇

  (2)  生鮮食品を除く総合指数は101.5

             前年同月比は1.9%の上昇      前月比(季節調整値)は0.1%の上昇

  (3)  生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は100.4

             前年同月比は0.9%の上昇      前月比(季節調整値)は0.1%の上昇

引用:総務省ホームページより

 総務省が27日発表した5月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、コアCPI)は前年同月比プラス1.9%となった。9カ月連続プラス。伸び率はロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値(プラス2.0%)を下回った。「エネルギー」が前年同月比22.3%上昇。このうち電気代は23.0%、都市ガス代は25.8%それぞれ上昇した。ガソリンは11.6%、灯油は19.8%それぞれ上昇した。生鮮食品を除く食料は前年同月比2.5%上昇。2015年3月以来の高い伸び率となった。総合指数は2.4%上昇。生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数は0.9%上昇だった。

引用:ロイターより

コアコアは1%未満

このように、5月の東京の消費者物価についても先月同様に高い物価上昇の伸びを示しています。総合の値で2.4%と日銀の目指す2%の物価上昇の値を完全に超えているものであり、日本もようやく物価上昇を始めたのかという印象を与えます。しかし、変動の大きい生鮮食品とエネルギーを除いたいわゆるコアコアと呼ばれるものは0.9%の上昇といまだに1%にすら届かない状況です。

金融政策の変更の必要はない

この状況を見る限り、やはり日銀の政策を変更させるような物価上昇にはまだなっていないといっていいと思います。総合の値では確かに2%を超える状態になってきているように思えますが、コアコアで見ればいまだに1%にすら届かない状況です。そのような時に金融緩和政策をやめてしまえばたちまちデフレに逆戻りしてしまうでしょう。そういう意味でも日銀は金融緩和政策をやめるとは思えませんし、やめるべきではありません。

もっと大胆な財政政策が必要

つまり今起きている価格上昇については金融政策での対処はできないということです。一部の商品についての価格のみが上昇しているのであって、全体の物価は上昇していないのですから当然です。であれば財政政策での対処の必要が出てくるということになります。しかし、現状政府は大した財政政策をやるようには思えません。先日も補正予算を決定しましたがとてもGDPギャップを埋められるようなものではなく、現状を改善できるとはとても思えません。岸田政権は非常に財政政策には消極的な政権なので仕方ないのだろうとは思いますが、これでは全くダメなのだろうと思います。

まとめ

今日は先日発表された東京の消費者物価についてみてきました。物価は上昇しているように見えますが、実際にはほとんど上昇していないというのが現状です。一部の価格変動の大きいものが上昇しているためにそう見えるだけというわけです。しかもそれらは生活に非常に密着しているものであり、インパクトが大きいために物価が上昇していると感じているだけです。日本経済全体で見ればいまだにインフレとは呼べず、金融政策を大きく変更させるべきではありません。そういう意味では今の日銀に姿勢というのは正しいのだと思います。問題は政府です。あまりにも財政政策が少なすぎます。これではとてもではありませんが安定的な成長というのは期待できないでしょう。そういう意味でももう少し何とかならないものかと思います。